異界の勇者ー黒腕の魔剣使いー
3-28 寝坊と朝練
「んむぅ…んん?あれ、ここは…?」
鳥のさえずりにより目を覚ました勇二は過剰に睡眠をとった時特有の倦怠感を感じながら体ベッドから起こし、辺りを見回す。
勇二がいたのは見覚えのない部屋だった。
勇二は周囲を見回してみると、ベッドの横にあるテーブルの上に自分の服が乗っているのが見えた。
「んー?あぁ、そうか。思い出した」
そこまで認識した勇二は頭が徐々に覚醒していくにつれて段々と今の状況がつかめてきた。
勇二達は昨晩、冒険者ギルドから出た後、リースとシェリーの案内により一つの民家にたどり着いた。
結論から言えば、それはリースとシェリーの家で勇二達はその晩、食事と寝床を提供してもらうこととなった。
もちろん勇二も日本人。最初は遠慮しようとしたのだが、二人が泊まると知ったシェリーのキラキラとした視線から逃れることができず、結局厄介になる事になった。
「今何時だろう?」
勇二はそう言って部屋の窓から除く空を仰ぎ見る。
するとそこでは、すでに太陽が天高く昇っていた。
「うわっ。さすがに寝過ぎたな…」
道理で体がだるいわけだと勇二は溜息をつきながら首を回し肩を鳴らす。
「…さて、それじゃあ遅くなったけど朝練しに行きますか!」
勇二はそう言うと素早く簡素な服に着替えを済ませ、普段使いの軽鎧を身につけると窓を開け放ち、外に飛び出した。
-------------------------------------------------------------
勇二が家の庭に出ると丁度、庭にある井戸に水を汲みに来ていた未希に遭遇した。
「あ、勇二。おはよ。もうすぐお昼だけど」
「おはよう、未希。ちょっと寝過ごしちゃって…未希は家事の手伝い?」
「うん。流石にお世話になるだけじゃ忍びないからね…もう少ししたらお昼ご飯らしいから、出来たら呼びに行くね。それじゃ、朝練頑張ってね!」
未希はそれだけ言うと水の入った桶を抱えて玄関から家の中に入って行った。
勇二はその後姿を見届けると「ふぅ…」と一つ息を吐き地面に腰かけ、瞑想を始める。朝練開始である。
勇二の朝練というのは瞑想に始まり、柔軟、筋トレ、素振りをして最後に瞑想をして終わるものなのだ。
勇二はこれを物心ついた時からやっていて毎朝の日課となっている。もっとも今は朝ではなく昼に近いとのことだが。
こうして勇二は未希が呼びに来るまでの間、ひたすら自分を高め続けるのだった。
-------------------------------------------------------------
「ユージさん。これ、私の口利きしたお店の名前です」
「あ、ありがとうございます…って多い!?」
「ふふっ。私はこれでも商人の妻です。それなりに顔も広いんですよ?」
所変わって勇二達は今、食卓につていた。
もちろん勇二の装いも鎧を外し、先程の服から着替え、普段着を着用している。
勇二はリースから渡された羊皮紙を見て眉を八の字にして困った顔をする。
「うーん。リースさん。このお店の中でおすすめのお店とかありますか?僕達この街に着いたばかりでちょっと勝手がわからなくて…」
「あら?そうですねぇ…万屋、薬草関係なら『商人の巾着袋』というお店ですね。武具関係なら『クレセリア武具店』がおすすめです」
話を聞く限りではどちらも王都に本店を構える程の人気店だそうだ。
「ありがとうございます。それにしてもこのサラダ、美味しいですね」
「あら、ありがとうございます。実はミキさんとシェリーも手伝ってくれたんですよ。ね?」
「はい!ユージさんのために一生懸命作りました!」
「うん。ありがとう」
勇二はそう言ってテーブルの向かいに座るシェリーの頭を撫でてやる。
「むぅ。勇二、私も頑張ったよ!」
若干シェリーに羨ましそうな視線を向けながらそんな主張をする未希。
「はは、うん。未希の作るご飯はいつもおいしいよ」
「えへへ」
勇二がそう言って微笑めば、未希はくすぐったそうな顔をしつつも笑顔になる。
「あらあら?ユージさんはモテるのね」
「からかわないでくださいよリースさん…」
勇二は若干頬を赤くしながらそっぽを向く。
対して、勇二のその発言を聞いた未希は不機嫌そうな顔をする。
リースはそんな様子をニコニコ微笑みながら眺めている。
シェリーはよく分かっていないのか可愛らしく首をかしげている。
そんな穏やかな時間はその後もうしばらく続くのだった。
to be continued...
鳥のさえずりにより目を覚ました勇二は過剰に睡眠をとった時特有の倦怠感を感じながら体ベッドから起こし、辺りを見回す。
勇二がいたのは見覚えのない部屋だった。
勇二は周囲を見回してみると、ベッドの横にあるテーブルの上に自分の服が乗っているのが見えた。
「んー?あぁ、そうか。思い出した」
そこまで認識した勇二は頭が徐々に覚醒していくにつれて段々と今の状況がつかめてきた。
勇二達は昨晩、冒険者ギルドから出た後、リースとシェリーの案内により一つの民家にたどり着いた。
結論から言えば、それはリースとシェリーの家で勇二達はその晩、食事と寝床を提供してもらうこととなった。
もちろん勇二も日本人。最初は遠慮しようとしたのだが、二人が泊まると知ったシェリーのキラキラとした視線から逃れることができず、結局厄介になる事になった。
「今何時だろう?」
勇二はそう言って部屋の窓から除く空を仰ぎ見る。
するとそこでは、すでに太陽が天高く昇っていた。
「うわっ。さすがに寝過ぎたな…」
道理で体がだるいわけだと勇二は溜息をつきながら首を回し肩を鳴らす。
「…さて、それじゃあ遅くなったけど朝練しに行きますか!」
勇二はそう言うと素早く簡素な服に着替えを済ませ、普段使いの軽鎧を身につけると窓を開け放ち、外に飛び出した。
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勇二が家の庭に出ると丁度、庭にある井戸に水を汲みに来ていた未希に遭遇した。
「あ、勇二。おはよ。もうすぐお昼だけど」
「おはよう、未希。ちょっと寝過ごしちゃって…未希は家事の手伝い?」
「うん。流石にお世話になるだけじゃ忍びないからね…もう少ししたらお昼ご飯らしいから、出来たら呼びに行くね。それじゃ、朝練頑張ってね!」
未希はそれだけ言うと水の入った桶を抱えて玄関から家の中に入って行った。
勇二はその後姿を見届けると「ふぅ…」と一つ息を吐き地面に腰かけ、瞑想を始める。朝練開始である。
勇二の朝練というのは瞑想に始まり、柔軟、筋トレ、素振りをして最後に瞑想をして終わるものなのだ。
勇二はこれを物心ついた時からやっていて毎朝の日課となっている。もっとも今は朝ではなく昼に近いとのことだが。
こうして勇二は未希が呼びに来るまでの間、ひたすら自分を高め続けるのだった。
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「ユージさん。これ、私の口利きしたお店の名前です」
「あ、ありがとうございます…って多い!?」
「ふふっ。私はこれでも商人の妻です。それなりに顔も広いんですよ?」
所変わって勇二達は今、食卓につていた。
もちろん勇二の装いも鎧を外し、先程の服から着替え、普段着を着用している。
勇二はリースから渡された羊皮紙を見て眉を八の字にして困った顔をする。
「うーん。リースさん。このお店の中でおすすめのお店とかありますか?僕達この街に着いたばかりでちょっと勝手がわからなくて…」
「あら?そうですねぇ…万屋、薬草関係なら『商人の巾着袋』というお店ですね。武具関係なら『クレセリア武具店』がおすすめです」
話を聞く限りではどちらも王都に本店を構える程の人気店だそうだ。
「ありがとうございます。それにしてもこのサラダ、美味しいですね」
「あら、ありがとうございます。実はミキさんとシェリーも手伝ってくれたんですよ。ね?」
「はい!ユージさんのために一生懸命作りました!」
「うん。ありがとう」
勇二はそう言ってテーブルの向かいに座るシェリーの頭を撫でてやる。
「むぅ。勇二、私も頑張ったよ!」
若干シェリーに羨ましそうな視線を向けながらそんな主張をする未希。
「はは、うん。未希の作るご飯はいつもおいしいよ」
「えへへ」
勇二がそう言って微笑めば、未希はくすぐったそうな顔をしつつも笑顔になる。
「あらあら?ユージさんはモテるのね」
「からかわないでくださいよリースさん…」
勇二は若干頬を赤くしながらそっぽを向く。
対して、勇二のその発言を聞いた未希は不機嫌そうな顔をする。
リースはそんな様子をニコニコ微笑みながら眺めている。
シェリーはよく分かっていないのか可愛らしく首をかしげている。
そんな穏やかな時間はその後もうしばらく続くのだった。
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