日常日記

ノベルバユーザー173744

今日は古本マルシェに行ったんだ〜。

今日は、もう遠い昔に卒園した幼稚園で古本マルシェがあった。
今日と明日、二日間である。

昨日門前市でお邪魔した古本屋さんも出店するらしく、地元の隠れた情報もあれば楽しみだとワクワクしていたのだが、まず、幼稚園の雰囲気が変わっていたのに驚いた。
昔はミニ運動場と言ってもいいスペースが木が足され、その間に遊具が置かれて、可愛らしい園庭に様変わりしていた。
広葉樹の木々は夏の間は木陰を作り、今の時期は風に乗ってクルクルと散り急ぐ。
しかし、その下にいる人たちの顔は明るく楽しげだった。

幼稚園の入り口に入ると、年中組の時の教室があるのだが、記憶にある幼稚園とは全く違い、廊下がかなり広かった。
廊下にも胸くらいの高さの本棚が並び、建物内は本と人で溢れかえっていた。
一階には教室が三つ、そして、保育士の先生のスペースがあったはずだが、ロフトスペースが増えていた。
靴を脱いで中に入ると、本と人ごみで動けない。
その上買い物カゴを持って大量買いをする読書ファンも多数。
初日から凄まじかった。

カゴは邪魔とあえて左のブースから入る。
幼稚園は三年間一組だったので一番左の組。
入って見ると、新書を販売するお店が数店舗入っていて、人が歩けないほどいる。
カゴを持ち上げて、

「通ります〜!」

と言う人もいる。
新書は買う予定がなかったので、一応ぐるっと回り、出て、真ん中の教室に入った。
入ろうとすると、見覚えのある人が……。

「あ、おはようございます。今日は出店ですか?」
「あぁ、おはようございます。そうそう。真ん中の教室に古い絵葉書とか本もね」
「そうなんですね」

顔見知りの古本骨董のお店の店主さんである。

「いいの見つけた?」
「いえ、まだまだです」
「じゃぁ、人多いけど頑張って」

そうして中に入ると、天国の世界が……。

「ひなぁぁ〜うわーん(´;Д;`)」
「どうしたの?」
「欲しい本があるのに、手持ち足りないよぉ〜」

一応予算は5000円弱。
でも、まだあと一つの教室を覗いていないのに超えてしまった。

「何が欲しいん?」
「戦国時代の甲冑と、普段着の着替え方の本と、日本の色辞典!それに戦国時代人物辞典に歴史辞典と、ゆるキャラあみぐるみの本」
「いくらするん」
「甲冑のは1200円、色辞典は1080円、戦国時代のはそれぞれ3000強!」
「二冊下げなさい」
「えぇぇぇ……ゆるキャラあみぐるみの本?」
「いくらすんの?」
「250えん」

ひなは黙り込み、分厚い戦国時代の二冊を本棚に戻す。

「わーん、ひなが〜!」
「図書館で借りなさい!全く。色辞典も……」
「それだけはぁぁ!ほら、フルカラーで、日本の色彩が、時代とか、名前の意味とかぁぁ!」
「……それならよし」

そして、最後の教室で、近所のいつもお世話になっている古本屋さんに会う。

「おはようございます。昨日はありがとうございます」
「あぁ、今日来られたんですか?」
「はい。本当に楽しみです」
「何を探されているんです?」
「あ、えっと……」

小説のネタとも言えず、

「地域の歴史の本です。もっと詳しく勉強したいので。そういえばお店は……」
「昨日今日明日とお客が多いんですけどね、二人で切り盛りしているので、嫁が向こうにかかりきりだから、昼食も兼ねて、交代するんですよ」

と穏やかに微笑んだ店主さんに、素敵だなぁと思った。
第三教室に入った私は絶句する。
探していたというか、こう言った本はないのかと思っていた本が、昔、知り合いの人が発掘作業をしていたという場所の、発掘された遺跡跡のイラストや、その時代、そして、こう言った説が考えられると言う文章も載っている本。
これもネタにできるが、もう一つは早く調べ倒したい西日本の戦国時代以前の地域分布図など……。
出るわ出るわ……ついでにもうすでにテンションハイで鼻水とくしゃみ、咳も出ていたのだが頭が痛くなり……後で熱を測ると三十八度超えていた。つまり風邪をひいていたのだった……でも、欲しかった財宝がどんどん発掘されたが如く、涙ぐみながら、

「全部欲しいよ〜」

とぼやく。
その横で冷静な妹は、

「さっきのおじさんのお店の本じゃん。今度買いに行けばいいんだよ」
「(´;Д;`)今日欲しいの〜」
「お子様か!」
「つぎのマルシェには万札数枚持ってくる!」
「全部買わないでよ。何冊買うの?」

と言われ、泣く泣く、甲冑本は諦め、瀬戸内の水運の本と、発掘の本と、文庫を一冊購入した。
合計2730円。
予算内に収まったが、実際は、全身の関節が痛み始め、腰と膝と、股関節、足首、肩が動かすのが辛かったのだった。



レジを終え、帰るときに、昔の桃太郎の絵本を見つけ、値札を見ると3000円とあった。
やたらほおの赤い、目がキラキラの、桃太郎が怖いと見るか凛々しいと見るか……ボロボロの装丁のその本を手にとっていた人に、三千円あったら、戦国時代の辞典を買いたかったと思ったのだった。
価値観の違いと言うのは面白いなと思った。                                          

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