ヒーローライクヒール
その4・カッコいいもカワイイ
レオとシレイノが試着室から出てくる。
レオ「どう?」
真紅のドレスに身を包むが、
クロノ「うーん、赤いドレスはもうちょい大人向けだったかな?」
レオが着るには早すぎた。
レオ「そっかぁ。」
(しかし…)
あれから既に2時間が経過している。
(試着だけでこれだけ時間を食うとは…しかもまだ3分の2しか終わってないとは…)
シレイノ「クロノさんもどれか着てみては?」
背後からメイド服を持ったシレイノが近寄ってくる。
クロノ「俺にそんな趣味はねぇですよ?」
シレイノ「ウィッグを付けてみれば似合うと思うのですが…」
クロノ「着ないから!」
シレイノ「それは残念です。」
がっかりしたようにメイド服を戻す。
呆れたクロノもため息をつく。
クロノ「…そんなにカワイイに飢えてるんですか?」
シレイノ「はい。私は自分がカワイイ系ではなく、カッコイイ系だと自覚しておりますので、カワイイ服は似合わないんです。カワイイ服というのは、それはもう好きでした。だから、それはもう苦痛でした。ですが、他の人に着せて愛でる分には自分の見た目は関係ありません。ですから子供の時から私の夢は、可愛い服を着た可愛い女の子と一緒に働く、でした。」
(そんな過去が…)
クロノ「それでこんな変態具合になったと。」
シレイノ「本音が口に出てますよ?」
クロノ「わざとです。」
ハハハと笑い合う。
クロノ「でも、好きなのに似合わないってのは確かに辛そうですね。」
レオ「でも髪型変えたら似合うと思う。」
クロノ「レオ!」
次の服を持って側に立っていた。
レオ「シレイノさん、髪型がキチッとしてるから、もう少し可愛い髪型にしたら変わると思う!」
シレイノ「いやいやいや、髪型でそんなに変わったりは…」
レオ「見た目が1番変わるのは髪型だよ!ちょっと違うだけで全然印象違うんだから!ほら、これ着てみよう!」
そう言ってチャイナドレスを用意する。
レオ「ほら、早く!」
シレイノ「ちょ、ちょっと⁉︎話聞いてます⁉︎聞いてる⁉︎」
レオがシレイノを試着室に引きずっていく。
店員「あのー。」
店員が横から声をかけてくる。
クロノ「はい?」
店員「こちらの服などは似合うのでは…」
バニー服。
クロノ「着ません!」
●
シレイノとレオが試着室が出てくる。
クロノ「わーお。」
頭の左右にシニョン。
ミニスカチャイナ。
クロノ「チャイナ娘か…」
店員「ああ…あああ……」
店員が鼻血を出しながら震えている。
シレイノ「何とか…言ってくれないだろうか…」
恥ずかしいのか、口調も敬語から素になっている。
クロノ「最高に可愛い。」
本音で答える。
キリッとした顔つきだからこそ、チャイナドレスに似合ったかもしれない。
それに加えて、恥ずかしそうにする仕草が普段のクールな印象とギャップを出していて相乗効果を発揮している。
シレイノ「…‼︎」
レオ「でしょー!やっぱり髪型変えると可愛いんだよ!」
シレイノ「いや…あの!」
クロノ「1回失敗すると怖くなって、2回目以降もどうせダメだって思っちゃうんですね。」
レオ「でもちょっと変えるだけで全然違うよ!すごく可愛い!」
レオが1番生き生きしている。
シレイノ「その…その…」
泣き崩れてしまった。
クロノ「え?あれ?なんかマズいこと言いました?」
シレイノ「ちが…その、嬉しくて…」
(服が似合うってのがそんなに嬉しかったのか…)
●
その後はシレイノとレオで試着大会が始まった。
基本的に口を出さずに見守るだけのクロノだったが、スク水に手を出しそうになった時はさすがにNGを出した。
クロノ「というか何故これがこんなところに…」
(これもまた、異世界に連れてこられた被害者か…)
シレイノ「森を歩いていたら落ちていてな。おそらく、下着か何かなんだ。せっかくだから拾っておいたんだが、素材が全く分からない。見たことないんだ。」
(そりゃ、うちの世界のもんだしな。
こっちの世界に素材がホイホイ落ちてるとは思えんし、あっても作れんだろ。)
シレイノ「誰かに着せようかと思ったんだが、中々体にピッチリしそうな下着だし、サイズ的にレオが1番良いのではないかと…」
クロノ「いや、ダメっす。」
レオ「お兄ちゃん…」
うるうるした目で訴えてくる。
クロノ「これ、下着じゃなくて水着です。女物の。」
シレイノ・レオ「水着⁉︎」
声を揃えて驚く。
シレイノ「こ、これが⁉︎」
クロノ「そんなに驚くことか?」
シレイノ「水着と言ったらこんな…ビキニとかだろう!こんなピッチピチで、体の形が布越しにモロに見えてしまうようなものが水着なのか⁉︎水着よりエロいぞ⁉︎」
クロノ「うちの世界ではそういう文化なんです。」
(間違ったことは言ってないはずだ。)
シレイノ「これが…水着…これは可愛いとかではないぞ……」
手をワナワナと震わせながら水着を凝視する。
クロノ「まぁ、泳ぐのに水の抵抗を受けないとかそんなんじゃないですかね。」
レオ「着れないんだ…」
だがギュッと握ったまま放さない。
クロノ「…試着室から出てこないなら、着てもいいよ。」
●
気がつけば既に日も落ちてきていた。
シレイノ「今日は本当に楽しかった。」
クロノ「こちらこそ。レオも楽しそうだったし。」
シレイノからプレゼントと貰ったメイド服を振り回している。
クロノ「シレイノさんもいつの間にか、素の口調ですし。」
シレイノ「あっ…別にいいだろう?」
クロノ「むしろありがたいっすかね。」
レオ「シレイノさん!今日はありがとう!」
シレイノ「あぁ、また来てくれ。店の方でも、私の方でも。クロノも。」
クロノ「女装させてこないならいいですよ。」
シレイノ「ちっ。」
聞こえない程度に舌打ちをしたつもりだろうが、丸聞こえだった。
シレイノ「そういえば、クロノ達はどこから来たんだ?」
クロノ「『ラフ』って分かります?」
シレイノ「あぁ、ギルドだったか。そこの団員だったのか?」
クロノ「レオもですけどね。何かあったら手伝いますよ。それでは。」
シレイノ「もう1つ。」
クロノ「はい?」
シレイノ「世界がどうこう言ってたが…あれは?」
(言ってたな…)
レオの説得の時に元いた世界のことを言っていた。
クロノ「また今度来た時に話します。あんまり言いふらさないでくださいね。」
シレイノに別れを言って、ギルドに戻る。
レオ「どう?」
真紅のドレスに身を包むが、
クロノ「うーん、赤いドレスはもうちょい大人向けだったかな?」
レオが着るには早すぎた。
レオ「そっかぁ。」
(しかし…)
あれから既に2時間が経過している。
(試着だけでこれだけ時間を食うとは…しかもまだ3分の2しか終わってないとは…)
シレイノ「クロノさんもどれか着てみては?」
背後からメイド服を持ったシレイノが近寄ってくる。
クロノ「俺にそんな趣味はねぇですよ?」
シレイノ「ウィッグを付けてみれば似合うと思うのですが…」
クロノ「着ないから!」
シレイノ「それは残念です。」
がっかりしたようにメイド服を戻す。
呆れたクロノもため息をつく。
クロノ「…そんなにカワイイに飢えてるんですか?」
シレイノ「はい。私は自分がカワイイ系ではなく、カッコイイ系だと自覚しておりますので、カワイイ服は似合わないんです。カワイイ服というのは、それはもう好きでした。だから、それはもう苦痛でした。ですが、他の人に着せて愛でる分には自分の見た目は関係ありません。ですから子供の時から私の夢は、可愛い服を着た可愛い女の子と一緒に働く、でした。」
(そんな過去が…)
クロノ「それでこんな変態具合になったと。」
シレイノ「本音が口に出てますよ?」
クロノ「わざとです。」
ハハハと笑い合う。
クロノ「でも、好きなのに似合わないってのは確かに辛そうですね。」
レオ「でも髪型変えたら似合うと思う。」
クロノ「レオ!」
次の服を持って側に立っていた。
レオ「シレイノさん、髪型がキチッとしてるから、もう少し可愛い髪型にしたら変わると思う!」
シレイノ「いやいやいや、髪型でそんなに変わったりは…」
レオ「見た目が1番変わるのは髪型だよ!ちょっと違うだけで全然印象違うんだから!ほら、これ着てみよう!」
そう言ってチャイナドレスを用意する。
レオ「ほら、早く!」
シレイノ「ちょ、ちょっと⁉︎話聞いてます⁉︎聞いてる⁉︎」
レオがシレイノを試着室に引きずっていく。
店員「あのー。」
店員が横から声をかけてくる。
クロノ「はい?」
店員「こちらの服などは似合うのでは…」
バニー服。
クロノ「着ません!」
●
シレイノとレオが試着室が出てくる。
クロノ「わーお。」
頭の左右にシニョン。
ミニスカチャイナ。
クロノ「チャイナ娘か…」
店員「ああ…あああ……」
店員が鼻血を出しながら震えている。
シレイノ「何とか…言ってくれないだろうか…」
恥ずかしいのか、口調も敬語から素になっている。
クロノ「最高に可愛い。」
本音で答える。
キリッとした顔つきだからこそ、チャイナドレスに似合ったかもしれない。
それに加えて、恥ずかしそうにする仕草が普段のクールな印象とギャップを出していて相乗効果を発揮している。
シレイノ「…‼︎」
レオ「でしょー!やっぱり髪型変えると可愛いんだよ!」
シレイノ「いや…あの!」
クロノ「1回失敗すると怖くなって、2回目以降もどうせダメだって思っちゃうんですね。」
レオ「でもちょっと変えるだけで全然違うよ!すごく可愛い!」
レオが1番生き生きしている。
シレイノ「その…その…」
泣き崩れてしまった。
クロノ「え?あれ?なんかマズいこと言いました?」
シレイノ「ちが…その、嬉しくて…」
(服が似合うってのがそんなに嬉しかったのか…)
●
その後はシレイノとレオで試着大会が始まった。
基本的に口を出さずに見守るだけのクロノだったが、スク水に手を出しそうになった時はさすがにNGを出した。
クロノ「というか何故これがこんなところに…」
(これもまた、異世界に連れてこられた被害者か…)
シレイノ「森を歩いていたら落ちていてな。おそらく、下着か何かなんだ。せっかくだから拾っておいたんだが、素材が全く分からない。見たことないんだ。」
(そりゃ、うちの世界のもんだしな。
こっちの世界に素材がホイホイ落ちてるとは思えんし、あっても作れんだろ。)
シレイノ「誰かに着せようかと思ったんだが、中々体にピッチリしそうな下着だし、サイズ的にレオが1番良いのではないかと…」
クロノ「いや、ダメっす。」
レオ「お兄ちゃん…」
うるうるした目で訴えてくる。
クロノ「これ、下着じゃなくて水着です。女物の。」
シレイノ・レオ「水着⁉︎」
声を揃えて驚く。
シレイノ「こ、これが⁉︎」
クロノ「そんなに驚くことか?」
シレイノ「水着と言ったらこんな…ビキニとかだろう!こんなピッチピチで、体の形が布越しにモロに見えてしまうようなものが水着なのか⁉︎水着よりエロいぞ⁉︎」
クロノ「うちの世界ではそういう文化なんです。」
(間違ったことは言ってないはずだ。)
シレイノ「これが…水着…これは可愛いとかではないぞ……」
手をワナワナと震わせながら水着を凝視する。
クロノ「まぁ、泳ぐのに水の抵抗を受けないとかそんなんじゃないですかね。」
レオ「着れないんだ…」
だがギュッと握ったまま放さない。
クロノ「…試着室から出てこないなら、着てもいいよ。」
●
気がつけば既に日も落ちてきていた。
シレイノ「今日は本当に楽しかった。」
クロノ「こちらこそ。レオも楽しそうだったし。」
シレイノからプレゼントと貰ったメイド服を振り回している。
クロノ「シレイノさんもいつの間にか、素の口調ですし。」
シレイノ「あっ…別にいいだろう?」
クロノ「むしろありがたいっすかね。」
レオ「シレイノさん!今日はありがとう!」
シレイノ「あぁ、また来てくれ。店の方でも、私の方でも。クロノも。」
クロノ「女装させてこないならいいですよ。」
シレイノ「ちっ。」
聞こえない程度に舌打ちをしたつもりだろうが、丸聞こえだった。
シレイノ「そういえば、クロノ達はどこから来たんだ?」
クロノ「『ラフ』って分かります?」
シレイノ「あぁ、ギルドだったか。そこの団員だったのか?」
クロノ「レオもですけどね。何かあったら手伝いますよ。それでは。」
シレイノ「もう1つ。」
クロノ「はい?」
シレイノ「世界がどうこう言ってたが…あれは?」
(言ってたな…)
レオの説得の時に元いた世界のことを言っていた。
クロノ「また今度来た時に話します。あんまり言いふらさないでくださいね。」
シレイノに別れを言って、ギルドに戻る。
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