県立図書館のお話
白熊先生と夏蜜は仲良しです。
朝のご飯は、基本的なご飯とお味噌汁とお魚と言う感じだが、
「プリンがある……」
「あれ?嫌い?」
「ううん。大好き。でも、食べさせてくれてるお祖母ちゃんとお兄ちゃんにあげる」
手伝いながら、揚羽は夏蜜に、
「これはね、栄養士さんと調理師さんが考えて、夏蜜ちゃんの為に作った朝御飯だからね?夏蜜ちゃんに食べてもらわないと、残念がるよ?」
「で、でも、お兄ちゃん、コンビニのおにぎりと……」
「ん?お兄ちゃんは、母さんが来たら、交代でお家に帰るんだ。明日は学校だし、服も着替えたいからね」
「……」
ふにゃ……
顔が歪む。
一人になるのかと思ったらしい。
慌てて、揚羽は、
「一人じゃないからね?姉さんと瑠璃も来るからね?」
「ばあちゃんもおるけんな?」
福実は、スプーンを差し出しながら、微笑む。
「お祖母ちゃんはおるん?」
「おるよ。泣かんでエェよ?なっちゃんはばあちゃんがおるけんな?揚羽は学校があるけんなぁ。受験があるんよ」
「受験……お兄ちゃん、高校3年生?」
「そうなんよ」
首をすくめる。
「首都圏の大学に行けって学校は言うけどなぁ……田舎でえぇんやけど」
「すごい‼」
「すごうないすごうない。それよりも、プリンプリン」
「お食べよ?なっちゃん」
モソモソと食べる少女は、とろとろしているのではなく少食らしい。
好き嫌いはあまり無さそうだが、大量の食事は残してしまうのかもしれない……と、福実は、
「なっちゃんよ?もしかして残ったらもったいないなぁとか思とるんかな?」
「う、うん……あ、あのね。お祖母ちゃん。夏蜜。ご飯食べるの遅くて……」
「そうやったら、揚羽兄ちゃんに、食べてって半分こしようって言えばかまんのよ。兄ちゃんはなっちゃんの兄ちゃんや。一緒に食べようかて言うてくれる」
夏蜜は、ためらいがちに、
「お兄ちゃん……ご飯半分こして?お魚さんも半分こ。駄目?」
「あ、いいの?兄ちゃんはうれしいけど」
「うんっ‼ありがとう。お兄ちゃん」
蓋に半分ご飯と魚をとった揚羽は、
「お兄ちゃん。物足りなかったんだ。いただきます」
と口に運ぶ。
「はい、なっちゃんもあーん」
と、福実は食べさせたのだった。
食事を終え、少しした頃、診療に来たのは平和である。
しかし、手にしているのは何故かお人形。
揚羽はめまいがしそうになる。
が、平和は、身長11センチくらいの可愛いお人形を手にして近づいてくる。
パンダの着ぐるみを着たピンクの髪とブルーの瞳のお人形に、夏蜜は目をキラキラさせる。
「可愛いお人形‼美人」
「可愛いだろう?お兄ちゃん……えっと、先生のお友達でね。夏蜜ちゃんが大丈夫かな~?だって。お名前はヴィヴィちゃん」
「ヴィヴィちゃん‼」
「元気になるまで傍にいるから頑張ってだって」
「うわぁぁ……」
そっと手を伸ばし人形を受けとると、
「先生、ありがとう。ヴィヴィちゃん可愛い‼」
「良かった。ヴィヴィちゃんは横になると目を閉じるからね」
「ほんとだ‼」
又か……。
平和は可愛いものが好きである。
一応変な性癖はない。
が、ブライスオタクである。
もう揚羽は慣れたが、プラモデルとかポスターが並んでいそうな部屋には、医学書の棚とともに、ブライス人形は綺麗に飾られたガラス棚がある。
暑苦しいはずの男の部屋が、人形だらけにミシンや布があるのに一度は引いた。
しかし、可愛らしい人形を大事にしている……他人に迷惑かける訳でもないので構わないのではないかと思い直している。
「兄さん……それ、兄さんの私物でしょ?いいの?」
「夏蜜ちゃんとヴィヴィちゃんが喜んでいる‼構うまい‼」
「……お別れすることになったらどうするんです?」
「……うっ!考えていなかった。でも、その時は、涙を呑んで夏蜜ちゃんにあげるとも‼あれはプチブライスいって、小さいサイズの子なんだ」
「何で小さい子を持っているんです?」
軽く見ると、
「つ、つれて歩けるから……」
「兄さん。一応この病院の研修医でしょうが……変人扱いされたらどうするんですか?」
「大丈夫だ‼可愛いものは可愛い‼」
駄目だ……。
呆れる。
しかし、着いてきた看護師さんを見ると何故か胸のポケットにブライス人形を入れている人がいる。
「あの、看護師さんは?」
「ブライス仲間だぞ?」
「……」
病院で、違う世界を見せてどうする。
医学はどこに行った‼
揚羽はまともなことを思ったのだった。
「プリンがある……」
「あれ?嫌い?」
「ううん。大好き。でも、食べさせてくれてるお祖母ちゃんとお兄ちゃんにあげる」
手伝いながら、揚羽は夏蜜に、
「これはね、栄養士さんと調理師さんが考えて、夏蜜ちゃんの為に作った朝御飯だからね?夏蜜ちゃんに食べてもらわないと、残念がるよ?」
「で、でも、お兄ちゃん、コンビニのおにぎりと……」
「ん?お兄ちゃんは、母さんが来たら、交代でお家に帰るんだ。明日は学校だし、服も着替えたいからね」
「……」
ふにゃ……
顔が歪む。
一人になるのかと思ったらしい。
慌てて、揚羽は、
「一人じゃないからね?姉さんと瑠璃も来るからね?」
「ばあちゃんもおるけんな?」
福実は、スプーンを差し出しながら、微笑む。
「お祖母ちゃんはおるん?」
「おるよ。泣かんでエェよ?なっちゃんはばあちゃんがおるけんな?揚羽は学校があるけんなぁ。受験があるんよ」
「受験……お兄ちゃん、高校3年生?」
「そうなんよ」
首をすくめる。
「首都圏の大学に行けって学校は言うけどなぁ……田舎でえぇんやけど」
「すごい‼」
「すごうないすごうない。それよりも、プリンプリン」
「お食べよ?なっちゃん」
モソモソと食べる少女は、とろとろしているのではなく少食らしい。
好き嫌いはあまり無さそうだが、大量の食事は残してしまうのかもしれない……と、福実は、
「なっちゃんよ?もしかして残ったらもったいないなぁとか思とるんかな?」
「う、うん……あ、あのね。お祖母ちゃん。夏蜜。ご飯食べるの遅くて……」
「そうやったら、揚羽兄ちゃんに、食べてって半分こしようって言えばかまんのよ。兄ちゃんはなっちゃんの兄ちゃんや。一緒に食べようかて言うてくれる」
夏蜜は、ためらいがちに、
「お兄ちゃん……ご飯半分こして?お魚さんも半分こ。駄目?」
「あ、いいの?兄ちゃんはうれしいけど」
「うんっ‼ありがとう。お兄ちゃん」
蓋に半分ご飯と魚をとった揚羽は、
「お兄ちゃん。物足りなかったんだ。いただきます」
と口に運ぶ。
「はい、なっちゃんもあーん」
と、福実は食べさせたのだった。
食事を終え、少しした頃、診療に来たのは平和である。
しかし、手にしているのは何故かお人形。
揚羽はめまいがしそうになる。
が、平和は、身長11センチくらいの可愛いお人形を手にして近づいてくる。
パンダの着ぐるみを着たピンクの髪とブルーの瞳のお人形に、夏蜜は目をキラキラさせる。
「可愛いお人形‼美人」
「可愛いだろう?お兄ちゃん……えっと、先生のお友達でね。夏蜜ちゃんが大丈夫かな~?だって。お名前はヴィヴィちゃん」
「ヴィヴィちゃん‼」
「元気になるまで傍にいるから頑張ってだって」
「うわぁぁ……」
そっと手を伸ばし人形を受けとると、
「先生、ありがとう。ヴィヴィちゃん可愛い‼」
「良かった。ヴィヴィちゃんは横になると目を閉じるからね」
「ほんとだ‼」
又か……。
平和は可愛いものが好きである。
一応変な性癖はない。
が、ブライスオタクである。
もう揚羽は慣れたが、プラモデルとかポスターが並んでいそうな部屋には、医学書の棚とともに、ブライス人形は綺麗に飾られたガラス棚がある。
暑苦しいはずの男の部屋が、人形だらけにミシンや布があるのに一度は引いた。
しかし、可愛らしい人形を大事にしている……他人に迷惑かける訳でもないので構わないのではないかと思い直している。
「兄さん……それ、兄さんの私物でしょ?いいの?」
「夏蜜ちゃんとヴィヴィちゃんが喜んでいる‼構うまい‼」
「……お別れすることになったらどうするんです?」
「……うっ!考えていなかった。でも、その時は、涙を呑んで夏蜜ちゃんにあげるとも‼あれはプチブライスいって、小さいサイズの子なんだ」
「何で小さい子を持っているんです?」
軽く見ると、
「つ、つれて歩けるから……」
「兄さん。一応この病院の研修医でしょうが……変人扱いされたらどうするんですか?」
「大丈夫だ‼可愛いものは可愛い‼」
駄目だ……。
呆れる。
しかし、着いてきた看護師さんを見ると何故か胸のポケットにブライス人形を入れている人がいる。
「あの、看護師さんは?」
「ブライス仲間だぞ?」
「……」
病院で、違う世界を見せてどうする。
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