異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー
4-1 穏やかな朝と朝食
秋のはじめ、空が薄く明るみ始めた頃、勇二はベッドの上で目を覚ました。
「んー、あれ?ここは?」
勇二が目覚めて目にしたのは見覚えのない天井だった。
ベッドから体を起こしてみると幾分か体が重いことに気が付いた。
そこで勇二はやっと昨日の出来事を思い出した。
勇二達は剣の使徒との戦いの後、予定通りに破壊された町の住人やそこに救援にやってきた冒険者たちの弔いをした。
その規模も町丸ごとであったため、それなりに時間はかかったが無事に街にいた人間全員の弔いを行うことができた。
弔いの後、勇二達はリユニオンの街の冒険者ギルドへ帰ることとなったのだが...
「あー、そうだ。結局あの後全然動けなくて朝日の魔法で作った『家』に一泊したんだった」
そこまで思い出すと、今まで自分の寝ていたこの部屋をもう一度見回した。
ベッドとクローゼット、ドアと窓以外がすべて土で作られた部屋。
それ以外の物が何もないシンプルな部屋。
この建物を作った人物の無機質さが出ているというかなんというか。
ちなみにこの家の全体像は日本風の二階建てだったりする。
「出発の時間とかは言ってなかったよね?だったら一度外に出て鍛錬を…」
そう言って勇二が立ち上がった時コンコンッ、という木製のドアをノックする音が聞こえてきた。
「はーい!今出まーす」
思わず地球にいたときの条件反射でそう返すと、勇二は扉の前に立ちゆっくりとドアを開ける。
「って、未希?どうしたの?」
そこにいたのは未希だった。
冒険者をしているとき以外の普段着となるシンプルなワンピースを着ていた。
「おはよ勇二っ!」
「あ、うん。おはよう未希。それで、どうしたの?」
「えっと、朝御飯できたたから一緒に食べよ?」
どうやら朝食のお誘いのようだ。
すると、それを聞いた途端、急激に勇二は空腹感を覚えた。
なにせ、昨日は冒険者ギルドで依頼を受けて出発した後から何も食していないのだ。当然と言えば当然か。
「そっか、分かった。それじゃあ今すぐ着替えて向かうからちょっと待っててね?」
「おっけー!なるべく早く来ないと朝日にどやされるからねー?」
未希がそう言って階段の下に消えるのを見た勇二は苦笑しながら扉を閉め朝食を取るべく着替えを開始した。
-------------------------------------------------------------
「あ、もしかして待たせちゃってた?」
土造りの階段を降りてリビング?の扉を開け放つとそこにはすでに朝日、未希、華夜の面々がそろっていた。
「全然大丈夫だよー」と未希。
「あ、おはようございます勇二さん。まだ料理もあったかいので大丈夫です」と華夜。
「おせぇぞ、勇二。てめぇ待ちだ」と朝日。
前の二人がやんわりと勇二の言葉を否定しているのに対して朝日はきっぱりと肯定している。
まぁ、その発言の後にしっかりと女性人二人に睨まれたわけだが...
「ははは、ごめんごめん」
そんな、いつも通りの朝日に苦笑しながら勇二は席に着く。
未希の右隣り、朝日の正面である。
「それじゃあ、食べよっか?」
「じゃ、今日は一番最後に来た勇二な」
「へ?ああ、そういうこと」
勇二は食事の前で一度、合掌するように手を合わせる。
「いただきます!」
こうして、穏やかな朝食が始まった。
to be continued...
「んー、あれ?ここは?」
勇二が目覚めて目にしたのは見覚えのない天井だった。
ベッドから体を起こしてみると幾分か体が重いことに気が付いた。
そこで勇二はやっと昨日の出来事を思い出した。
勇二達は剣の使徒との戦いの後、予定通りに破壊された町の住人やそこに救援にやってきた冒険者たちの弔いをした。
その規模も町丸ごとであったため、それなりに時間はかかったが無事に街にいた人間全員の弔いを行うことができた。
弔いの後、勇二達はリユニオンの街の冒険者ギルドへ帰ることとなったのだが...
「あー、そうだ。結局あの後全然動けなくて朝日の魔法で作った『家』に一泊したんだった」
そこまで思い出すと、今まで自分の寝ていたこの部屋をもう一度見回した。
ベッドとクローゼット、ドアと窓以外がすべて土で作られた部屋。
それ以外の物が何もないシンプルな部屋。
この建物を作った人物の無機質さが出ているというかなんというか。
ちなみにこの家の全体像は日本風の二階建てだったりする。
「出発の時間とかは言ってなかったよね?だったら一度外に出て鍛錬を…」
そう言って勇二が立ち上がった時コンコンッ、という木製のドアをノックする音が聞こえてきた。
「はーい!今出まーす」
思わず地球にいたときの条件反射でそう返すと、勇二は扉の前に立ちゆっくりとドアを開ける。
「って、未希?どうしたの?」
そこにいたのは未希だった。
冒険者をしているとき以外の普段着となるシンプルなワンピースを着ていた。
「おはよ勇二っ!」
「あ、うん。おはよう未希。それで、どうしたの?」
「えっと、朝御飯できたたから一緒に食べよ?」
どうやら朝食のお誘いのようだ。
すると、それを聞いた途端、急激に勇二は空腹感を覚えた。
なにせ、昨日は冒険者ギルドで依頼を受けて出発した後から何も食していないのだ。当然と言えば当然か。
「そっか、分かった。それじゃあ今すぐ着替えて向かうからちょっと待っててね?」
「おっけー!なるべく早く来ないと朝日にどやされるからねー?」
未希がそう言って階段の下に消えるのを見た勇二は苦笑しながら扉を閉め朝食を取るべく着替えを開始した。
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「あ、もしかして待たせちゃってた?」
土造りの階段を降りてリビング?の扉を開け放つとそこにはすでに朝日、未希、華夜の面々がそろっていた。
「全然大丈夫だよー」と未希。
「あ、おはようございます勇二さん。まだ料理もあったかいので大丈夫です」と華夜。
「おせぇぞ、勇二。てめぇ待ちだ」と朝日。
前の二人がやんわりと勇二の言葉を否定しているのに対して朝日はきっぱりと肯定している。
まぁ、その発言の後にしっかりと女性人二人に睨まれたわけだが...
「ははは、ごめんごめん」
そんな、いつも通りの朝日に苦笑しながら勇二は席に着く。
未希の右隣り、朝日の正面である。
「それじゃあ、食べよっか?」
「じゃ、今日は一番最後に来た勇二な」
「へ?ああ、そういうこと」
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