2度目の人生を、楽しく生きる

皐月 遊

6話 「剣術と魔法①」

「ルージュ、ルージュ! 起きて、朝だよ!」

俺はセレナに身体を揺すられ、目を覚ました。

俺が異世界に転生して2日目の朝だ。

もしかしてこれは夢で、寝て起きたら日本のベッドの上……なんて事も考えたりしたが、どうやら夢ではなかったらしい。

「……あぁ、おはようセレナ」

「おはよう、ルージュ」

ちなみにセレナが寝ていたのは俺のベッドで、俺は床に客用の布団で寝た。

セレナは「私が下に寝るよ!」と言って聞かなかったが、俺が布団で寝たフリをしていたら、諦めたようにベッドで眠り始めた。

「じゃあ、私は先にリビングに行ってフローラさんを手伝ってるから、ルージュもはやく着替えて来てね」

セレナは既に最初に着ていた服に着替えていた、どうやらセレナは早起きらしい。

セレナが部屋を出て行ったあと、俺は動きやすい半袖と半ズボンに着替え、リビングへ向かった。

なぜ動きやすい服にしたかというと…今日から剣術と魔術の特訓が始まるからだ。

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「あ、おはようルージュ」

「お、やる気満々の服装だな!」

父……ディノスが俺を見てそんな事を言う、ディノスも動きやすそうな服装だった。

「うん、動きやすい服装の方がいいかなと思って」

「そうだな、剣術の特訓をする時は動きやすい服の方がいいだろう」

「昨日母さんと父さんで話し合ってね? 午前中は魔術、午後は剣術の特訓をする事にしたわ」

「あぁ、剣術の特訓をした後に魔術だと身体が持たんし、母さんは夕飯の準備があるからな」

なるほど、確かに激しく身体を動かした後に頭を使うであろう魔術の特訓だと流石にキツイ。

俺たちは朝食を食べ終え、ディノスは準備があると言って外へ行き、俺とセレナはフローラに連れられ庭へ出た。

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「さて、じゃあこれから魔術について教えるわね」

「「お願いします!」」

「ふふ…まずは魔術の属性から教えるわね、
魔術には大きく分けて 火・水・風・雷・土・闇・光の7種類があるの、あ! 他にも回復魔法があったわね」

「ふむ…」

「ほぉ!」

セレナは目をキラキラさせて聞いている。

しかし、7種類と回復魔法か、だいぶ多いな。

「そしてこの7種類以外にも、”複合魔術”と言って、2つ…または3つの属性を組み合わせて別の属性にする事も出来るのよ。
例えば…火と土の属性を組み合わせれば”爆発”する魔法を使うことが出来るし、水と風を組み合わせれば”氷”の魔法を使うことができるの。
組み合わせは無限大よ、まぁ複合魔術は難しいから、無理に覚えようとしなくてもいいわ。
使えるようになれば、戦いで有利になるけどね」

複合魔術………そんな物もあるのか、自分だけが使える複合魔術…そんな物が出来れば面白いかもしれないな。

「そして、最後は魔術と魔法使いのランクね、 魔法のランクは 初級魔法・中級魔法・上級魔法・超級魔法の4種類があるの、あなた達には初級魔法から教えていくわね。
そして魔法使いのランクも 初級魔法使い・中級魔法使い・上級魔法使い・超級魔法使いの4種類よ」

ふむ……多分初級魔法とは比較的誰でも使える魔法なんだろう。

「まずはあなた達の魔法属性の適性をみるわ」

「適性?」

「そ、それはどうすればいいんですか?」

「簡単よ、今から全ての属性の魔法を使ってみて、ちゃんと魔法が使えれば適性あり、使えなければ適性なしってことよ」

なるほど、そりゃ簡単だ。

「じゃあまずは 火 の魔法からね、この的に向かって手のひらから火を出すイメージをして、火球ファイアー・ボールと唱えてみて」

フローラが指を指したのは、先ほどから気になっていた地面に刺さっている二本の丸太だ。

俺とセレナは言われた通りに丸太に手を向け……

「手のひらから火……手のひらから火……」

「うぅん……」

セレナは苦労しているみたいだが、俺はある程度イメージが出来た、そして丸太に向かって…

火球ファイアー・ボール‼︎‼︎」

唱えた。

するとなんと俺の手から火の玉が出て、丸太に当たった。

出来た…魔法を使えた!

「よっしゃああああ‼︎‼︎」

「わ、私も…! 火球‼︎」

俺が成功させたのを見て、セレナも火球を唱えたが、セレナは火球を出すことはできなかった。

「どうやらルージュは火属性に適性があるらしいわね、残念ながらセレナちゃんは違ったみたいね」

「はい…」

あからさまに落ち込むセレナの頭を俺は撫でてやった。

その様子をフローラは微笑ましそうに見ながら

「ふふ……じゃあ次は水の魔法をやるわね、さっきの火の水版だと思ってやれば簡単よ、今度は 水球ウォーター・ボールと唱えてみて」

俺とセレナは先ほどの様に丸太に向かって

「「水球‼︎」」

唱えた。

すると俺とセレナの手から水が出た、どうやら2人とも適性があったらしい。

だが…おかしい事がある。

「どうやら水魔法は2人とも適性があったみたいね、それにしても……」

フローラはセレナと丸太を交互に見ている、亀裂の入った丸太とセレナを……

「ねぇ母さん、明らかに俺とセレナのウォーターボールの威力が違うと思うんだけど……」

セレナも驚きを隠せない様で、ウンウンと頷いている。

「威力の違いは単純に魔力の違いね、魔力が高ければ高いほど魔術の威力が高くなるの」

そういえば昨日の夜、ハーフエルフは普通より魔力が高いとか言ってたな。

だがまさかここまで威力に差が出るとは…

「じゃあ次は風魔法ね、風切ウィンド・カッターと唱えてみて」

「「風切‼︎」」

それから俺たちは

風魔法の風切ウィンド・カッター

雷魔法の雷球サンダー・ボール

土魔法の石弾ロック・シュート

闇魔法の黒霧ダーク・ミスト

光魔法の光矢フォトン・アロー

を次々に使い、適性を調べた。

「はい、これで全部の属性の魔法を使えたわね、はっきり言うと……」

俺とセレナは疲れたので地面に座っていた、 フローラは俺たちの方を見て

「あなた達2人は魔術の才能があるわ」

そう言われた。

7つの属性の魔法を使った結果。

セレナは 水属性・風属性・光属性 の3つに適性があった。

そして俺は 火属性・水属性・風属性・雷属性・土属性・光属性・闇属性 の全てに適性があった。

「7つの属性の魔法を使えるルージュには驚いたけど、セレナちゃんの魔法の威力にも驚いたわ」

セレナは魔法の威力が桁違いに高かったのだ、水魔法は丸太に亀裂を入れ、風魔法ではなんと丸太を切り裂いたのだ。

丸太が1つ減ったため、それからは俺の方の丸太を2人で使う事になった。

そして光属性の光矢…これが1番驚いた、通常は光の矢を3〜4本くらい出すらしい、俺は4本出せた。

だがセレナが出した矢の数は、10本だった、それが全て正確に丸太に突き刺さった、威力、数、コントロール、全てが完璧だったのだ。

そして最後に、セレナは俺が唯一使えなかった回復魔法を使う事が出来た。

「これからの特訓ではルージュは全ての属性の初級魔法を覚えてもらうわ」

「はい」

「そしてセレナちゃんには、水・風・光・回復魔法の初級魔法と威力の調整の仕方を教えるわね」

「はい‼︎」

セレナは自信がついたのか、笑顔で頷いた。

「それじゃあ、今日の特訓はおしまい! 午後は剣術でしょ? だからそれまでは休憩してなさい」

そう言われ、俺とセレナは部屋に戻った。

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「ルージュは凄いね‼︎ 7つの魔法を使えるなんて‼︎」

部屋に入ったら、セレナにそんな事を言われた。

「セレナも十分凄いだろ、なんだよあの威力と光の矢の数」

お互いに褒めあった、だが実際に魔法の才能でいったらセレナの方が明らかに上だろう。

俺はただ使える属性の数が多いだけだ、セレナのような威力はない、これからどんどん成長していけば、追いつけなくなるだろう。

………ワクワクしてきた、こんな感覚は初めてだ、初めて”負けたくない”と思った。

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