日常日記

ノベルバユーザー173744

枯渇状態のあたし

生きていきたい道を否定され続けた鳥の雛は、手のひらの中で息を引き取り、
子供たちは、過去の戦争の残滓ざんしである地雷の埋まる大地を走り回り、年間数百人の命が奪われる。

ワシントン条約で、行き来ができなくなった生き物が密輸され、
老齢の象は天寿を全うし、動物園には空の檻が増えていく。

日本ではガンや心臓疾患で亡くなる人に迫る勢いで、自ら命を絶つ人もいる。
あたしも、何度か命を絶とうと数百錠の睡眠導入剤を一気に飲み込んだ。

そのまま横になって、孤独死を願った。
しかし実際は、1日半眠っただけで、その後は虚脱感と、体が安定しない、ぐらぐらする……気持ちが悪い……と一週間苦しんだ。

その前に何度か繰り返したときは、胃の洗浄と、点滴。
点滴の痛みと、もうろうとする意識で暴れまわり、最後には手を拘束された。

残ったのは青アザ……そして後悔。
ただ自殺未遂は追い詰められていたことと、寂しかったから……。

でも、その寂しさと言うのは、自分自身がそう思うだけで……ただの甘え。
でも、一言言わせてもらえば、自己破産をしたことで借金からは解放されても、世間の信用は失われている。
その自己破産が、あたしのためではなく、実家のビルの電気代水道代の立て替えだったとしても……あたし自身がカードから借りたのだから自業自得。
返してくれると言う口約束を信じた私が愚かだっただけ。

でも、その代償はあたし自身の支えだった、心が壊れ、家族ともぎくしゃくし始めた。
家族は、あたしを助けてくれると思っていた。
あたしは家族のために300万円も借金をしたのだから……。
毎月家に収入のほとんどを入れていたのだから……。
家のために、買い物をしたり、バイトも増やしたし……。

それが甘ったれたそれであったのを知ったのはすぐだったけれど……それでも……。



それが、愚かなことだと知ったのは……そんな家族なんか見捨ててしまえと思いきるまで、時間はかかったけど、ようやく最近は家族からの電話が来る方が怖くなった。

あたしは、幼い子供だったのだな……。
最近そう思う。
そして、もうひとつ思うのは、好きだった生まれ故郷を捨てたい。
大嫌いな……苗字を捨てられないのだから、生まれ故郷を捨てても良いだろう。


がらんとした動物園の檻には手書きの札が掛けられ、

『○○年○月○日
○○ちゃんは天国に旅立ちました。
○○才でした』

とある。

寂しい文章だが、飼育員さんの気持ちが伝わる絵がかかれてある。

あたしがもし、動物園の動物だったら、それだけでも幸せだと思う。
孤独が苦しくて、悲しくて、寂しくて気を引こうと思っても、

「何考えとんぞ‼迷惑かけるなや‼」

と、言いたいだけ怒鳴った後に電話を切る家族よりも、心がある。
愛情がある。



あたしは、愛情枯渇状態で、愛情の意味を探す。
ここでは、見つけられそうな気がする……。

「日常日記」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「エッセイ」の人気作品

コメント

コメントを書く