ユエとリィアンの冒険
またまた兄弟が増えた〜ママどこまでテディベア(ぼくたち)好きなの?
またママがコソコソしていたので、僕は後ろから覗き込んだ。
あ、僕はパンキンヘッドの亮月です。
すると、ママはぎくっとした顔で僕を見下ろした。
「えっ?何?どうしたの?」
「どうしたの?は僕が言いたいです。ママ。後ろに隠したの何?」
「えっ……これ……」
大きめの僕は入らないけどそこそこの兄弟が入る紙袋……。
「あぁぁ!ち、違うぅぅ!こっち!」
今度はそんなに厚みのない紙袋……って、受け取り主はママじゃん!
「ママ……今度は何?」
「違うよぉぉ!こっちはね、こっちはね?桔梗姫のお着替えでね?どうしても欲しかったのぉぉ!ポイントがね?ネットフリマの売り上げとポイントがあってね?ポイントの期限がギリギリだったの!」
後から出した紙袋を開けて見せてくれたのは、真っ黒のほっぺたが赤くてとぼけた表情のゆるキャラ。
九州のゆるキャラで、ママが、
「あうー、いいないいなぁ……テディベア会社の限定〜白タグ〜。40周年のリボンにゃんこよりもいいなぁ……あぁ、でも、テディガールのレプリカの方が欲しいなぁ。誰かくれないかなぁ……」
とネットフリマを見つつぼやいている。
と言うか、ママ、誰かテディガールくれるような人いるの?と聞くと、真顔で、
「ママは尾花なのでいいのです」
「オバナ?おばさん?」
ユエがボケると、桔梗姫が、
「ススキの事です。カヤとも言って、日本の古い家屋の屋根に使われています。普段は川べりとか野原に生息しているのです。尾花と言うと、花が咲き終わって穂を垂れている状態で、それを飾って月を見たりするのです」
「そうそう。もう花は散ってますので、それに月見はメインは月と団子!サブだよ」
「寂しいことを言わないでよね……と言って、ママは話をそらせたと思ってるのでしょうが、ママ、さっき出したの、隠そうとしない!出しなさい!」
「うえぇぇ〜リィアンちゃんが怒る〜」
「いつもいつも、ここ3ヶ月ろくにご飯を食べないのは誰ですか!」
リィアンはママの健康管理担当である。
でも、ママは体調が悪化の一途をたどっている。
肉体的ではなく精神的にである。
「だって……美味しくないもん……」
「ママは幾つですか!ユエみたいなこと言わないの!」
「ユエ、ママみたいなの?ひどいよ〜」
「そうだよ。ユエちゃんはいい子だよ〜ね?ユエちゃん」
「ママ……その袋出しなさい!」
僕の一言に、ママは渋々袋を出す。
「これは何ですか?」
「……誕生日プレゼント……」
「送り主の人はお友達じゃないよね?」
「……ポイントと、売れた残額と……で……」
「またぁぁ!」
すると、うるうると瞳を潤ませて、
「だってぇぇ……ママ、昔この色のお洋服着たかったんだもん。花柄にフリルやレースのワンピース着たかったんだもん……でも、『お姉ちゃんだから、我慢しなさい!』とか、『似合わない格好はしないの!おにいちゃんのおさがりがあるでしょ!』って、半ズボンに色あせたシャツだったんだもん!ママだって着たかったもん!」
とびえびえ泣きじゃくる。
と言うか、中身も開けていないのに、どんな色とか服か何かかも分からないのに、僕は何も言えない……でも、ユエは、ジト目で見る。
「あーあ、ママ泣かせちゃった〜。リィアンひど〜い」
「ひどいもないでしょ!僕だって怒りたくないよ。でも、ママが内緒で買うから!」
「でも、誕生日だよ〜?」
「でも、ママが大変になるんだよ?ご飯食べないし、眠らないし、薬も飲まなくなったらどうするの?」
僕は頰を膨らませる。
その間に、兄弟たちがえっほえっほとハサミを持ち出して袋を開けると、僕たちより一回り小さいチーキーが出てきた。
ちなみに、ママが言っていたのは、このチーキーはローズピンクの布地で作られていて、口はチーキーらしくニヤリとしているけれど、黒い瞳の下には白いフェルトが見えて、上目遣いの可愛らしい表情をしている。
その上に、ママが羨ましがっていた襟やベストの周りにはフリルのレースのついた薔薇模様の服を着ていた。
「お姫様みたい」
ユエが呟く。
首を傾げていたそのローズピンクの子は、
「んっと……おやしゅみなしゃい……?」
「寝てどうするの!」
突っ込むと、反対側に首を傾げ、
「おはようごじゃいましゅ?」
「おはよう。ぼく、ユエだよ〜。こっちがリィアン。でね?桔梗姫とクリストファー・ハニー。兄弟だよ〜」
「……んっと……ユエしゃん、り、リャンしゃん?」
「リィアン」
「り、り、リャンしゃん!」
舌ったらずらしい。
それに、そそっかしいのか紙袋ですべって頭からぶつかった姿に、兄弟たちも、泣いていたママも真っ青になる。
瞳はガラスの瞳……割れたら危険である。
しかし、
「……えへへ……またこよんだのでしゅ。でも、痛かったでしゅ。おててとどかないでしゅ……」
「大丈夫?額と鼻は?」
僕は慌ててひたいを撫でる。
「うぅ〜、頭でしゅ……」
「もう、寝て。僕たちは濡れたら大変だから、もう我慢して」
「あい」
「……ママ。この子の名前は?」
「フェリシア・ローズ」
えへへ、褒めて褒めてと言いたげに笑う姿は、名前をつけられたフェリシアにそっくりである。
「じゃぁ、フェリシア、あの人がママ。僕たちは兄弟だからね」
「あい、でしゅ」
ママは、フェリシアの服や毛が汚れたら嫌だと、再び着ぐるみロンパースを着せている。
ママは忘れているようだけど、桔梗姫とフェリシアが着替えて、しばらくお昼寝している間に、僕はママをお説教しようと思う。
それと、ママにハッピーバースデーを……。
あ、僕はパンキンヘッドの亮月です。
すると、ママはぎくっとした顔で僕を見下ろした。
「えっ?何?どうしたの?」
「どうしたの?は僕が言いたいです。ママ。後ろに隠したの何?」
「えっ……これ……」
大きめの僕は入らないけどそこそこの兄弟が入る紙袋……。
「あぁぁ!ち、違うぅぅ!こっち!」
今度はそんなに厚みのない紙袋……って、受け取り主はママじゃん!
「ママ……今度は何?」
「違うよぉぉ!こっちはね、こっちはね?桔梗姫のお着替えでね?どうしても欲しかったのぉぉ!ポイントがね?ネットフリマの売り上げとポイントがあってね?ポイントの期限がギリギリだったの!」
後から出した紙袋を開けて見せてくれたのは、真っ黒のほっぺたが赤くてとぼけた表情のゆるキャラ。
九州のゆるキャラで、ママが、
「あうー、いいないいなぁ……テディベア会社の限定〜白タグ〜。40周年のリボンにゃんこよりもいいなぁ……あぁ、でも、テディガールのレプリカの方が欲しいなぁ。誰かくれないかなぁ……」
とネットフリマを見つつぼやいている。
と言うか、ママ、誰かテディガールくれるような人いるの?と聞くと、真顔で、
「ママは尾花なのでいいのです」
「オバナ?おばさん?」
ユエがボケると、桔梗姫が、
「ススキの事です。カヤとも言って、日本の古い家屋の屋根に使われています。普段は川べりとか野原に生息しているのです。尾花と言うと、花が咲き終わって穂を垂れている状態で、それを飾って月を見たりするのです」
「そうそう。もう花は散ってますので、それに月見はメインは月と団子!サブだよ」
「寂しいことを言わないでよね……と言って、ママは話をそらせたと思ってるのでしょうが、ママ、さっき出したの、隠そうとしない!出しなさい!」
「うえぇぇ〜リィアンちゃんが怒る〜」
「いつもいつも、ここ3ヶ月ろくにご飯を食べないのは誰ですか!」
リィアンはママの健康管理担当である。
でも、ママは体調が悪化の一途をたどっている。
肉体的ではなく精神的にである。
「だって……美味しくないもん……」
「ママは幾つですか!ユエみたいなこと言わないの!」
「ユエ、ママみたいなの?ひどいよ〜」
「そうだよ。ユエちゃんはいい子だよ〜ね?ユエちゃん」
「ママ……その袋出しなさい!」
僕の一言に、ママは渋々袋を出す。
「これは何ですか?」
「……誕生日プレゼント……」
「送り主の人はお友達じゃないよね?」
「……ポイントと、売れた残額と……で……」
「またぁぁ!」
すると、うるうると瞳を潤ませて、
「だってぇぇ……ママ、昔この色のお洋服着たかったんだもん。花柄にフリルやレースのワンピース着たかったんだもん……でも、『お姉ちゃんだから、我慢しなさい!』とか、『似合わない格好はしないの!おにいちゃんのおさがりがあるでしょ!』って、半ズボンに色あせたシャツだったんだもん!ママだって着たかったもん!」
とびえびえ泣きじゃくる。
と言うか、中身も開けていないのに、どんな色とか服か何かかも分からないのに、僕は何も言えない……でも、ユエは、ジト目で見る。
「あーあ、ママ泣かせちゃった〜。リィアンひど〜い」
「ひどいもないでしょ!僕だって怒りたくないよ。でも、ママが内緒で買うから!」
「でも、誕生日だよ〜?」
「でも、ママが大変になるんだよ?ご飯食べないし、眠らないし、薬も飲まなくなったらどうするの?」
僕は頰を膨らませる。
その間に、兄弟たちがえっほえっほとハサミを持ち出して袋を開けると、僕たちより一回り小さいチーキーが出てきた。
ちなみに、ママが言っていたのは、このチーキーはローズピンクの布地で作られていて、口はチーキーらしくニヤリとしているけれど、黒い瞳の下には白いフェルトが見えて、上目遣いの可愛らしい表情をしている。
その上に、ママが羨ましがっていた襟やベストの周りにはフリルのレースのついた薔薇模様の服を着ていた。
「お姫様みたい」
ユエが呟く。
首を傾げていたそのローズピンクの子は、
「んっと……おやしゅみなしゃい……?」
「寝てどうするの!」
突っ込むと、反対側に首を傾げ、
「おはようごじゃいましゅ?」
「おはよう。ぼく、ユエだよ〜。こっちがリィアン。でね?桔梗姫とクリストファー・ハニー。兄弟だよ〜」
「……んっと……ユエしゃん、り、リャンしゃん?」
「リィアン」
「り、り、リャンしゃん!」
舌ったらずらしい。
それに、そそっかしいのか紙袋ですべって頭からぶつかった姿に、兄弟たちも、泣いていたママも真っ青になる。
瞳はガラスの瞳……割れたら危険である。
しかし、
「……えへへ……またこよんだのでしゅ。でも、痛かったでしゅ。おててとどかないでしゅ……」
「大丈夫?額と鼻は?」
僕は慌ててひたいを撫でる。
「うぅ〜、頭でしゅ……」
「もう、寝て。僕たちは濡れたら大変だから、もう我慢して」
「あい」
「……ママ。この子の名前は?」
「フェリシア・ローズ」
えへへ、褒めて褒めてと言いたげに笑う姿は、名前をつけられたフェリシアにそっくりである。
「じゃぁ、フェリシア、あの人がママ。僕たちは兄弟だからね」
「あい、でしゅ」
ママは、フェリシアの服や毛が汚れたら嫌だと、再び着ぐるみロンパースを着せている。
ママは忘れているようだけど、桔梗姫とフェリシアが着替えて、しばらくお昼寝している間に、僕はママをお説教しようと思う。
それと、ママにハッピーバースデーを……。
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