運が無かったから筋力を上げることにした

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4:巨人戦

 よーし、森に到着だ。ん?ここに来るまでになにか無かったのか、だって? いつも通りなにも無かったよ。強いて言えば周りの視線が気になったことかな。なんでだろう?

 とりあえずまずはゴブリンを探さないと。見た目の特徴を訊いといた方が良かったか? まあ、ゴブリンを殺せば冒険者証明プレート……面倒だから冒険者カードでいいや。冒険者カードに討伐数が記録されるからそれで見分けがつくか。

 森かぁ。迷いそうだな。童話だとパンの欠片を所々に落としたりしてるけど、俺はそんなの持ってないし。石だとどこにでも落ちてるから意味無いし。迷わないためにはどうしたらいいか。

 ……木をへし折れば分かりやすい目印になるんじゃないか? 岩が壊せるなら木なんて簡単に折れるだろうし。

 とりあえず木を殴ってみるか。

 ベゴッ!(木の殴った部分が粉々に弾け飛ぶ音)

 おお、これは分かりやすい。どこからどうみても動物に真似できない断面だから目印としてはこれ以上良いものは無いな。

 よし、この調子で木を折りながらゴブリンを探すか。

○●○●○

 タッタッタッタッ

 ベゴッ!

 タッタッタッタッ

 ベゴッ!

 タッタッタッタッ

 ベゴッ!

『称号 森の破壊者を獲得しました。スキル プラントキラーを獲得しました』

 うわっ! なんだいきなり? 声が聞こえたぞ。ゴブリンを探してたら称号とスキルゲットって、予想外にも程があるだろ。そう言えばスキルの能力って見れないのか?

――――――――――――――――――――――――
プラントキラー
 植物型の生物に対して、筋力を2倍する。
――――――――――――――――――――――――

 おお、普通に見れた。ステータス開いてそのスキルの能力を見ると念じるだけていいみたいだ。転移者も一応スキルだし、この際だから全部確認しておくか。

――――――――――――――――――――――――
転移者(スキル)
 異世界においての言語を母国語として理解する。
 異世界の人類に母国語が通じる。
 スキルや称号の獲得を音声で通知する。
 異世界での一般常識を文章にして読める。

転移者(称号)
 異世界に転移した者に与えられる称号。
 スキル 転移者を獲得する。

森の破壊者
 森の木を一定数破壊した者に与えられる称号。
 スキル プラントキラーを獲得する。
――――――――――――――――――――――――

 プラントキラーはまだ使いどきが無いな。俺の筋力と合わさればえげつない能力だけど、植物型の生物なんて見たこと無い。

 転移者は、これのおかげで言葉が通じてたんだな。考えもしなかったけど。それにさっきの声もこれの能力みたいだ。それより異世界での一般常識が文章にして読めるのか。後で読まないとな。

 てか転移者は称号もあるんだな。まあ、転移者全てへのボーナスみたいなもんだろう。

 森の破壊者は……俺そんなに木を折ったか?折ったか。100本近くも折ればこんなのも手に入るんだな。それでプラントキラーが獲得できたと。てことは色々壊しまくれば色んなキラーが手に入るんじゃないか? これは俺TUEEEEの予感か?

 ひとまず、木を殴りながら走ってたから少しは休むか。

 ドシン、ドシン

 と思ってたけど休ませてはくれないみたいだ。それにしてもこの森に入って初のモンスターか。ゴブリンだといいけど、この足音じゃそれは無さそうだな。

 ドシン、ドシン

 お、見えてきた見えてきた。大きさはそこら辺の木より少し小さいぐらいだから10メートルか? 大体そのぐらいの大きさの1つ目の巨人だ。腰には青色の布をまとっているな。右手には棍棒を持ってる。

「グゥオオオオオォォォオ‼」

 うわっ、うるさっ。そんな声出さなくても聞こえるって。

 ……って、なんで棍棒を振り上げてるのかな? それに潰されたら筋力にしかステータス振ってない俺は死ぬよ? 俺の異世界チート生活が始まる前に終わっちゃうよ?

「ウゥオオッ!」

 巨人が裂帛の気合いと共に棍棒を降り下ろす。……って、はやっ! いやちょっと待って、回避もできないよ!? え!?死ぬの!? 俺死ぬの!? あああっ、こうなったらやけくそだっ!

「うらあぁ!」

 ドゴオッ!(殴られた棍棒が砕け散る音)

 いってー、手がヒリヒリする。

 ……あれ、俺、生きてる。やけくそで棍棒殴ったら生きてる。

「グウゥ、グゥアァッ!」

 今度は100年生きた大木の丸太のような左腕が迫ってくる。あれ、全力で殴り返したら勝てる気しかしない。

 ズシャアッ!(巨人の左腕が肩まで裂ける音)

「グゥアアアッ!」

 巨人の腕から真っ赤な鮮血がほとばしる。肩からは温泉のように蒸気が立ち上っている。

「グァ、グァ、グァ。グアァッ!」

 目を充血させ、肩で息をしていた巨人は、捨て台詞なのか一声鳴くと、踵を返し走って逃げていった。

「……あれ、俺、超強いじゃん」

 俺の体は巨人の返り血で汚れていた。

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