タンポポとサクラソウ

ノベルバユーザー173744

タンポポとサクラソウ

ねぇ?
貴方だけに私の思いを伝えたいよ。

ねぇ?
もう届かないと思うけれど、貴方に一輪の花を……。



あの日は暑かったよね?
ドライブに行ったんだ。
白い砂浜、まだ梅雨にはいる前だったけれど、砂は熱くて……。

貴方は言ったよね。
今度、ここでお友達の結婚式があるんだって、
夕焼けがきれいだから、皆ラフな格好で人前式をするんだって。

あぁ、内海の波は穏やかで、沈む夕日はきっと二人の将来を約束してくれる。
終わりじゃないよ、
明日もあるから、
幸せを誓ってご覧って。

周囲は暗くなるけれど、代わりに月が昇る。
そして星々のライトも空から瞬く。

新しいカップルに祝福を……。
おめでとうと言う言葉と、歌に溢れる空間。



人前式の場所まで歩こうって言ってたけど、
貴方の足は早かったよね。
砂に足をとられ、よろけそうになる私に、
話し続ける貴方。

会場になるその場所にたどり着いてホッとしたよ。
階段もちょっと上りにくいけど、ヒールだから仕方ないね。

あぁ、ゆっくりと登ると、そこは思ったよりも開けた場所。
屋根はないけれど、ひとつだけのテーブルと、設置された幾つかの椅子。
簡易式のテーブルを所々において、飲み物とちょっとしたものを持ち寄って、
アットホームなパーティになるんだね。

二人に幸せを、喜びを皆で分かち合おうよ。
紙コップでもいい、ちょっとした料理ですら、
その場ではディナーに変わる。

幸福な二人に祝福を……。
乾杯と言う言葉が繰り返される、その時を。



「いいね、素敵だね」
そう言ったよね。
「じゃぁ、私も手伝いに来ようか?」
ここに連れてきてくれたんだから、そのお礼。
それに……。

「え?何で?」
って、どう言うこと?
見上げた彼の顔は、不思議そうな顔。
「二人と君、知り合いじゃないよね?何で来るの?」

こっちの方が
「えっ?何で?」
だよ。
じゃぁ何でここに連れてきたの?
「ここまでどれくらいで着けるかと、場所の確認」
って、どういう意味?

暑さのせいかな?めまいがするよ。
それに、デートに行こうって貴方が言ったんだよね?
デートって普通、こんなものなの?
それとも私が恋愛レベルが低すぎるから、勘違いしたの?

変な顔をする貴方から顔を背けた。
「じゃぁ、おめでとうって伝えてね?」
ちょっとにじみそうになる涙を、
額の汗を拭く振りをして隠したよ。

あぁ、本当に馬鹿だなぁ……。
貴方は今までの人と一緒だったんだね。
大好きな花だけど、花言葉を思い出しちゃったよ。
貴方はタンポポ……。
とても、悲しい花言葉。



そして、私はサクラソウ……。
もう二度と、繰り返さないように自戒するために庭に植えた。



ねぇ?
私のことをなんだと思ってたの?
ただの友人ならともかく、
意味深に誘っておいて、ズタズタに傷つけないでよ。

それにもう、こんな思いを他の子にさせないで……。
その気にさせて、スルッと逃げる。
タンポポの白い綿帽子が空を舞ってる。
貴方みたいだね……。



そして私は、何度も繰り返す愚かさを反省するために、
サクラソウの世話をする。



貴方に一輪のタンポポをあげる。
思わせ振りな貴方に、
サクラソウの私から別離わかれを伝えるよ。



さようならって……。

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