異世界でウサギダンジョン始めました

テトメト@2巻発売中!

第43層 新ダンジョン


「朝だよお姉ちゃん!新しい朝が来たよお姉ちゃん!希望の朝だよお姉ちゃん!!」
「・・・シルフうっさい。テンション上がってるのは分かるけど寝ている人の耳元で大きな声出すなよ・・・あと、お姉ちゃん言うな」

朝日が顔を出すか出さないかという早朝。耳元で響いた妹のキンキン声に頭を揺さぶられて目が覚めた。割と最悪に近い目覚めなんだが、こいつは俺に恨みでもあるのかね?

「いや、そんなかわいいパジャマ姿で睨まれても・・・ねえ?微笑ましいだけだよ?」
「・・・着心地がいいんだからしょうがないじゃん。この”うさぎさんなりきりパジャマ”以上に快眠できるパジャマを俺は知らないし・・」

二度寝する気分にもならなかったので、ベットから起きてうさぎさんの頭を模しているフードを脱ぐ。
”うさぎさんなりきりパジャマ”は先月潜ったダンジョンで拾ったんだが、このパジャマを着て寝るとどんなに猛反発の岩みたいなベットでも最高のふわふわベットで寝ている感覚で眠れるし、着ぐるみの様に顔以外の全部を覆ってくれるから冷え性の俺でも一晩中ポカポカで過ごせる。
もう絶対に手放せないね。

「それにお姉ちゃんはちんまりしてて可愛いし、お肌もつるつるぷにぷに卵肌だし、髪はさらさらのキラキラだし、装備もふりふりの可愛いのだし・・・お姉ちゃんていうか、むしろ妹ちゃん?」
「・・・装備は何故かレアドロップが女物しか出ないんだから仕方ないだろ・・・体型はどうにもならんし・・・というか、なんでシルフと同じ親から産まれて、基本同じものしか食べてないのにこんなに違うんだろうな・・・」

シルフが言ったように俺の身長は何故か10歳ぐらいから伸び悩んでおり、まったく・・・ではなく、少しずつしか伸びていない。成長期が遅れているんだと信じ続けて早8年。声変わりも訪れなかったので子供の様に高い声と、ダンジョンで拾った高性能で見た目もかわいいくて俺のサイズにピッタリな・・・逆に言えば俺以外の冒険者には小さすぎて売れない女物の装備品の数々を装備しているため良く女の子と間違えられる。
見た目より性能を優先したので、初見で間違えられるのはいいんだが・・・
いや、良くは無いけど。仕方ないんだが・・・最近シルフが悪乗りして俺の事を”お姉ちゃん”と呼び出した所為で実は男だと説明しても信じてもらえなくなった。悲しい。

そんなシルフは伸び悩む俺を置いてすくすくと成長。それはもう俺の分の栄養を横から掻っ攫ってるんじゃないのかと問いただしたくなるほど立派に成長し、向かい合って話すとボインボインに育った2つのおっぱいが丁度俺の目の前であざ笑うかの様に踊っている程だ。
今もシルフが寝巻きにしている薄着を突き上げて出っ張った双丘が、死んだ魚の様な目をしている俺の視界を塞いで圧力をかけてくる。
なんなのアレ。俺に対するあてつけなの?嫌がらせなの?シルフのおっぱいを?いで食べたら俺だってシルフぐらい身長が伸びるのかね・・・?

「・・・はっ!大変だ!お姉ちゃんが自分は男だアピールをした後に、実は親が違うフラグを立ててから、私の胸に熱い視線を送ってる!私の貞操が危ない!」
「・・・危ないのはお前の思考とテンションだろ。ほら、さっさと着替えてダンジョン行く準備するよ。朝一で行くんでしょ?」

「もっちろん!もちのろんだよお姉ちゃん!オフコースだよ!!」
「はいはい。分かった分かった。ウザイからちょっと黙っててね」

「え~」と不満の声を上げながらも、いままでずっとパジャマでいた事を思い出したからか、クルリと俺に背を向けると徐に上着を脱ぎ捨てだした。
今さっき気にしていた貞操観念はこの短時間の間に投げ捨てられたらしい。
まぁ、2人で家を出てから今までずっと一緒に旅をしてきたから今更と言えば今更だけどな。

「ぷはっ!ねぇねぇお姉ちゃん。今度のダンジョンはどんなお宝があるかな?でっかい宝石とかあったらいいよね~」

そして喋るのは止めないというね。
昨日の夜からピクニックに行く前の日の子供の様にはしゃいでいたけど、一晩寝たら多少は落ち着くかな?と思ってたんだが、ダメだなこりゃ。更にパワフルになってる。まぁ、シルフがはしゃぐ理由のも分からんでもないけど、このままだと肝心のダンジョンに到着する前に体力が無くなるんじゃないか・・・?そこまでお子様じゃないとは信じたいんだがな・・・

俺たち兄妹がこの町に来たのはもちろんダンジョンが目当てだ。
ほんの一年ぐらい前までは、極稀にある当たり以外命をかける程の旨みは無く。誰もやりたがらなかったダンジョン探索だが、ここ数ヶ月で世界中のダンジョンから発見された宝物はそんな冒険者達の価値観を一気にぶっ壊す物だった。

油の要らないランプなんて序の口。遠く離れた場所に要る相手の声が聞こえる箱に、食べた事も無い甘いお菓子。凄いものだと鉄の馬や、馬の要らない馬車なんていうものもあった。
ダンジョンで発見される魔法の武具もかなり強力な物が出てきて死亡率が一気に下がった事もあり、今冒険者の間ではダンジョン探索のブームが来ているのだ。

俺が着ている防具も最近ダンジョンから発見した魔法の防具でピンクと白のドレスっぽい布の服なのに下手な金属鎧よりも防御力が高い。
しかも防具以外の部分に攻撃が当たっても何故か防御できる優れものだ。
こんな装備がゴロゴロ落ちてるならもっと冒険者がこの町に集まっていてもおかしくないが、どうもこういった超強いアイテムが落ちているダンジョンは限られているみたいでどこでもは出ないみたいなんだよなぁ・・・
この服を拾ったダンジョンも今では1日入るのに一月待ちぐらいの混み具合だったはず。
ダンジョンに入れば確実にレアなアイテムが拾えるなら一月待ってもいいかもだが、ダンジョン内の人口密度もヤバイからな。ほぼアイテムは手に入らないと考えて合ってるだろう。
だから俺とシルフはまだ発見されていないレアアイテム排出する新ダンジョンを探してこの町に来て・・・ダンジョンはあったけど、氾濫後にたまにある入り口が閉鎖されている状態だったため、この町で足止めを喰らっていたのだ。

何がどうしてそうなるのかは全く分かっていないが、氾濫後のダンジョンはその内装や出現モンスターが大きく変わる事はよくある。
大半は氾濫時に戦争をしたダンジョンのどれかのダンジョンに似た物に変わるんだが、今回は通り道にあったこの町で冒険者が迎撃したらしいから中がどんな風に変わっているかまるで分からないらしい。

ダンジョンの氾濫なんていう”災害”を冒険者が迎撃したって言うのもビックリな話だが、それよりも気になるのは新しいダンジョンの構成だ。
もし・・・もしこのダンジョンがレアアイテムが取れる新ダンジョンなら・・・競争相手がほぼいない今は俺達がダンジョンで取れるアイテムを独占できる!

可能性はほぼ無いが、外れでも失うものは殆どない。精々今までの宿代ぐらいだ。これは賭けるしかないだろう。

「お姉ちゃ~ん!早く行くよ~!!」
「はいはい。分かったから叫ぶなって。近所迷惑だろ。・・・あと、お姉ちゃん言うな」

昨日の夜にダンジョンの入り口が解放されているのを確認したとギルドに報告が来ていた。
閉鎖中に無理して入った冒険者は1人も帰ってこないっていう話だからな。自然に入り口が開くまで待たされていたからな。
何だかんだ言いつつ俺も楽しみだ。

いいアイテムが出ますよーに!

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