県立図書館のお話
こちらは、不知火家です。
「祐次?」
母の愛の声に、無視をする。
「祐次‼呼んでるでしょう?お願いがあるの?」
「何?忙しいんだけど」
「ゲームしてたじゃないの……もう」
愛は困った顔をする。
「……何かあったの?もしかして、もしかして、お母さんの……」
「違う‼」
「じゃぁ……」
祐次のスマホから音楽が響く。
「あ、あげっち先輩からだ……もしもし?先輩……じゃねぇ‼兄ちゃん‼何で⁉」
叫ぶ。
異父兄、祐也である。
『久しぶり。祐次』
「兄ちゃん‼何で⁉あげっち先輩の電話‼」
『知り合いか?』
「それは俺が聞きたいよ‼あげっち先輩とどういう知り合いだよ⁉」
『幼馴染み。家の父さんと、揚羽の父さんが親友で、媛と揚羽の姉の立羽が同じ年で、良く遊んでたんだ。祐次は?』
一瞬考え込むが素直に、
「いや、俺、進学校に入っただろ?でも、成績が良くなくて図書館でうなってたら、あげっち先輩が教えてくれて。それから仲良くしてもらってたんだ。で、本当は今日約束してたのにって……」
『今日は無理だぞ?』
「えっ?先輩の回りでなんかあったのか?兄ちゃん‼」
『いや。揚羽、車に跳ねられて、骨折入院。全身麻酔してる』
「はぁぁ‼」
飛び上がる。
「兄ちゃん‼先輩、どこの病院‼」
『ピースの病院』
「ラジャー‼すぐ行く‼」
『騒ぐなよ?揚羽の妹がいるからな』
祐也に釘を刺されるが、
「あれ?あげっち先輩、姉ちゃんはいるけど……」
『それに、穐斗が……』
ひとしきり電話口で大騒ぎし、
『ゆうにいちゃん‼あーきーとーだよ~‼』
『杏樹も~‼ゆうにいちゃん‼遊ぼ?おっかけっこ‼』
『駄目だよ。結愛もいるんだもん。おままごと』
『え~‼カブトムシにクワガタムシ‼』
甥姪の騒動に頭を抱える。
兄の子供は、穐斗はただただ愛らしく、お人形のようにおっとりしており、杏樹はおっとりしているが大胆な……図太い女の子である。
穐斗が生まれたときには、女の子だと思った為、
「何で女の子に穐斗なのさ?」
と聞き、兄に、
「いや、穐斗は男。こっちのじいちゃんばあちゃんや両親が、べっぴんや言うて何でもこうてくるけんなぁ……それに、大人しいけん。穐斗?」
振り返った幼児が、にぱぁぁ……と笑う姿に祐次もめろめろになったのだが……。
『ゆうにいちゃん‼あのね?お友だちのお姉ちゃんがいるの。お人形遊びしてるの』
「ちゃんばらごっことか……しないのか?」
『那岐ちゃんにエイって。泣いちゃった……そうしたら、風早お兄ちゃんが日向パパ呼んで、おしりペンペン』
兄も温厚だが、穐斗は兄の嫁の蛍に似たらしい。
と、再び電話の向こうが大騒ぎになり、
『わぁぁ、祐次くん久しぶりです。元気?』
えへっ?
と声が聞こえてきそうな、兄と同じ年には到底思えない三児の母の声。
「……姉ちゃんも元気そうだな。えっと……大丈夫か?体」
『ありがとう。祐次くん優しいね~』
と言うか、小さい頃に初めて会った兄嫁は本当にお人形のように可愛かったのだ。
今でも、年をどこかに忘れて来たのかと思うほど若い‼
幼い‼
『じゃぁ、遊びに来てね?えっと、お部屋番号は……祐也がいってるけどこの番号だから』
「えっと、遊びにって、病院じゃん‼姉ちゃん‼」
『だって、久しぶりに祐也も、うちも祐次くんに会いたいもん。ね?祐也?』
義理の姉は好きだが、それ以上に兄が好きな祐次は、
「わ、解った。行くから‼待ってて‼」
と言ったのだった。
母の愛の声に、無視をする。
「祐次‼呼んでるでしょう?お願いがあるの?」
「何?忙しいんだけど」
「ゲームしてたじゃないの……もう」
愛は困った顔をする。
「……何かあったの?もしかして、もしかして、お母さんの……」
「違う‼」
「じゃぁ……」
祐次のスマホから音楽が響く。
「あ、あげっち先輩からだ……もしもし?先輩……じゃねぇ‼兄ちゃん‼何で⁉」
叫ぶ。
異父兄、祐也である。
『久しぶり。祐次』
「兄ちゃん‼何で⁉あげっち先輩の電話‼」
『知り合いか?』
「それは俺が聞きたいよ‼あげっち先輩とどういう知り合いだよ⁉」
『幼馴染み。家の父さんと、揚羽の父さんが親友で、媛と揚羽の姉の立羽が同じ年で、良く遊んでたんだ。祐次は?』
一瞬考え込むが素直に、
「いや、俺、進学校に入っただろ?でも、成績が良くなくて図書館でうなってたら、あげっち先輩が教えてくれて。それから仲良くしてもらってたんだ。で、本当は今日約束してたのにって……」
『今日は無理だぞ?』
「えっ?先輩の回りでなんかあったのか?兄ちゃん‼」
『いや。揚羽、車に跳ねられて、骨折入院。全身麻酔してる』
「はぁぁ‼」
飛び上がる。
「兄ちゃん‼先輩、どこの病院‼」
『ピースの病院』
「ラジャー‼すぐ行く‼」
『騒ぐなよ?揚羽の妹がいるからな』
祐也に釘を刺されるが、
「あれ?あげっち先輩、姉ちゃんはいるけど……」
『それに、穐斗が……』
ひとしきり電話口で大騒ぎし、
『ゆうにいちゃん‼あーきーとーだよ~‼』
『杏樹も~‼ゆうにいちゃん‼遊ぼ?おっかけっこ‼』
『駄目だよ。結愛もいるんだもん。おままごと』
『え~‼カブトムシにクワガタムシ‼』
甥姪の騒動に頭を抱える。
兄の子供は、穐斗はただただ愛らしく、お人形のようにおっとりしており、杏樹はおっとりしているが大胆な……図太い女の子である。
穐斗が生まれたときには、女の子だと思った為、
「何で女の子に穐斗なのさ?」
と聞き、兄に、
「いや、穐斗は男。こっちのじいちゃんばあちゃんや両親が、べっぴんや言うて何でもこうてくるけんなぁ……それに、大人しいけん。穐斗?」
振り返った幼児が、にぱぁぁ……と笑う姿に祐次もめろめろになったのだが……。
『ゆうにいちゃん‼あのね?お友だちのお姉ちゃんがいるの。お人形遊びしてるの』
「ちゃんばらごっことか……しないのか?」
『那岐ちゃんにエイって。泣いちゃった……そうしたら、風早お兄ちゃんが日向パパ呼んで、おしりペンペン』
兄も温厚だが、穐斗は兄の嫁の蛍に似たらしい。
と、再び電話の向こうが大騒ぎになり、
『わぁぁ、祐次くん久しぶりです。元気?』
えへっ?
と声が聞こえてきそうな、兄と同じ年には到底思えない三児の母の声。
「……姉ちゃんも元気そうだな。えっと……大丈夫か?体」
『ありがとう。祐次くん優しいね~』
と言うか、小さい頃に初めて会った兄嫁は本当にお人形のように可愛かったのだ。
今でも、年をどこかに忘れて来たのかと思うほど若い‼
幼い‼
『じゃぁ、遊びに来てね?えっと、お部屋番号は……祐也がいってるけどこの番号だから』
「えっと、遊びにって、病院じゃん‼姉ちゃん‼」
『だって、久しぶりに祐也も、うちも祐次くんに会いたいもん。ね?祐也?』
義理の姉は好きだが、それ以上に兄が好きな祐次は、
「わ、解った。行くから‼待ってて‼」
と言ったのだった。
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