悪夢を食べるのは獏、命を狩るのがヴァルキュリア
関平の優しさに手を伸ばすのを躊躇う真侑良です。
躊躇いつつ自らを覆う結界を解いた真侑良は、呼吸が細く弱っていた。
関平は中に入り、真侑良を抱き上げると、
「先触を‼西王母さまの元に、お願いを‼仙桃を」
「い、ら……」
朦朧としつつ、『仙桃』の意味を理解していた真侑良は、袖をつかみ、首を振る。
「駄目です。真侑良どの‼まずは静かにお休みなさい」
「だ……め……私は、嫌われて……」
「お休みなさい……」
真侑良の額に唇を寄せた関平のそれに、しっとりとした感触と暖かい何かを感じながら、真侑良は意識を失ったのだった。
緊急に届いた使いに西王母はおっとりと、側近の九天玄女を見る。
「貴方の意見だと、反対って言いそうね」
「そうですわ。ですが人として生まれ、現在ここにいるとしても、女性としては……守ってあげたいと思いますわね」
「では、仙桃を贈りましょう。そして……」
「かしこまりました。すぐに手配を」
西王母の一言に、彼女の側近であり秘書である九天玄女は頭を下げ、下がっていった。
「本当に、愛情と言うものの恐ろしさは……凝り、よどみ、それに巻き込まれた哀しい女性……逃げれば良いものを……優しい人ね……。それに、関平どのは強い方ね。私の夫は仕事にかまけて会いに来てくれないのに……」
九天玄女の名前で届けられた、桃を丁寧に一口大に切られた物を押し戴いた関平は、真侑良に食べさせる。
「真侑良さん……口を開けて」
「……」
その力もなさそうな真侑良の口をちょっと開け、押し込む。
「ちょっと噛んで下さい……そう……そうです。甘いでしょう?」
「……あ、ま……」
「でしょう?もう1つだけ食べましょうね?後でまたたべましょう」
もう1つ口に入れて、モコモコと口を動かす真侑良に、
「傷が悪化していたらいけないので、包帯だけ……治したら、また食べましょう。お菓子も冷茶も用意しますね?」
「ありがとう……」
医師に手当てを頼み、そして薬を飲ませる代わりに仙桃の欠片を口に含ませる。
「ありがとう……」
「構いませんよ。はい。もう1つ」
体調不良の上、絶食の真侑良には沢山食べさせるのはよくないが、時間をかけてゆっくりと運ぶ。
「あの、関平くん。大丈夫だよ……大分……良くなったから、さ……えへへ、恥ずかしいところを……心配かけてごめんね」
「良いですよ。気にしていません。それよりも、桃以外に何か必要でしょうか……」
「あの、関平くん?これ、何?」
「衣や、飾りを用意しているんです」
中国の三国志の映画のような部屋だが、テーブルの上に、見たこともない物が次々と積み上がっていた。
「あ、の……うち……ヴァルキュリアの仕事……」
「治るまでは無理ですし、傷に触らなければ、如何ですか?ね?」
にっこり……
無邪気に笑われ、
「う、うん……ちょっとだけ……」
「ありがとうございます。じゃぁちゃんと休んで下さいね?」
そっと横たえられる。
真侑良は無意識に探す。
関平は、『趙雲くん。』を差し出す。
「あ、ありがとう……」
抱き締めるとへにゃっと笑い、目を閉じる。
ドキン……
と胸が高鳴った。
その高鳴りは、心を許し寝入った真侑良の姿をずっと見ていたいと思っていた……。
関平は中に入り、真侑良を抱き上げると、
「先触を‼西王母さまの元に、お願いを‼仙桃を」
「い、ら……」
朦朧としつつ、『仙桃』の意味を理解していた真侑良は、袖をつかみ、首を振る。
「駄目です。真侑良どの‼まずは静かにお休みなさい」
「だ……め……私は、嫌われて……」
「お休みなさい……」
真侑良の額に唇を寄せた関平のそれに、しっとりとした感触と暖かい何かを感じながら、真侑良は意識を失ったのだった。
緊急に届いた使いに西王母はおっとりと、側近の九天玄女を見る。
「貴方の意見だと、反対って言いそうね」
「そうですわ。ですが人として生まれ、現在ここにいるとしても、女性としては……守ってあげたいと思いますわね」
「では、仙桃を贈りましょう。そして……」
「かしこまりました。すぐに手配を」
西王母の一言に、彼女の側近であり秘書である九天玄女は頭を下げ、下がっていった。
「本当に、愛情と言うものの恐ろしさは……凝り、よどみ、それに巻き込まれた哀しい女性……逃げれば良いものを……優しい人ね……。それに、関平どのは強い方ね。私の夫は仕事にかまけて会いに来てくれないのに……」
九天玄女の名前で届けられた、桃を丁寧に一口大に切られた物を押し戴いた関平は、真侑良に食べさせる。
「真侑良さん……口を開けて」
「……」
その力もなさそうな真侑良の口をちょっと開け、押し込む。
「ちょっと噛んで下さい……そう……そうです。甘いでしょう?」
「……あ、ま……」
「でしょう?もう1つだけ食べましょうね?後でまたたべましょう」
もう1つ口に入れて、モコモコと口を動かす真侑良に、
「傷が悪化していたらいけないので、包帯だけ……治したら、また食べましょう。お菓子も冷茶も用意しますね?」
「ありがとう……」
医師に手当てを頼み、そして薬を飲ませる代わりに仙桃の欠片を口に含ませる。
「ありがとう……」
「構いませんよ。はい。もう1つ」
体調不良の上、絶食の真侑良には沢山食べさせるのはよくないが、時間をかけてゆっくりと運ぶ。
「あの、関平くん。大丈夫だよ……大分……良くなったから、さ……えへへ、恥ずかしいところを……心配かけてごめんね」
「良いですよ。気にしていません。それよりも、桃以外に何か必要でしょうか……」
「あの、関平くん?これ、何?」
「衣や、飾りを用意しているんです」
中国の三国志の映画のような部屋だが、テーブルの上に、見たこともない物が次々と積み上がっていた。
「あ、の……うち……ヴァルキュリアの仕事……」
「治るまでは無理ですし、傷に触らなければ、如何ですか?ね?」
にっこり……
無邪気に笑われ、
「う、うん……ちょっとだけ……」
「ありがとうございます。じゃぁちゃんと休んで下さいね?」
そっと横たえられる。
真侑良は無意識に探す。
関平は、『趙雲くん。』を差し出す。
「あ、ありがとう……」
抱き締めるとへにゃっと笑い、目を閉じる。
ドキン……
と胸が高鳴った。
その高鳴りは、心を許し寝入った真侑良の姿をずっと見ていたいと思っていた……。
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