ヒーローライクヒール
その3・詠唱魔法を体感してみよう
フレア「あ、そうだ。」
フレアがマキノに向かって指差す。
フレア「ちょうどいいじゃん。マキノさん、クロノに詠唱魔法見せてやってよ。」
マキノ「詠唱魔法?別に構わんが、なぜそんな流れに?」
フレア「かくかくしかじかです。」
マキノ「なるほどな。」
顎に手を添えて何かを考える素振りをする。
レオ「僕、マキノさんの詠唱魔法見たことない!」
クロノ「マキノさんの詠唱魔法はよく分からないものだって言ってましたけど…」
マキノ「うん?あぁ、まぁそういうやつは多いんじゃないか?専門家でも、理解できるのに時間はかかるだろう。」
クロノ「まじすか…」
マキノ「クロノは詠唱魔法自体見るのは初めてか…うん…よし、いいぞ。やってやろう。」
クロノ「そんな簡単にできるもんなんですか?さっき心の底から〜とか言ってましたけど…」
マキノ「詠唱呪文の条件か?確かにそうだ。なら心の底から、お前をビビらせてやるって気持ちでやってしまえばいい。分かりやすいし、何より印象に残るだろう?」
マキノが両手を広げる。
足元に魔法陣が出現し、クルクルと回り始める。
クロノ「いやでも、そんな簡単に心の底から言えるもんなんですか?」
マキノ「言えるさ。科学者や研究者というのは、自分の知りたいことを知りたいという思い以外にも、偉大な発見や素晴らしい技術を人に見せつけ自慢したいという気持ちでやっている者もいる。おそらく、全員がそうだろうな。たとえそれが少人数が相手だろうと、科学者は常に本気で挑み続ける。私だって科学者のはしくれ。お前を本気でビビらせる為に、私の今までの知識を総動員した、最高の詠唱魔法の片鱗を見せてやろう。」
右手を前に突き出し、手のひらを上に向ける。
銀色の魔力が球体となってマキノの手のひらの上で凝縮される。
フレア「クロノをビビらせたいってだけでここまでやるとは…さすがですね!」
マキノ「フレア、お前をビビらせてもいいんだぞ?」
フレア「遠慮します!」
光の速さで謝る。
クロノ「これってどんくらいヤバイ魔法なんです?」
フレア「うーん…本気でやったら誰も勝てないくらい?」
あっさり最強認定される。
クロノ「えぇ…」
マキノ「安心しろ、今回は本気ではやらんさ。」
球体の魔力を握りしめ、振りかぶる。
フレア「あ、ちょっ、待っ」
止めようとするが遅かった。
マキノ「さぁお前の常識をぶち壊してやる!『望み壊す改定の境界』‼︎」
足元に魔力を投げつける。
地面に触れた瞬間、魔力が広がってギルド全体を包む。
クロノ「………?」
魔力がギルドを覆っただけで何も起こらない。
クロノ「えっと…?」
フレア「あぁ…できれば外から見たかったなぁ…」
もう少しで泣きそうな声で諦めたように言う。
フレア「クロノ、ヘタに動かない方がいいぜ…」
クロノ「え?なんで?」
マキノ「私の詠唱魔法の効果さ。慣れてないやつがヘタに動くと、大惨事になるぞ。」
クロノ「それはまたどういう…」
マキノが椅子を1つ持ち上げる。
クロノ「マキノさん?」
目の前に来て、その椅子を振り上げる。
クロノ「マキノさん⁉︎」
マキノ「大丈夫だから動くなよ?」
(いや大丈夫じゃないよね⁉︎)
思い切り振り下ろされる。
椅子がクロノの体にぶち当たる、かと思いきや、自分の体を透過している。
クロノ「は?え?なにこの状態?」
椅子の中で自分が立っている、という言葉だけではいったいなんなのか分からない状態。
(なんか、物理演算系のゲームでオブジェクトに埋まったキャラクターみたいな…そんな感じのことが…)
だが何かに埋まった感じはなく、例えるならかなりリアルな3Dの映像の障害物の中に立っているような。
クロノ「物体に触れなくする魔法…?」
マキノ「惜しいが、そういうわけではないな。」
なんとなく当てずっぽうで言ったものの、違うらしい。
マキノ「この魔法にはこういう使い方もできる。」
椅子をクロノの体の中に置き、クロノの胸を強く押されてよろめく。
クロノ「おっとっ、とぉ⁉︎」
足を後ろに動かしてバランスを取ろうと思ったが、何故かさっきまで透過していたはずなのに、今度は椅子に体が埋め込まれた。
さっきはすり抜けていたが、今度は文字通り、椅子の体の一部になってしまったかのような状態。
クロノ「待って⁉︎動けないんだけど⁉︎これ!」
マキノ「まだまだあるぞ。こういうのとか。」
マキノがクロノの右手を掴み、体の外側に向かって投げつける。
普通なら、関節の限界であるだいたい270°もいかないであろう角度まで肩が回るが、体の中を貫通して一周して戻ってきた。
クロノ「腕が⁉︎」
マキノ「腕が体の中に入ったあたりで魔法を解除したりとかな。」
(ちょっと待てよ、やっぱ見たことあるぞこういう動き。)
なんとなく察しはついたが、いやいやそんなチート魔法があってたまるかと信じられない。
マキノ「フレア、ちょっと来い。」
笑顔でフレアを呼ぶ。
フレア「いやです。」
言い終わらないうちに拒否する。
マキノ「いいから来い。」
フレア「絶対にいやです。」
マキノ「来い。」
だんだん笑顔になりながら呼ぶが、フレアは全力で拒否する。
フレア「やだ!絶対にやだ!絶対ロクなことしねーもん!絶対なんかするでしょ⁉︎」
近くの椅子にしがみつく。
マキノ「まったく仕方がない…ならそこで食らっとけ。いや、食われてろ。」
マキノが指をパチンと鳴らす。
フレア「へ?」
しがみついていたはずの椅子をすり抜け、椅子の中に倒れる。
すると、今度は椅子の中に体が埋め込まれ、ガタガタとうるさい音を立て始める。
フレア「あががががががががががががが痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いマキノさんゆるしてお願いいいいいいいい!」
(すげぇいたそう。)
マキノ「ハハハ。」
椅子を持ち上げフレアを解放する。
フレア「死ぬかと思った…」
両手をついてうつむく。orz
マキノ「例えば容器に満杯まで水を入れ、蓋をして密閉し、その中に更に水を入れるとする。蓋をしているから溢れるはずの分が外に出れず、中はぎゅうぎゅうになる。そうすると、水は容器を押そうとするが、容器は水を押し潰そうとする。容器が絶対に壊れないものとすると、中の水は思いきり圧縮される。少し暴力的にな。要は、全方向から押し潰されているわけだ。もしくは、全方向から叩き潰されているか。今の場合は、後者かな。こんな風に、色々と物理的に不思議なことをするんだ。」
ギルドを覆っていた魔力が消え去った。
ガイア「どうだ、マキノの詠唱魔法は?」
クロノ「そうっすね…」
(やっぱり、アレ…?)
レオ「分かるの?」
クロノ「…物理法則をいじる魔法?」
マキノが目を見開く。
マキノ「ほう…まさか一発で当ててしまうとは…」
クロノ「あ、マジ?え⁉︎マジで⁉︎」
自分で答えておいてビビる。
クロノ「ウソでしょ⁉︎」
マキノ「ホントさ。モノに触れたらモノがその方向に動くのは当たり前のことだ。だがそんな当たり前のことでは当たり前の結果しか起きない。私は元々戦闘能力はないからな。ただ攻撃する魔法が使えるようになるだけではロクに戦えるようにはならない。その為には、何か普通では考えられないようなことができなくては。そこから、この魔法が出来上がったのだろうさ。」
(まさかバグを操る人が現れるとは…)
フレア「クロノ…お前たまにわけ分からんところ詳しいよな…」
クロノ「そりゃまぁ…お互い様みたいなもんでしょ。」
フレアがマキノに向かって指差す。
フレア「ちょうどいいじゃん。マキノさん、クロノに詠唱魔法見せてやってよ。」
マキノ「詠唱魔法?別に構わんが、なぜそんな流れに?」
フレア「かくかくしかじかです。」
マキノ「なるほどな。」
顎に手を添えて何かを考える素振りをする。
レオ「僕、マキノさんの詠唱魔法見たことない!」
クロノ「マキノさんの詠唱魔法はよく分からないものだって言ってましたけど…」
マキノ「うん?あぁ、まぁそういうやつは多いんじゃないか?専門家でも、理解できるのに時間はかかるだろう。」
クロノ「まじすか…」
マキノ「クロノは詠唱魔法自体見るのは初めてか…うん…よし、いいぞ。やってやろう。」
クロノ「そんな簡単にできるもんなんですか?さっき心の底から〜とか言ってましたけど…」
マキノ「詠唱呪文の条件か?確かにそうだ。なら心の底から、お前をビビらせてやるって気持ちでやってしまえばいい。分かりやすいし、何より印象に残るだろう?」
マキノが両手を広げる。
足元に魔法陣が出現し、クルクルと回り始める。
クロノ「いやでも、そんな簡単に心の底から言えるもんなんですか?」
マキノ「言えるさ。科学者や研究者というのは、自分の知りたいことを知りたいという思い以外にも、偉大な発見や素晴らしい技術を人に見せつけ自慢したいという気持ちでやっている者もいる。おそらく、全員がそうだろうな。たとえそれが少人数が相手だろうと、科学者は常に本気で挑み続ける。私だって科学者のはしくれ。お前を本気でビビらせる為に、私の今までの知識を総動員した、最高の詠唱魔法の片鱗を見せてやろう。」
右手を前に突き出し、手のひらを上に向ける。
銀色の魔力が球体となってマキノの手のひらの上で凝縮される。
フレア「クロノをビビらせたいってだけでここまでやるとは…さすがですね!」
マキノ「フレア、お前をビビらせてもいいんだぞ?」
フレア「遠慮します!」
光の速さで謝る。
クロノ「これってどんくらいヤバイ魔法なんです?」
フレア「うーん…本気でやったら誰も勝てないくらい?」
あっさり最強認定される。
クロノ「えぇ…」
マキノ「安心しろ、今回は本気ではやらんさ。」
球体の魔力を握りしめ、振りかぶる。
フレア「あ、ちょっ、待っ」
止めようとするが遅かった。
マキノ「さぁお前の常識をぶち壊してやる!『望み壊す改定の境界』‼︎」
足元に魔力を投げつける。
地面に触れた瞬間、魔力が広がってギルド全体を包む。
クロノ「………?」
魔力がギルドを覆っただけで何も起こらない。
クロノ「えっと…?」
フレア「あぁ…できれば外から見たかったなぁ…」
もう少しで泣きそうな声で諦めたように言う。
フレア「クロノ、ヘタに動かない方がいいぜ…」
クロノ「え?なんで?」
マキノ「私の詠唱魔法の効果さ。慣れてないやつがヘタに動くと、大惨事になるぞ。」
クロノ「それはまたどういう…」
マキノが椅子を1つ持ち上げる。
クロノ「マキノさん?」
目の前に来て、その椅子を振り上げる。
クロノ「マキノさん⁉︎」
マキノ「大丈夫だから動くなよ?」
(いや大丈夫じゃないよね⁉︎)
思い切り振り下ろされる。
椅子がクロノの体にぶち当たる、かと思いきや、自分の体を透過している。
クロノ「は?え?なにこの状態?」
椅子の中で自分が立っている、という言葉だけではいったいなんなのか分からない状態。
(なんか、物理演算系のゲームでオブジェクトに埋まったキャラクターみたいな…そんな感じのことが…)
だが何かに埋まった感じはなく、例えるならかなりリアルな3Dの映像の障害物の中に立っているような。
クロノ「物体に触れなくする魔法…?」
マキノ「惜しいが、そういうわけではないな。」
なんとなく当てずっぽうで言ったものの、違うらしい。
マキノ「この魔法にはこういう使い方もできる。」
椅子をクロノの体の中に置き、クロノの胸を強く押されてよろめく。
クロノ「おっとっ、とぉ⁉︎」
足を後ろに動かしてバランスを取ろうと思ったが、何故かさっきまで透過していたはずなのに、今度は椅子に体が埋め込まれた。
さっきはすり抜けていたが、今度は文字通り、椅子の体の一部になってしまったかのような状態。
クロノ「待って⁉︎動けないんだけど⁉︎これ!」
マキノ「まだまだあるぞ。こういうのとか。」
マキノがクロノの右手を掴み、体の外側に向かって投げつける。
普通なら、関節の限界であるだいたい270°もいかないであろう角度まで肩が回るが、体の中を貫通して一周して戻ってきた。
クロノ「腕が⁉︎」
マキノ「腕が体の中に入ったあたりで魔法を解除したりとかな。」
(ちょっと待てよ、やっぱ見たことあるぞこういう動き。)
なんとなく察しはついたが、いやいやそんなチート魔法があってたまるかと信じられない。
マキノ「フレア、ちょっと来い。」
笑顔でフレアを呼ぶ。
フレア「いやです。」
言い終わらないうちに拒否する。
マキノ「いいから来い。」
フレア「絶対にいやです。」
マキノ「来い。」
だんだん笑顔になりながら呼ぶが、フレアは全力で拒否する。
フレア「やだ!絶対にやだ!絶対ロクなことしねーもん!絶対なんかするでしょ⁉︎」
近くの椅子にしがみつく。
マキノ「まったく仕方がない…ならそこで食らっとけ。いや、食われてろ。」
マキノが指をパチンと鳴らす。
フレア「へ?」
しがみついていたはずの椅子をすり抜け、椅子の中に倒れる。
すると、今度は椅子の中に体が埋め込まれ、ガタガタとうるさい音を立て始める。
フレア「あががががががががががががが痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いマキノさんゆるしてお願いいいいいいいい!」
(すげぇいたそう。)
マキノ「ハハハ。」
椅子を持ち上げフレアを解放する。
フレア「死ぬかと思った…」
両手をついてうつむく。orz
マキノ「例えば容器に満杯まで水を入れ、蓋をして密閉し、その中に更に水を入れるとする。蓋をしているから溢れるはずの分が外に出れず、中はぎゅうぎゅうになる。そうすると、水は容器を押そうとするが、容器は水を押し潰そうとする。容器が絶対に壊れないものとすると、中の水は思いきり圧縮される。少し暴力的にな。要は、全方向から押し潰されているわけだ。もしくは、全方向から叩き潰されているか。今の場合は、後者かな。こんな風に、色々と物理的に不思議なことをするんだ。」
ギルドを覆っていた魔力が消え去った。
ガイア「どうだ、マキノの詠唱魔法は?」
クロノ「そうっすね…」
(やっぱり、アレ…?)
レオ「分かるの?」
クロノ「…物理法則をいじる魔法?」
マキノが目を見開く。
マキノ「ほう…まさか一発で当ててしまうとは…」
クロノ「あ、マジ?え⁉︎マジで⁉︎」
自分で答えておいてビビる。
クロノ「ウソでしょ⁉︎」
マキノ「ホントさ。モノに触れたらモノがその方向に動くのは当たり前のことだ。だがそんな当たり前のことでは当たり前の結果しか起きない。私は元々戦闘能力はないからな。ただ攻撃する魔法が使えるようになるだけではロクに戦えるようにはならない。その為には、何か普通では考えられないようなことができなくては。そこから、この魔法が出来上がったのだろうさ。」
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