異界に迷った能力持ちの殺人鬼はそこで頑張ることにしました
2話 綺麗な場所
「な、どこだ……ここ? 地獄か……天国か?」
男はそう言いつつ立ってあたりを見渡す。
そこで男は違和感を感じた。
さっきまで動かなかった足で立った。
さらに動く右腕にも気づき、サッと自分の体を見るとさっきまで血塗れだった服も元通りになり、血なども消えていた。
腰回りにはいつも見てきた暗器などがぶら下がっており、まるで逃走劇が起こる前の状態だ。
あまりの事にいつもだったら冷静な対処ができた彼は、初めて人を殺した時の様に頭が混乱するが、とにかく現状確認と行く。
周りは森、しかし前方数メートルから光が差し込み開けた場所だという事だけはわかった。
まずは平野に出てみる。
そ森を抜けて出ると、そこはあたり一面色とりどりの花が咲き誇っていた。
男は驚きその場に立ち尽くす。
絶句したのはその美しさではなく、彼にとってこの様な場所は無縁だからだ。
そして立ち尽くした理由にもう一つある。
「……魔物……ですの?」
その花畑に、屈んで花を摘んでいたらしい金髪の少女がいたのだ。
それを見てここは日本ではないなと思い、少女を無視して花畑に入り込む。
周りには人の気配がこの少女の他に2人、どうやら親がいると思い、キョトンと男の顔をマジマジと見る少女に聞いてみる。
「ここは、どこだ?」
「え?……ここはフェギル草原ですわ…」
フェギル草原。
聞いたことがない地名だ。
そこで男は考える、さっきからこの子の喋る言語が違っていることに。日本語でもない、だが英語やフランス語、中国語とも違う。
まるで頭の中で翻訳されたかの様な感じだ。
ビクつく少女にさらに聞いてみる。
「今は、2015年の何月何日だ?」
「??……なんですのそれは……日を聞いてるのでしたら今日はデザイアの年で陽の月、34日ですわよ」
「……何言ってるんだお嬢ちゃん、そんな暦の国なんて聞いたことねぇよ」
男は呆れ顔で返すが、向こうも困惑しているのか少し身を退く。
どうやら真面目に答えているらしい。
どうなってんだと思いつつ、ふとあたりの花を見渡してみる。
全て綺麗な花ばかりだが、男には見覚えないものばかりだ。
植物図鑑を持っていないといえば納得できるものだが、男は様々な戦地で暗殺をしてきた。そのため、もしもの場合食べられる植物を中心に調べてきていた。
なので、花ぐらいなら主なものは知っているのだが、この場にはどこか遠い地でしか生えていない様な花ばかり。
どうなっている。
胸中に浮かんだのは不安だった。
そう考えると、目の前で怖がる少女が自分よりも恐ろしく怖い存在のように思えた。
「……すまないなお嬢ちゃん、ちょっと森の中で寝てたら寝ぼけてたらしくて変なこと聞いちまった。もう少し寝たらバッチリ起きれるからもう一度寝てくる」
「あの、貴方は人なのですか?」
森の中に戻ろうとする男の背中に、なんとも不思議な質問をする少女。
だが、それは男にとって見に覚えのあるものだった。
顔を触り、マスクを被っていないことに気づく。
「あ、あの、貴方はどうして目や耳や鼻や口があるのに、そんなに皮膚が黒くて、髪の毛もないのですか? 貴方はここに住む魔物なんですの?」
その少女の疑問に、男はただ黙る。
男は黒人といった人種でもなければ、日焼けをする趣味もない。
ただ望んで顔から毛などを抜き、皮膚もわざわざ変えてもらったのだ。仕事柄、自分というものを特定する何かを持つのは極めて不要だからだ。
そのため、男には表情がなかった。
心の中では笑うが、顔をこれにしてから笑ったことはない。
自分の顔のことを言われて気にもしないが、逆に質問で返すことにする。
「さっきから思っていたのだが、その魔物とはなんだ? その様なものが本当にいると思っているのか?」
「えぇ!? …えーと、貴方様は一体何を仰ってるのか私には分からないんですが……もしかして、魔物をご存じないんですの?」
「……そういえばお嬢ちゃんは子供か」
「それは私のことをバカにしてらっしゃるのかしら!? 私はこうみえて13歳であと2年もすれば立派な大人ですのよ」
要領をえない答えと無駄に胸を張って自慢する少女に、男は諦めを感じて森の方に足を進める。
その時である。
ドゴォ、と遠くの方から大きな音が響き、その際に生じたであろう砂埃が巻き起こる
男はそう言いつつ立ってあたりを見渡す。
そこで男は違和感を感じた。
さっきまで動かなかった足で立った。
さらに動く右腕にも気づき、サッと自分の体を見るとさっきまで血塗れだった服も元通りになり、血なども消えていた。
腰回りにはいつも見てきた暗器などがぶら下がっており、まるで逃走劇が起こる前の状態だ。
あまりの事にいつもだったら冷静な対処ができた彼は、初めて人を殺した時の様に頭が混乱するが、とにかく現状確認と行く。
周りは森、しかし前方数メートルから光が差し込み開けた場所だという事だけはわかった。
まずは平野に出てみる。
そ森を抜けて出ると、そこはあたり一面色とりどりの花が咲き誇っていた。
男は驚きその場に立ち尽くす。
絶句したのはその美しさではなく、彼にとってこの様な場所は無縁だからだ。
そして立ち尽くした理由にもう一つある。
「……魔物……ですの?」
その花畑に、屈んで花を摘んでいたらしい金髪の少女がいたのだ。
それを見てここは日本ではないなと思い、少女を無視して花畑に入り込む。
周りには人の気配がこの少女の他に2人、どうやら親がいると思い、キョトンと男の顔をマジマジと見る少女に聞いてみる。
「ここは、どこだ?」
「え?……ここはフェギル草原ですわ…」
フェギル草原。
聞いたことがない地名だ。
そこで男は考える、さっきからこの子の喋る言語が違っていることに。日本語でもない、だが英語やフランス語、中国語とも違う。
まるで頭の中で翻訳されたかの様な感じだ。
ビクつく少女にさらに聞いてみる。
「今は、2015年の何月何日だ?」
「??……なんですのそれは……日を聞いてるのでしたら今日はデザイアの年で陽の月、34日ですわよ」
「……何言ってるんだお嬢ちゃん、そんな暦の国なんて聞いたことねぇよ」
男は呆れ顔で返すが、向こうも困惑しているのか少し身を退く。
どうやら真面目に答えているらしい。
どうなってんだと思いつつ、ふとあたりの花を見渡してみる。
全て綺麗な花ばかりだが、男には見覚えないものばかりだ。
植物図鑑を持っていないといえば納得できるものだが、男は様々な戦地で暗殺をしてきた。そのため、もしもの場合食べられる植物を中心に調べてきていた。
なので、花ぐらいなら主なものは知っているのだが、この場にはどこか遠い地でしか生えていない様な花ばかり。
どうなっている。
胸中に浮かんだのは不安だった。
そう考えると、目の前で怖がる少女が自分よりも恐ろしく怖い存在のように思えた。
「……すまないなお嬢ちゃん、ちょっと森の中で寝てたら寝ぼけてたらしくて変なこと聞いちまった。もう少し寝たらバッチリ起きれるからもう一度寝てくる」
「あの、貴方は人なのですか?」
森の中に戻ろうとする男の背中に、なんとも不思議な質問をする少女。
だが、それは男にとって見に覚えのあるものだった。
顔を触り、マスクを被っていないことに気づく。
「あ、あの、貴方はどうして目や耳や鼻や口があるのに、そんなに皮膚が黒くて、髪の毛もないのですか? 貴方はここに住む魔物なんですの?」
その少女の疑問に、男はただ黙る。
男は黒人といった人種でもなければ、日焼けをする趣味もない。
ただ望んで顔から毛などを抜き、皮膚もわざわざ変えてもらったのだ。仕事柄、自分というものを特定する何かを持つのは極めて不要だからだ。
そのため、男には表情がなかった。
心の中では笑うが、顔をこれにしてから笑ったことはない。
自分の顔のことを言われて気にもしないが、逆に質問で返すことにする。
「さっきから思っていたのだが、その魔物とはなんだ? その様なものが本当にいると思っているのか?」
「えぇ!? …えーと、貴方様は一体何を仰ってるのか私には分からないんですが……もしかして、魔物をご存じないんですの?」
「……そういえばお嬢ちゃんは子供か」
「それは私のことをバカにしてらっしゃるのかしら!? 私はこうみえて13歳であと2年もすれば立派な大人ですのよ」
要領をえない答えと無駄に胸を張って自慢する少女に、男は諦めを感じて森の方に足を進める。
その時である。
ドゴォ、と遠くの方から大きな音が響き、その際に生じたであろう砂埃が巻き起こる
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