音楽初心者の僕がゲームの世界で歌姫とバンドを組んだら
Track.45 固めた決意のその先に 後編
二ヶ月前、僕はリアラさんとで出会う前まで心が廃っていた。竜介達との一件、祈の一件。他にも沢山の嫌な事を経験してきた。それを紛らわすかのように沢山のオンラインゲームをやってきた。
でもいつまで経っても僕の心は晴れなかった。
「返事はいりません。それだときっとリアラさんを苦しめる事になってしまうから」
「だったらどうして今そんな事を」
「僕の決意を見せたかったんです、リアラさんに。何度も言っていますけど、僕はリアラさんからもう離れません。何が起きても、何を言われても僕はあなたを信じます。それが僕からあなたへの恩返しにもなると思うんです」
「恩返し? 私はカオル君には何も」
「僕はリアラさんの歌声に救われたんです。あの時僕の耳に聞こえたあの歌に、あの声に、僕は救われたんです」
「私そこまでの事をカオル君にしていたんですか?」
「まあ、勝手に僕がそう思っているだけでもあるんですけど」
リアラさんは実感していないかも知れないけれど、きっとそれは僕に限った話ではないと思う。きっと歌姫は誰かを不幸にしてしまうかもしれない存在かもしれないけど、それ以上に誰かをその声で幸せにできる。
本人がどう思って、何を言ったって、他の人から見れば歌姫は人を幸せにする力を持っている。
「確かにカオルのいう通りかもしれへんな。ウチもアタルもあんたの歌を聴いた時暖かい何かを感じたんや。きっとアタルも同じやと思う。そんな存在のあんたと、誰も離れたいとは思わへんで」
「ナナミさん……」
「リアラさん、昨日はすみませんでした。確かに僕も何でもかんでも知ろうとしすぎた節はありました。でもそれはリアラさんをもっと知りたかったからです」
「私を……ですか?」
「はい。だけど急ぎ足になりすぎるのも良くなかったんですよね。すぐにとは言わないので、いつかはゆっくりと教えてくれませんか?僕だけではなくナナミ達にも」
「カオル君達が不幸になってしまうかもしれないんですよ? それなら何も言わない方が」
「さっきも言いましたけど、僕はそれを全部受け止めます。何を言われても絶対に」
僕は硬いわ館か決めていた。竜介が言ったように自分が信じる道を僕は貫き通す。それがどんな結果をもたらすことになっても、それだけは絶対に揺るがない。
「私はカオル君を信じていいんですか?」
「信じてください。僕もそれに必ず答えてみせますから」
「ありがとう……。カオル君にそう言ってもらえて、私すごく嬉しいです」
好きになった人の為に、僕は僕であり続ける。
■□■□■□
ちょっと遠回りになったものの、カナリアの解散は無くなった。リアラさんも昨日の事は謝ってくれて、一件落着。のはずだったんだけど……。
「え? 今日一日練習していないんですか?」
「カオルが来おへんかったからな。アタルもカオルがここに来る前にログアウトしとるし、練習するなら明日やな」
「そんな、もう本番まで五日もないのに」
「そう思うならさっさとログインせえや」
「すいません……」
今日一日練習をしなかった為、例のデュエットを完成させるのがほぼ難しい状態になってしまった。リアラさんの言う約束は気になるけど、こればかりはやっぱり諦めるしか……。
「カオル君、今日は寝かせませんよ」
「え?」
リアラさん、それはえっと、どう言う意味で……。
「今日一日休んだ分を夜明けまでに取り戻します」
「あ、そうですよね」
うん、知ってた。
「リアラ、あまり無理しすぎるのは気をつけや。あんた気張り過ぎやと思うから」
「ご心配ありがとうございます。でもこれだけはどうしても本番までには完成させたいんです」
先日もそうだったけど、その言葉にリアラさんが本気なのがひしひしと伝わってくる。本人は約束だと言っていたけど、約束一つで人間はここまで本気になれるのだろうか。
「リアラが本気なのは分かったで。カオルもそれに付いていんやろ?」
「リアラさんが本気なら、僕も答えてあげないといけないと思うから、無理をし過ぎないレベルで頑張るよ」
「ほんなら、ウチはログアウトするわ。眠いし」
「うん、じゃあまた明日」
「お休みなさい、ナナミさん」
「ほな、また」
ナナミがログアウトし、一日ぶりに僕とリアラさんは二人きりになった。ほとぼりは冷めたとはいえ、昨日の今日だし、さっき告白してしまったし、すごく気まずい。
「あの、カオル君」
「は、はい」
「練習をする前に少しお話をしたいんですが」
「は、話ですか?」
「返事はいらないと言いましたが、カオル君の想いにお答えしようと思って」
「え、えっとさっきのは僕もリアラさんを引き止めたくて、ついですね」
恥ずかしさを隠す為にリアラさんに背を向ける。本当に返事はいらなかったので、この展開になってしまったのは流石に僕も予想外だ。恐らく結果は分かる。告白するのは早過ぎた気がするし、せめて友達から始めるのが良かったのかもしれない。
(って友達もバンドのメンバーだし)
やっぱり告白するのは失敗だった気がする。
「私最近ナナミさんにからかわれる事が多かったんです。カオル君の事をどう思っているのかって。この前のデートのキッカケもそこから始まりました」
「それは、何となくそんな気がしました」
「デートの前日、カオル君に心を教えて欲しいと私は言いましたよね。カオル君と一日一緒に過ごせばいい少しでも分かるかなと思ったんです」
「それで……どうだったんですか?」
僕の質問の答えか返って来る前に、背中に暖かい何かが触れるを感じる。僕は突然のことに体がビクッとしてしまう。
「り、リアラさん?」
「それで少しだけ分かった気がしました。私の心」
え、えっとこれはまたどんな状況ですか神様。
でもいつまで経っても僕の心は晴れなかった。
「返事はいりません。それだときっとリアラさんを苦しめる事になってしまうから」
「だったらどうして今そんな事を」
「僕の決意を見せたかったんです、リアラさんに。何度も言っていますけど、僕はリアラさんからもう離れません。何が起きても、何を言われても僕はあなたを信じます。それが僕からあなたへの恩返しにもなると思うんです」
「恩返し? 私はカオル君には何も」
「僕はリアラさんの歌声に救われたんです。あの時僕の耳に聞こえたあの歌に、あの声に、僕は救われたんです」
「私そこまでの事をカオル君にしていたんですか?」
「まあ、勝手に僕がそう思っているだけでもあるんですけど」
リアラさんは実感していないかも知れないけれど、きっとそれは僕に限った話ではないと思う。きっと歌姫は誰かを不幸にしてしまうかもしれない存在かもしれないけど、それ以上に誰かをその声で幸せにできる。
本人がどう思って、何を言ったって、他の人から見れば歌姫は人を幸せにする力を持っている。
「確かにカオルのいう通りかもしれへんな。ウチもアタルもあんたの歌を聴いた時暖かい何かを感じたんや。きっとアタルも同じやと思う。そんな存在のあんたと、誰も離れたいとは思わへんで」
「ナナミさん……」
「リアラさん、昨日はすみませんでした。確かに僕も何でもかんでも知ろうとしすぎた節はありました。でもそれはリアラさんをもっと知りたかったからです」
「私を……ですか?」
「はい。だけど急ぎ足になりすぎるのも良くなかったんですよね。すぐにとは言わないので、いつかはゆっくりと教えてくれませんか?僕だけではなくナナミ達にも」
「カオル君達が不幸になってしまうかもしれないんですよ? それなら何も言わない方が」
「さっきも言いましたけど、僕はそれを全部受け止めます。何を言われても絶対に」
僕は硬いわ館か決めていた。竜介が言ったように自分が信じる道を僕は貫き通す。それがどんな結果をもたらすことになっても、それだけは絶対に揺るがない。
「私はカオル君を信じていいんですか?」
「信じてください。僕もそれに必ず答えてみせますから」
「ありがとう……。カオル君にそう言ってもらえて、私すごく嬉しいです」
好きになった人の為に、僕は僕であり続ける。
■□■□■□
ちょっと遠回りになったものの、カナリアの解散は無くなった。リアラさんも昨日の事は謝ってくれて、一件落着。のはずだったんだけど……。
「え? 今日一日練習していないんですか?」
「カオルが来おへんかったからな。アタルもカオルがここに来る前にログアウトしとるし、練習するなら明日やな」
「そんな、もう本番まで五日もないのに」
「そう思うならさっさとログインせえや」
「すいません……」
今日一日練習をしなかった為、例のデュエットを完成させるのがほぼ難しい状態になってしまった。リアラさんの言う約束は気になるけど、こればかりはやっぱり諦めるしか……。
「カオル君、今日は寝かせませんよ」
「え?」
リアラさん、それはえっと、どう言う意味で……。
「今日一日休んだ分を夜明けまでに取り戻します」
「あ、そうですよね」
うん、知ってた。
「リアラ、あまり無理しすぎるのは気をつけや。あんた気張り過ぎやと思うから」
「ご心配ありがとうございます。でもこれだけはどうしても本番までには完成させたいんです」
先日もそうだったけど、その言葉にリアラさんが本気なのがひしひしと伝わってくる。本人は約束だと言っていたけど、約束一つで人間はここまで本気になれるのだろうか。
「リアラが本気なのは分かったで。カオルもそれに付いていんやろ?」
「リアラさんが本気なら、僕も答えてあげないといけないと思うから、無理をし過ぎないレベルで頑張るよ」
「ほんなら、ウチはログアウトするわ。眠いし」
「うん、じゃあまた明日」
「お休みなさい、ナナミさん」
「ほな、また」
ナナミがログアウトし、一日ぶりに僕とリアラさんは二人きりになった。ほとぼりは冷めたとはいえ、昨日の今日だし、さっき告白してしまったし、すごく気まずい。
「あの、カオル君」
「は、はい」
「練習をする前に少しお話をしたいんですが」
「は、話ですか?」
「返事はいらないと言いましたが、カオル君の想いにお答えしようと思って」
「え、えっとさっきのは僕もリアラさんを引き止めたくて、ついですね」
恥ずかしさを隠す為にリアラさんに背を向ける。本当に返事はいらなかったので、この展開になってしまったのは流石に僕も予想外だ。恐らく結果は分かる。告白するのは早過ぎた気がするし、せめて友達から始めるのが良かったのかもしれない。
(って友達もバンドのメンバーだし)
やっぱり告白するのは失敗だった気がする。
「私最近ナナミさんにからかわれる事が多かったんです。カオル君の事をどう思っているのかって。この前のデートのキッカケもそこから始まりました」
「それは、何となくそんな気がしました」
「デートの前日、カオル君に心を教えて欲しいと私は言いましたよね。カオル君と一日一緒に過ごせばいい少しでも分かるかなと思ったんです」
「それで……どうだったんですか?」
僕の質問の答えか返って来る前に、背中に暖かい何かが触れるを感じる。僕は突然のことに体がビクッとしてしまう。
「り、リアラさん?」
「それで少しだけ分かった気がしました。私の心」
え、えっとこれはまたどんな状況ですか神様。
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