異世界でウサギダンジョン始めました

テトメト@2巻発売中!

第37層 浮気を発見した妻


「・・・かくかくしかじかって事になったんだよ」
「きゅい!」
「まるまるうまうまって事になったの?」
「いあいあハスターて事だよ!ボーパルちゃん!」
「なに、言ってる、です?」

町で報酬についての話を纏めたあと、何故か異様に引き止めてくるギルマスと職員のお姉さんを振り切ってダンジョンへと戻ってきた。
店の準備が出来るにはそれなりに時間がかかるそうなので、また一月ぐらいしたら様子を見に行こうか。
あ、違う。一月だと100日になっちゃう。30日ぐらい経ったら行ってみよう。

「と・こ・ろ・で。じゅんにぃに聞きたい事があるんだけど・・・どうして、じゅんにぃから色んな女の匂いがぷんぷんするのかなぁ・・・?」
「なの。じゅんにぃくちゃいの!」
「ぐちゃぐちゃ、臭い」

「なん・・・だと・・・?」

なんか微妙にボーパルとイヌミミ幼女ちゃんに距離を取られていると思ったら臭い!?俺臭いの!?
幼女に臭いって言われるとか、俺が生きる意味そのものを否定されるに等しいことに・・・

「ちょっと!じゅんにぃ!聞いてるの!?私というものがありながら、体中に女の匂いを付けて帰ってくるってどういう事なの!説明して!」

燈火おまえは夫の浮気を発見した妻か。
・・・まぁ似たようなものか。

「ギルドで女性の職員にやたらとベタベタ触られたんだよ。多分そのときに匂いが付いたんだろうなぁ・・・最悪だ」

あの人たちの所為でボーパル達に距離を取られて、燈火に問い詰められてるのか。もう絶対近づかねぇ。別にあの人達に悪気があった訳じゃないのは分かってるが、それはそれ。これはこれ。
見知らぬお姉さんと同居人の幼女では天秤にかける以前の問題で重さが違いすぎる。

「・・・心底嫌そうな顔で言い切ったね、じゅんにぃ・・・」
「心底嫌だしな」

幼女だったら何人でもウェルカムなんだけどな。
身体中に幼女の甘い香りが付くほど幼女にまみれてみたいわぁ・・・

「・・・これだけ女の匂いを漂わせるお姉さんが複数ベタベタ触れてくるとか、確実に囲いにきてると思うんだけど・・・まぁ、じゅんにぃだしね」(ボソボソ)

燈火が何かボソボソ言ってる・・・
でも、燈火から出てた不機嫌オーラは霧散したみたいだから良かった。
まったく・・。心配しなくても俺が年上のお姉さんに靡く訳がない事は知ってるだろうにな。
何人か幼い顔つきの女性もいたけど、顔つきが同年台に比べて幼いからって幼女になれる訳じゃないしな。
幼女とは、一度過ぎてしまえば二度と戻ることは出来ない絶対にして至高の存在なんだ。必死に若作りしてるだけのお姉さん方がなれるものでは決してない。

・・・まぁ、目の前に幼女に戻った実例が、頬を染めて太ももをもじもじさせながら、チラチラと俺の顔色をうかがっているんだけどな。
俺が高尚な論理を思考している前で燈火は何を考えてるんだか・・・いや、考えるまでもないか。燈火が俺を見て頬を染めてるとか、ナニを考えてるに違いない。
もぅ、俺の見ているところで、そんないじらしい態度をとるなよな。つい、襲ってしまいそうになるじゃないか。

「今お風呂を沸かしたの!早く入って匂いを落として来るの!」
「ん」コクコク

わざわざDMを使って瞬間湯沸しをするほど俺は臭いと・・・?
確かに香水の匂いって動物には不評な事が多いけども、俺の体臭が臭いみたいに聞こえて地味にショックなんだけど・・・

「じゃ、じゃあお風呂に行ってくる・・・」

「なの!いってらっしゃいなの!」
「また、後で」
「ごゆっくり~。むふふ・・・」

3幼女に見送られながら1人寂しく風呂場へと向かう。

幼女で負った傷は幼女でしか癒せない。

ちゃっちゃと体を洗って、ぱぱっと着替えたら存分にみんなを抱いてすりすりしよう。そうしよう。
臭い香水の匂いをいつもの匂いで上書きするためだからね。仕方ないね。

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「あ~、う~、あぁ~んきもちぃ~」
「・・・で?なんでお前が一緒に入ってるんだ?」

「ん~?さらりと受け入れて、頭まで洗いながら言われても今更だと思うよ・・・あ、そこそこ。そこきもちぃ。もうちょっとして・・・」
「ん?ここか?」

「もぅちょい下の・・・そこ!・・・あ゛ぁ~いい感じぃ~」
「へいへい。お客さん他に痒いところはありませんか~?」

折角お風呂を沸かしてもらったけど、カラスの行水で済ませようかと考えていた俺だが、突然の来訪者の登場で長風呂を余儀なくされていた。
その来訪者である所の燈火は今、俺の手で頭を洗われてふにゃふにゃになってる。

ふふん。俺の108の秘密技の1つである”幼女なでなで”と”幼女マッサージ”の合わせ技で頭を洗っているからな。燈火も幼女である以上、この魅力には逆らえまい・・・
ちなみに108の秘密技の全てを同時に使えば初対面の幼女ですらお持ち帰り余裕!この素晴らしい技術が今ならなんと!月額支払いの会員登録をするだけで無料で手に入る!それと便座カバーも!

・・・って言うのを他のダンジョンマスターに公開したらDMが荒稼ぎ出来ないかなぁ・・・
この世の幼女を全て制覇したら考えてみてもいいかもな。

「うぅ・・・目にシャンプーが入った・・・うにゅ・・・」
「こらこら、目を擦るな。余計に痛くなるから!ほら、シャワーで流すぞ」

「あい・・・」

視界と感触を脳内保存しつつ、意識しすぎない様に思考を逸らしてたら燈火のお目目にシャンプーが垂れてしまった。
俺としたことがなんたる不覚!この失敗は燈火の全身を隅々まで綺麗にする事で償わなければな。うん。

「わしゃわしゃ~っと。はい、おしまい」

燈火の紅い髪を白く染めていた泡を全て洗い流した俺は最後にもう1撫で燈火の頭をなでて燈火の洗髪を終える。
普通ならこの後リンスやコンディショナーを使わなきゃダメなんだろうが、ダンジョン製のシャンプーはそこらへんの面倒くさいのは全ていい感じに複合されている優れものだから問題なし。
あんまり長いこと頭洗ってると、風呂場で湯冷めしちゃうからね。ありがたいね。

「じゃあ交代だね!今度は私がじゅんにぃの体を洗ってあげる!もちろん背中だけじゃなくて前も下も」

バーン!!

「あたちも一緒に入るの!!」
「順番、クロも」

ぴょこんと椅子から跳びあがり、「悪巧みしてます」とデカデカ書いてあるような、にやけた笑みを貼り付けた燈火が、俺の体に指を這わせる直前に俺の背後の扉が開き、現れたのは2つの肌色。
幼女(全裸)追加しま~す!と言う謎のアナウンスが脳内再生される程度には混乱している俺へと近づいて来た白い肌色と黒い肌色はもちろんボーパルとイヌミミ幼女だ。

燈火が来た時点で期待していた通りだが、ごく普通の一戸建てにある風呂場ぐらいの広さしかないこの空間に3人の幼女がその小さな肢体を一切隠す事無く、むしろその狭さ故に俺へと肌を合わせるように立っている。
うん。やはりお風呂を小さくしたのは英断だったな。ボーパル達なら一緒に入ってくれると信じてたぜ!
俺が幼女をお風呂に誘えば事案だが、幼女のほうから自主的に異性の入っているお風呂に入るのが合法なのは銭湯などの事例から確定的に明らかだからな。
本当ならこの場で3幼女の体をじっくりと鑑賞して、それぞれの個性を細かく描写したいところだが、そんな事をしては紳士として鍛えられた鋼の精神を超越して俺の分身が自己主張を開始する可能性があるし、何よりこの小説は全年齢対象だから許してくれ。

・・・俺は誰に話しているんだろうか。ヤバイな。気づかない内に理性が削られている。
狭い部屋の中で全裸の美幼女達と肌を重ねるのはプロのロリコンである俺でさえも刺激が強すぎたというのか!!
幼女恐るべし・・・俺が1人で入っていた時に比べて明らかにいい香りがするしな。
燈火1人でも生唾を飲み込む程魅力的な香りだったのに、更に2人分の香りが合わさり最強に感じる。
1+1の結果が2とは限らない。それを証明するかのように、この狭い部屋で満ち。俺の中へと入ってくる幼女の香りは互いを協調するように優しく、だがしっかりと自分の個性を主張してくる。
そんな素晴らしい香りが3種類もブレンドされ、俺を包み込んでくるのだ。

あぁ・・・確かに、この天にも昇れる程幸せな香りに比べ、さっきまで俺にこびり付いていた香水の匂いのなんと醜悪な事か。
自分の香りで勝負が出来ず、より強い匂いで誤魔化すなど言語道断。見た目だけ取り繕ったハリボテにどれだけの価値があろうか!!
それに比べて・・・あぁ。素晴らしきはやはり幼女。幼女の魅力と言えばやはりその精神―――――

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「お~い。じゅんにぃ~?返事してくれないと食べちゃうよ~・・・あ、これダメなやつだね。しばらくは帰ってこないよ」
「ジュンのちっちゃくてかわいいの!」
「小さい。出来ない・・・」

「おおぅ。ふ、2人とも・・?じゅんにぃに、じゃなくて、正気なじゅんにぃにそれ言っちゃダメだよ・・・?多分傷つくからね・・・」
「ん~?良く分からないけど分かったの!」
「クロ、小さい。ぴったり」

「確かに大きすぎても困るんだけどね・・・って!私が最初だからね!!そこだけは譲れないよ!」
「ん。序列、大事」
「???とりあえずお風呂入るの!ジュンはどうするの?」

「じゅんにぃは、まだ体洗ってない筈だから3人で洗っちゃおうか。反応ないじゅんにぃにイタズラしてもつまらないしね・・・」
「練習、頑張る」
「なの!洗いっこするの!!」

美幼女3人と一緒にお風呂の負荷に耐え切れず意識を飛ばしてしまったジュンを中心として、キャッキャうふふと幼女達の楽しそうな声はしばらく続いた。
意識を取り戻したジュンが燈火からその時の状況を教えてもらい、あまりの悔しさに血涙を流したとかいないとか・・・

結局燈火に2度風呂に連れて行かれて下がった機嫌は一瞬で戻ったのでどうでもいい話である。


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