異世界でウサギダンジョン始めました

テトメト@2巻発売中!

第32層 ウサギの実力

 
「ふぅ・・・死ぬかと思った・・・」
「ごめんねじゅんにぃ、つい愛が溢れちゃって・・・」

お前は愛が溢れたら思い人を轢き殺すのか・・・それなんてヤンデレ?
いや、うっかり轢き殺しそうになっただけで病んでる訳ではないか。なら大丈夫だな。

大丈夫・・・なのか・・・?

「お前達もありがとうな。他のみんなのサポートに回ってくれ」
「「「きゅい!」」」

バラバラになった俺のアバラを繋ぎなおしてくれていた癒しウサギのみんなにお礼を言って目の間の戦場に援軍に行ってもらう。
オオカミとウサギの激突なのに何故かドッカン、バッカン、チュドーン!と爆音が鳴り響く戦場へと。

「・・・じゅんにぃ。ちょっと色々と説明して欲しいんだけど・・・」
「ん?あぁ。なるほど。うちに居るウサギの中に”サモナーラビット”っていうウサギが居てな。ダンジョンに居る種族がウサギのモンスターを5匹まで召喚出来るスキルを覚えてるんだけど、そのスキルを使って”サモナーラビット”を5匹召喚したんだ」

後は俺が召喚した5匹のサモナーラビットが25匹のサモナーラビットを召喚して、25匹のサモナーラビットが125匹のサモナーラビットを召喚して、125匹のサモナーラビットが625匹のサモナーラビットを召喚して、625匹のサモナーラビットがウサギ型決戦兵器ボーパルを含む3125匹の戦闘用のウサギ達を召喚する。

こんな事もあろうかと練習しておいたコンビネーションだが、無事に成功してよかったぜ。サモナーラビットの数的にもう1回コンボを繋げる事は出来なかったんだが、俺が第二形態になれば簡単に召喚出来る事も分かったし、もう3125匹サモナーラビットを召喚しておこうかな・・・でも、既にダンジョンの容量がなぁ・・・むむぅ。

「いや、確かに急にボーパルちゃん達が現れたのも驚いたんだけどね。それよりも私は目の前で起こっている戦闘の方にビックリ仰天してるんだけど・・・」
「・・・ビックリ仰天って今日日聞かねぇなぁ・・・」

「アニメが予想していたところの一歩手前で終わって不完全燃焼感があるのは知ってるから茶化さないでよ!」
「いや、別に茶化してる気は無いんだけどな・・・」

燈火が何を疑問にしているのかよく分からん。
確かに数が多いオオカミの方が押されてる現状は不可思議に見えるのかもしれないが、多分頭数を揃えるために個々のレベルが低かったんだろう。質より量の作戦だったんだろうな。

「いやぁ・・・見た感じそんな事は無いと思うんだけど・・・」
「なら、ウサギ達が圧倒しているのはスキルの差だろうな。うん。丁度いいしうちのダンジョンに来たばっかりの燈火の為にうちの戦闘ウサギ達の大まかな能力を説明しておこうか」

説明しよう!
うちの戦闘部隊に所属するウサギ達は能力によって大雑把にカテゴリー分けして部隊を組んで戦闘をしている。
ざっくり分ければ前衛、後衛、遊撃だな。
前衛は近接戦が得意なスキルを多く持っているウサギ達で構成されており、後衛は魔法や補助のスキルを多く持っているウサギ達で構成されている。とはいえ、無計画に交配が進んだ結果前衛と後衛の両方のスキルを持っている事もザラだから、個人の立候補で分けた括りだけどな。比率で言えば前衛のウサギの方が数が多い。いったい誰に似たんだか・・・

そして遊撃に所属するウサギ達は周りと協力する必要の無い。むしろ周りに味方が居た方が邪魔になるような強力なスキルを持っているウサギ達で構成されている。
遊撃部隊のトップは言わずもがなボーパルだな。ダンジョンマスターだけあってその戦闘能力はうちのダンジョンでは突出している。

「ぶっ飛ぶの!!」
「「「キャィイイイン!」」」

ボーパル専用のスキルである”ボーパル流格闘術”はウサギ形態でも獣人形態でも扱える万能格闘術で、蹴りを主体とした流れるような連撃を目にも止まらぬ速度で繰り出し続けるという、発動してしまったらHPが0になるまで止まらない昔のカクゲーのハメ技の様なスキルである。
スピードを重視したスキルならば一撃は軽いのかと言えばそんなことは無く。ボーパルが足を凪いだ先の地面が扇状に捲れながら吹き飛び、巻き込まれたオオカミ達が土石流に飲まれた様に平地で生き埋めになり、前衛のオオカミの後ろから飛んできた各属性の弾幕がボーパルの拳の拳圧で消し飛ぶ。
だが味方ごと巻き込む敵の魔法爆撃を全ては迎撃できず。ボーパルの近くに着弾した魔法の爆風がボーパルを襲うが、ボーパルの震脚と発勁で全てが打ち消された。

「はぁああああ!なの!!」
「「「ギャン!?」」」

雄たけびと共に放たれた衝撃波はボーパルを中心に全方位に放たれ、ボーパルを囲んでいたオオカミが纏めて吹き飛んでいく。

さっすがボーパル先生!俺達に出来ない事(蹂躙)を平然とやってのける!そこに痺れる憧れるぅ~!
というか、強すぎない?ボーパルに勝つ方法が全く思い浮かばないんだが・・・
いや、ボーパルよりも速かったり、ボーパルの攻撃力を上回る防御力を持ってたり、不意を突けばいけるか。
ボーパルは一芸特化じゃなくて順当に単純に強いからな。ボーパルを上回ろうとしたらレベルを上げて物理で超えるか、奇策を用いるしか無い訳だな。 ぅゎょぅι゛ょっょぃ。

「「きゅぃいいいい!!」」

そしてボーパル以外にもポンポンとオオカミを跳ね飛ばして暴れるウサギが2匹。

右翼から中央へとオオカミを上空へ何十メートルもぶっ飛ばしつつ爆走するのはヒーローラビット。
真っ赤なマフラーをたなびかせヒーローポーズを決めながら戦うその姿は特撮のヒーロー染みていて遊んでいる様にしか見えないが、その戦闘能力の高さはヒーローラビットの通った後に山と積まれている気絶したオオカミの姿から容易に察する事ができる。
ヒーローラビットのスキルは1つだけ。その名は”ヒーロー魂”
謎の突然変異で発生して、リストから召喚もできない為に完全にユニークスキルと化しているこのスキルの効果は簡単に言えばヒーローのお約束をだいたいこなせるというもの。

悪を許さず、弱きを守る。
味方がピンチとなればギリギリのタイミングで助けに入り、自分の怪我を厭わず全力で庇う。前座の雑魚敵は一撃必殺。但し血は一滴も流れないし怪我もさせない。ヒーローパンチが掠った雑魚は無駄に派手に吹き飛び意識を刈り取られる。そしてステータス的に格下の相手でもボスが相手ならば一回ピンチになる。その後友情パワーで復活して倒す。また、一回攻撃するたびにヒーローポーズを取らなければならないという縛りもあるため使いどころは難しいが、今みたいな対軍団戦での雑魚を一掃させる役割ならこれ以上の適任は無い。

左翼から中央を目指しているのは青いカブトを被った光り輝く剣を持つウサギだ。
輝く剣を振るう度に剣の軌跡の延長線上にいくつもの光の斬撃が飛び、剣を天に掲げれば晴天の雷が戦場に降り注ぎオオカミだけを消し炭へと変えていく。

物理も魔法も思うがままに使いこなすこのウサギは勇者ウサギ。
突然変異で急に産まれたヒーローラビットとは違い、勇者ウサギは順当な配合の末に産まれた超絶ハイブリットウサギである。
魔法系を極めた賢者ウサギと剣術を極めた剣聖ウサギのハーフである勇者ウサギのスキルはそのままズバリ”勇者”だ。
光が集まり剣の形を取る勇者ウサギの武器には間合いという概念は無く、物質化、非物質化も勇者ウサギの思いのままだ。また、剣のエネルギーを切り離して刃として飛ばす事もできる。
勇者ウサギは一通りの魔法は使えるが、基本的に雷魔法を愛用している。
あれもこれも手を出して器用貧乏にならない様にするためか、単に好きだからかは分からないが、距離を取ったと思ったら剣が伸び、切り結んだと思ったら剣が透過する勇者ウサギと切り合いながら不定期に頭上から降ってくる雷の対応もしなければいけないのは相当にキツイ。
まぁ、雷を見てから避けたり、エネルギー波を白刃取りするどこぞのウサギ少女には効かなかったわけだがな。

「きゅい!」
「きゅぃい!」

右翼と左翼からバッタバッタと敵を刈り取りながら敵軍深くへと突撃していた2匹のウサギが戦場のど真ん中で衝突し、即座に背中合わせに陣取り四方を囲む敵を睨みつける。
互いに一騎当千の正義のウサギ。
背中越しにチラリと視線を交わしただけで互いの思いを通じ合わせた2匹のウサギはニヤリと笑ったかと思うと残像を残して掻き消える。

勇者ウサギが固定砲台として全方位へと光の刃を浴びせ切り、近くにいる敵から順にヒーローウサギが天高く吹き飛ばし、雷に焼かれて掻き消える。
ヒーローポーズを取っていて致命的な隙を晒しているヒーローウサギに近づく敵は遠距離から飛んできた光の刃に体を両断されて息絶える。
光の刃も雷もヒーローウサギが至近距離にいるのを一切考慮していない様に暴れまわっているが、その1つたりともヒーローウサギには掠りもしない。
互いに互いを考慮していないようでありながら、そこには絶対的な信頼関係が見えている。

敵陣深くへと切り込んだ英雄2匹とウサミミ幼女1人を中心として敵陣の中央に空白地帯が広がっていく。
正面からはガンガンと前線を押し上げてくるウサギの大群が。自軍の中央には無双を繰り広げる3匹のウサギが・・・
知能が低いとされる野良ダンジョンのモンスターにも現状の劣勢がやっと理解できたようで散り散りにバラけて撤退しようとするが、俺の逆鱗に触れておいてそんな事を許すわけが無い。

「えーと、あそこで色とりどりな煙幕を上げているのが戦隊ウサギだな。赤青緑黄桃の5色が3セットいる。んで、あっちのでっかいのがキングラビットで、その上に乗ってるのがラビットライダー。ウサミミをパタパタさせて飛んでいるのが羽ウサギで、天使の輪っかをキラキラさせて飛んでるのがエンジェルラビット。あそこで発生している衝撃波はソニックラビットが居た跡で、並んで突撃しているのが角ウサギ系のみんな。戦場の隅っこでプルプルしてるのがスライムウサギで、ぴょんぴょんしてるのがご注文はうさ―――」
「もういいよ!そんなに覚えられないよ!」

1匹1匹指差しながら名前だけでも覚えてもらおうと説明してたのにキレられてしまった。
まぁ、たしかに全部ウサギだもんな。違いが分かりにくいのも多いしね。でも、まだ半分も説明してないんだけど・・・

まぁいっか。燈火は「うっきゃぁぁぁ!」て叫びながら前線に突っ込んで炎を纏った拳で3m程のクマを殴り燃やしてる。
逃げようとしたオオカミその他の肉食獣はサクラをリーダーとした桜魔法ウサギ部隊の操る万年桜に逃げ場を塞がれ、既に残党処理の段階になっている。

いや~、でも以外となんとかなるもんだな。最初はどうなる事かと思ったけど無事に勝てそうで良かった良かった。

「ジュン~!終わったの~!褒めて褒めてなの~!」
「あ!ズルイ!じゅんにぃ私も頑張ったよ!そして頑張った子にはご褒美をあげるべきだと思うんだよ!私は褒められて伸びる子だからね!」
「「「きゅぃ~!」」」

ん、残党処理も終わったみたいだな。
それじゃあこんなバカな事をした親玉の顔でも拝みに行きますかね!

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