運が無かったから筋力を上げることにした

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3:冒険者ギルド

「おおっ」

 町に入ると、たくさんの人々が行き交い、活気溢れる通りがあった。日本の都会とはまた違った活気だ。流石の俺も気圧されて声が出てしまった。

「っと、急がないと」

 今の俺は無一文だからな、明るいうちに身分証明を作ってどうにかして稼がないと。少なくとも宿を借りられるぐらいには稼ぎたいな。

○●○●○

 通りをまっすぐ進むと、かなり広い広場の中心に佇む巨大な噴水が見えてきた。あれはでかすぎないか? 一瞬滝かと思ったぞ。

 と、それはさておき、この辺の左側に冒険者ギルドがあるはずだ。探すか。

「あった」

 いやー、見つかって良かった。左を向いた瞬間2階建ての大きな建物に目立つように剣と杖が交差したマークがあったからすぐ見つけられた。

 両開きの扉を押し開け、中に入る。中は外見通りに広く、正面に受付、左に掲示板、右に備え付けの酒場があるみたいだ。

 とりあえず受付に行けばいいんだろうけど、誰に話しかければいいんだ? 5人もいたら分からないぞ。とりあえず真ん中の人にしておくか。

「本日はどのようなご用件でしょうか?」

 受付の女性が笑みを浮かべて尋ねてくる。

「冒険者ギルドに登録しにきたのですが」

 こんな時って自然と敬語になるよな。

「登録ですね。それでしたら、こちらに触れてください」

 受付の女性はさっきも見たような玉を机に置いた。違う所は、今回の玉は赤色なことだけだ。今度は何色に光るのか。触れてみよう。

 光る色は……白か。なんの捻りもないな。

 受付の女性は、白く光る玉を奥にあった玉座に置いた。すると、玉が赤色に戻り、玉座の横から白い板が出てきた。

「この板が冒険者である証明となります。再発行には1万ゴルが必要ですので、できる限り無くさないようご注意下さい。その他、冒険者についての説明は必要ですか?」

 ゴルはこの世界の金の単位だろうな。1ゴル1円とするなら1万ゴルはだいぶ高いんじゃないか? だとしたら無くさないようにしないとな。ちなみに、板には俺の名前とGという文字、0/10が書かれていた。

 とりあえず説明は必要か。なにも知らないし。知ったかぶっても良いことなんて無いし。

「お願いします」

「分かりました。まず、冒険者には――」

 説明をざっくりまとめるとこんな感じだ。

・冒険者にはZ,S,A~Gランクがあり、Zが最強でGが最弱てある。
・一定の成果を上げるとランクが上がる。
・成果を上げるには、クエストをクリアする必要がある。
・クエストには、通常クエスト、指名クエスト、国家クエストの3種類がある。
・冒険者になると、貴族の爵位は剥奪される。
・冒険者の中にも、戦士、魔道師、拳闘士など、使える技能によって職業が細かく別けられる。

 などだ。

 たくさん説明されたけど大まかに理解できたから問題ない。細かい説明は全部聞き流したけど問題ない。

 あ、あと金はクエストの報酬で貰えるらしい。これで稼ぐ方法は解決だ。早速今から稼がないと金がない。

「今の俺にオススメのクエストってありますか?」

「ご希望のクエスト系統はありますか?」

 おうふ、質問を質問で返された。クエスト系統か。たしかそんなことも言われたな。たしか討伐、採取、調査、護衛、国家、雑用の6つだったか。その中でGランクが受けられるのが討伐と採取と雑用だったよな。この中からだったらやっぱり討伐だろ。

「じゃあ討伐で」

「Gランクの討伐ですと……、アラバ森のゴブリン10体の討伐がオススメです」

 ゴブリン討伐か。報酬は500ゴル。

「受けます」

「では冒険者証明プレートを渡して下さい」

 冒険者証明プレート? ああ、この板か。

 無言で渡すと、無言でなにかをいじり、無言で返却された。

「ゴブリンの討伐数がそこに書かれています。10体倒したら報告に来てください」

 おお、ほんとだ。ゴブリン0/10の表記が加わってる。

「分かりました。ところでアラバ森はどこですか?」

 アラバ森とか知らんぞ。

「東門の先の草原の奥に見える森です」

 なるほど。つまり俺の転移した草原の右に見えたあの森だな。

「ありがとうございます。それじゃあ行ってきます」

 ギルドの扉を押し開け、早歩きで門へ向かう。

 そう言えばよくあるチンピラに絡まれるアレが無かったな。まあ、あっても面倒なだけだけど。

 そんなことより、早く討伐を済ませないと日が暮れる。急ぐか。

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