日常日記

ノベルバユーザー173744

土曜日のマルシェ

前日に新聞社の取材の申し入れがあり了承したものの、当日、

「北朝鮮のミサイル問題の取材が急遽入りまして……」

とお断りの電話が入った。
ありがたや……と心底思う。
それに出かけるだけで精一杯で、日陰のマルシェは風も通り、想像以上に涼しい。
その為、午前中は起きていたものの、売れない店舗内で借りた椅子に座り、くぅぅ〜〜と眠ってしまった。

両隣の方も何も言えないほど寝相が良かったらしく、椅子から落ちることもなかったらしい。
元々寝返り打たない人間なので、それが良かったのだろう。
1時間ほど眠ると今度は完全に目が覚めて、動き出す。
今日前のお店はシソと大葉……地域では青紫蘇と紫蘇と言う……が大量に枝ごと売られ、ナスとゴーヤーがそれぞれ30円。
お隣は骨董品のお店で、絵本もあった。
斜め前は終活断捨離ということで、値打ちのあるイタリア製や百貨店の陶器が100円や500円で売られていた。
気に入ったのは、織部焼の大小三つの器セット。
小さいのは小鉢、中ぐらいがお茶碗、大きいのがサラダや煮付けを入れても上品な深鉢。
可愛いのは一箇所うさぎ柄がある。

「これはいくらですか〜?」
「ん〜前も買ってくれたし、400円で良いよ〜」
「えぇぇ、良いんですか?」

丁度、食生活がおかしい自分がちゃんと食べられるようにと、お茶碗を変えたいと思っていたので、買うことにした。
そして、ガラスの小さいいちご柄の器。
ミニチュアテディベアを飾りたいと思ったのは内緒である。

「これは二個で100円」
「ください」

売れてないのに買う癖はとも思ったが、一応必要なお茶碗一式には目をつぶってもらおうと思い、500円払った。
自分のところはと言えば、いつもより売り上げは上がらず、ゼロ。
まぁ、よく寝たし良いかもと思っていたら、

「はい、お隣からイチジクとアイスコーヒー差し入れよ」

と頂き、売れ残った大葉は、袋いっぱいにちぎった葉をいただいた。
大葉ジュースにすると良いらしい。
でも、漬物に大葉を刻んで、おくと風味も変わって美味しいそうである。

その上、帰りは、お野菜のお店の方に家まで送ってもらった。
至れり尽くせりの一日に感謝したのだった。

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