ヒーローライクヒール
その4・オウンテクニック
クロノが初めてこの世界に来た時にいた森の入り口の前。
ハゼット「さぁ、ミニゴブリンにリベンジしに行くとしよう。」
クロノ「ゴブリンですか…」
ゴブリンに襲われかけたことのあるクロノは、少し引け腰である。
ハゼット「ミニゴブリンを倒して初めて一人前だ。奴らは力もあるが、多少の知能もある。兎やスライムとはまた違った戦いにくさだ。森の中を歩いていたらどこかで遭遇するだろう。」
●
森の中は背の高い木に囲まれていて、自分が今どこまで歩いているのか忘れそうになってしまう。
(すごい数の木だなぁ…こういう所だとあんまり動けそうにないなぁ…)
上を見上げる。
木から何本も枝が生えている。
ハゼット「こんな狭い森の中では、地形を意識して戦うことが重要だ。」
クロノ「地形を意識。」
(こういう所って何ができるんだろ。やっぱ木と木を飛び移りながら戦ったりとか?後は、上から奇襲とかできそうだな。)
木々を見上げながら考える。
クロノ「そうか…なるほど。」
奇襲という言葉を思いついた途端、先ほどから頭上でガサガサとなっていた音が葉と葉が擦れ合う音ではなく、何かが頭上を移動している時に葉と触れ合っている音だと気づく。
(奇襲か…多少知能があるっていうならそれくらいやってくる可能性は高いよな。視界の外から襲いかかるなんて、サバンナのライオンだってやってるんだ。ってことは…)
体に魔力を張る。
(奇襲させないように警戒して歩く?いや、なんだって奇襲をかけた瞬間、攻撃する瞬間が隙だらけだ。なら奇襲が成功する直後の隙が1番確実だろ。格ゲーでも、せっかくの技がガードされて確反されることはよくある。ってことは、良い感じにやり返さなきゃならない。でも攻撃を受けちゃったら本末転倒。なら…変わった発想をしてみるか。)
敵を待ちながら、ペースを変えずに歩く。
突然、後頭部に衝撃が走る。
(来た‼︎)
魔法を発動。
魔力の鎧が受けた衝撃を全て吸収する。
(後はこのエネルギーを…‼︎)
吸収した衝撃を左手に回す。
回すまでに通った体の箇所が、そこを殴られたように痛む。
(ちくしょう‼︎だがこれで…‼︎)
左手の拳に受けた衝撃によるエネルギーが集まり、魔力に変える。
クロノ「くらいやがれ‼︎」
左手の甲でミニゴブリンを裏拳。
触れた直後に、雷の属性で攻撃。
電撃がミニゴブリンの体を包み、地面に落ちて動けなくなる。
が、まだ息がある。
左手や、肩がまだ痛んでいる。
(あれか…確かに、水流した後はそこが濡れるもんな。同じ原理か、多分。)
右手に魔力を溜める。
左手と同じように雷の属性を付与。
クロノ「そぉい‼︎」
仰向けに倒れていたミニゴブリンの額に拳を叩き込む。
触れた瞬間、強烈な雷がミニゴブリンを締めつけ、遂に動かなくなった。
クロノ「ふぅ…こんな感じですかね。どうでした?」
ハゼットの方を向く。
ハゼット「あの…あれは…」
指を向けてクルクルしながら言葉に詰まっている様子。
クロノ「え、なんすか?」
ハゼット「殴られたと思ったら、そのまま反撃に転換。まるで、攻撃を食らっていないかのようだった。ゴブリンの方も、硬い岩か何かを殴ったような…何をしたんだ?」
さすがの2000年も初めて見る技だったらしい。
クロノ「えーと…」
(カウンターって言って通じるのかな…)
クロノ「攻撃に限らず、物を動かすとエネルギーってのが生じるんですよ。そのエネルギーは、例えばさっきのゴブリンみたいに、殴ろうとすると当然高くなります。攻撃を食らった瞬間に、そのエネルギーを全部魔力に変換して吸収するんです。吸収した魔力を、今度はこっちが攻撃する用の魔力に変換して、使うっていう。そういう感じの技だったんですけど…」
左手の痛みは治まってはきたが、まだかなり痛んでいる。
クロノ「どうも、ダメージはそのまま残るっぽいですね。」
ハゼット「2000年近く生きてきたが、そんな技術は見たことがない…」
(そりゃそうだよ。受け流すとかじゃなくて、ゲームみたいなモロに殴られたのにそのまま反撃できるカウンターなんて普通考えもしないって。)
しかし、これが自分にしかない技だと思うと、少し嬉しくなってしまう。
ハゼット「どうやら凄いルーキーが現れたようだ。予定より大分早かったが、試験は終わりにしよう。」
クロノ「結果は?」
ハゼット「合格だ。文句の付けようがない。」
クロノ「よしっ‼︎」
両手で大きくガッツポーズをする。
ハゼット「だがこれで調子に乗るなよ?ゴブリンを倒せる程度の傭兵はいくらでもいるからな。力になりたいと言うなら、もっと強くならないといけない。」
クロノ「分かってますよ。」
ハゼット「今日は帰ろう。一旦『ラフ』に戻ってから、マキノの研究所に向かう。」
ハゼット「さぁ、ミニゴブリンにリベンジしに行くとしよう。」
クロノ「ゴブリンですか…」
ゴブリンに襲われかけたことのあるクロノは、少し引け腰である。
ハゼット「ミニゴブリンを倒して初めて一人前だ。奴らは力もあるが、多少の知能もある。兎やスライムとはまた違った戦いにくさだ。森の中を歩いていたらどこかで遭遇するだろう。」
●
森の中は背の高い木に囲まれていて、自分が今どこまで歩いているのか忘れそうになってしまう。
(すごい数の木だなぁ…こういう所だとあんまり動けそうにないなぁ…)
上を見上げる。
木から何本も枝が生えている。
ハゼット「こんな狭い森の中では、地形を意識して戦うことが重要だ。」
クロノ「地形を意識。」
(こういう所って何ができるんだろ。やっぱ木と木を飛び移りながら戦ったりとか?後は、上から奇襲とかできそうだな。)
木々を見上げながら考える。
クロノ「そうか…なるほど。」
奇襲という言葉を思いついた途端、先ほどから頭上でガサガサとなっていた音が葉と葉が擦れ合う音ではなく、何かが頭上を移動している時に葉と触れ合っている音だと気づく。
(奇襲か…多少知能があるっていうならそれくらいやってくる可能性は高いよな。視界の外から襲いかかるなんて、サバンナのライオンだってやってるんだ。ってことは…)
体に魔力を張る。
(奇襲させないように警戒して歩く?いや、なんだって奇襲をかけた瞬間、攻撃する瞬間が隙だらけだ。なら奇襲が成功する直後の隙が1番確実だろ。格ゲーでも、せっかくの技がガードされて確反されることはよくある。ってことは、良い感じにやり返さなきゃならない。でも攻撃を受けちゃったら本末転倒。なら…変わった発想をしてみるか。)
敵を待ちながら、ペースを変えずに歩く。
突然、後頭部に衝撃が走る。
(来た‼︎)
魔法を発動。
魔力の鎧が受けた衝撃を全て吸収する。
(後はこのエネルギーを…‼︎)
吸収した衝撃を左手に回す。
回すまでに通った体の箇所が、そこを殴られたように痛む。
(ちくしょう‼︎だがこれで…‼︎)
左手の拳に受けた衝撃によるエネルギーが集まり、魔力に変える。
クロノ「くらいやがれ‼︎」
左手の甲でミニゴブリンを裏拳。
触れた直後に、雷の属性で攻撃。
電撃がミニゴブリンの体を包み、地面に落ちて動けなくなる。
が、まだ息がある。
左手や、肩がまだ痛んでいる。
(あれか…確かに、水流した後はそこが濡れるもんな。同じ原理か、多分。)
右手に魔力を溜める。
左手と同じように雷の属性を付与。
クロノ「そぉい‼︎」
仰向けに倒れていたミニゴブリンの額に拳を叩き込む。
触れた瞬間、強烈な雷がミニゴブリンを締めつけ、遂に動かなくなった。
クロノ「ふぅ…こんな感じですかね。どうでした?」
ハゼットの方を向く。
ハゼット「あの…あれは…」
指を向けてクルクルしながら言葉に詰まっている様子。
クロノ「え、なんすか?」
ハゼット「殴られたと思ったら、そのまま反撃に転換。まるで、攻撃を食らっていないかのようだった。ゴブリンの方も、硬い岩か何かを殴ったような…何をしたんだ?」
さすがの2000年も初めて見る技だったらしい。
クロノ「えーと…」
(カウンターって言って通じるのかな…)
クロノ「攻撃に限らず、物を動かすとエネルギーってのが生じるんですよ。そのエネルギーは、例えばさっきのゴブリンみたいに、殴ろうとすると当然高くなります。攻撃を食らった瞬間に、そのエネルギーを全部魔力に変換して吸収するんです。吸収した魔力を、今度はこっちが攻撃する用の魔力に変換して、使うっていう。そういう感じの技だったんですけど…」
左手の痛みは治まってはきたが、まだかなり痛んでいる。
クロノ「どうも、ダメージはそのまま残るっぽいですね。」
ハゼット「2000年近く生きてきたが、そんな技術は見たことがない…」
(そりゃそうだよ。受け流すとかじゃなくて、ゲームみたいなモロに殴られたのにそのまま反撃できるカウンターなんて普通考えもしないって。)
しかし、これが自分にしかない技だと思うと、少し嬉しくなってしまう。
ハゼット「どうやら凄いルーキーが現れたようだ。予定より大分早かったが、試験は終わりにしよう。」
クロノ「結果は?」
ハゼット「合格だ。文句の付けようがない。」
クロノ「よしっ‼︎」
両手で大きくガッツポーズをする。
ハゼット「だがこれで調子に乗るなよ?ゴブリンを倒せる程度の傭兵はいくらでもいるからな。力になりたいと言うなら、もっと強くならないといけない。」
クロノ「分かってますよ。」
ハゼット「今日は帰ろう。一旦『ラフ』に戻ってから、マキノの研究所に向かう。」
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