２－３　ギルド登録

リザーブの街、その門前通りの一角にそれはあった。
冒険者ギルドリザーブ支部。
その扉の前に見かけない三人の少年達が立っていた。
革鎧を身に着けた黒髪の少年とローブを着た茶髪の少女、コートを羽織った細身の青年。
この世界では黒系の髪は比較的珍しいらしいこともあってか、道行く人々の注目を集めている。
青年は集まる視線を鬱陶しそうにしながらも二人に声を掛ける。
すると隣にいた二人は一度頷き三人は冒険者ギルドの中に入っていくのだった。
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「ふうー、すごい注目だったね」
「なんであんなに注目されてたんだろうな」
ギルドに入って開口一言目に疑問を口にする勇二と朝日。
詰め所から出た後、三人は兵士に言われた通りに門の前の大通りを歩いてきた。
来る道中で問題事に巻き込まれた訳でもないのにもかかわらずあの注目だ。
原因があるとすれば...
（やっぱり黒髪は目立つのか？）
やはり日本人特有の黒髪黒目だろう。
勇二はもろで黒髪、朝日は茶髪だがどちらかというと黒髪寄り、未希も同じくだ。
街の住人を見たところ黒髪のものは少なかった。
いても限りなく黒に近い紺色だったりする。
「さてと、ギルド登録はっと」
そういって朝日はギルドの内部を見渡した。
どうやら冒険者ギルドというのは酒場と一緒になっているようで右が酒場、左がギルド関係という風に分けられていた。
右の酒場ではガラの悪そうな冒険者が真昼間から飲み食いをしていた。
ギルドと酒場のちょうど真ん中のところでは大きな掲示板のようなものが立っており、沢山の紙が貼られていた。
その前に数人の冒険者たちが立ちはられている紙を見比べていた。
「あっ、あったよ！ほら、あそこ『ギルド登録受付』だって！」
どうやら未希が発見したようだ。
未希の指さす方を見ればそれはギルドの受付、その左端にあった。
朝日達の視線に気づいたのか受付に立っていた受付嬢はニコリとはにかみお辞儀をしてきた。
勇二は軽くお辞儀を返し、その受付嬢のもとに向かう。
掲示板の前に立っていた男性冒険者たちから殺気のようなものを感じたような気がするがここはスルーしておく。
「冒険者ギルドにようこそ！登録ですね？身分証を掲示してください」
「はい、これでいいんですよね？」
そういって勇二は三人の身分証を差し出す。
「はい、少々お待ちください」
受付譲は、そう言うと受け取った身分証を受付カウンターの上に置いてあった水晶にかざす。
「魔道具か？」
「はい、ギルド証を作るための専用の魔道具となります。では続いて水晶に手を当ててください。あ、身分証はお返しします」
そういって受付嬢は朝日達に身分証を返却する。
「えっと、もしかして魔力量を測るんですか？」
「いえ、魔力量ではなく魔力の波長を測るんです。魔力はどんな人でも持っていますし、人によって波長が違うので個人識別のために必要になるんです」
その言葉に三人はほっとした表情になる。
なにせ三人は王城で魔力量測定用の水晶を壊したばかりである。
流石にここでも壊してしまうのは拙いと思ったのだろう。
その後、三人は勇二、未希、朝日の順で水晶に手を当て無事、魔力の波長を登録し終わった。
「では、ギルド証ができるまで少しギルドの規則について説明しますね」
すると受付嬢はカウンター下から一枚の羊皮紙を取り出した。
その紙にはギルド内での規則について書かれていた。
受付嬢はそれを一つ一つ読み上げていく。
内容を要約するとこうだ。
・ギルドにはランクというものがありＦランクからＳランクまである。
・Ｆランクの冒険者は魔物の討伐依頼を受けることができず、受けることができるのはEランクからとなる。
・依頼をこなすことでランクが上がる。
・Ｃランク以上のランクに昇格するには特別な試験を受けてもらうことになる。
・Ｃランクからはパーティと呼ばれる制度により冒険者同士の枠組みを作ることができる。
・さらに高位のＡランクになるとクランと呼ばれる組織を作ることができる。
・冒険者同士の争いごとにギルドは直接関与はしない。
・ギルドを介さず違法な依頼を受けた場合は相応の処罰を与える。
・また犯罪を犯した場合はギルド証の剥奪した後、詰め所に連行される。
・戦いの心得があるものは登録直後でもＥランクになることができる。
と、言うものだった。
はっきり言って登録してすぐにＥランクになることができるのはありがたかった。
なにせ自分たちには時間がないのだから。
「成程、では早速ランクをＥにしてくれますか？戦闘についてはそれなりに実力がありますから」
そう言ったのは勇二だ。
その言葉に朝日は驚いた顔をする。
当然だろう、なにせ勇二は人助け大好き人間なのだ。
ランクが上がれば自然とその人助けなどの依頼を受けることも減っていくのだ。
驚いた顔をしている朝日に不満そうな表情をする勇二。
それをジト目で見る朝日。
そんな二人のやり取りをにこにこしながら眺める未希。
いつも通りである。
しかし、そんな三人に声を掛けるものがいた。
「っは、おいおい何の冗談だ？そんなガキどもが冒険者、それもＥランクだなんてよぉ？」
それは先ほどまでギルドの酒場で酒を飲んでいたガラの悪い男性冒険者だった。

to be continued...