ユエとリィアンの冒険

ノベルバユーザー173744

来月の末はハロウィンだって

今日、ママが病院から帰ってきたんだ。
そうしたら、ママ、

「あったぁぁ……良かった。10月からのスケジュール帳を大きめにしたから、バッグのなかがぐちゃぐちゃになるから、仕分けようの袋を選んだけどサイズがあったよ」
「……ネェもしもし?ママ?袋は良いけど、何か増えてない?」
「え?え、えぇぇ、リィアンちゃん。A5サイズのノート買ってないよ‼二冊‼」
「言ってるじゃん‼ママ‼無駄遣いダメ‼」

リィアンはめっとする。

「だって……ハリネズミさんがらのノートがあってね?」
「何に使うの?ママ。次使うからって買ってきて、何冊ためてるんですか‼」
「うわぁぁん、リィアンちゃんに怒られたよぉ……」
「ママ?お片付けしようね?」

今回はユエも口を挟まず、ママが買ってきたものを確認している。

「ママァ?これなに?」

水色のふかふかした毛の太く長い綿の入ったもの。
長さは約80センチ、そして両端にプラスチックのクリップがついている。
パッチンとはめ込むらしい。

「あ、それは、ママがストレートネックで首が痛いから、リラックスできるように買ってきました。普通のコの字型よりボアの布が気持ちよくてお気に入りです‼無駄遣いじゃありません‼」
「そうだね~」

ママはストレートネックと言う、首の歪みに悩んでいる。
普通の首は反るようになっているのだが、ママのはストレート……まっすぐよりも逆になり、その上左に歪んでいるらしく、酷くなると左手が麻痺する。
ビリビリとした感覚と、薬指小指がひきつるのだ。

で、週に二回首の治療と肩と腰の治療を続けている。

「えっと、レシートには、1080円?ママ、ひとつないよ」
「あぁ、お水買いました。で、首のは216円です」
「袋と、ノート二冊と、それと、水と、後は?」
「洗濯用のクリップハンガーです‼108円‼」

見せる母に、最近貯蓄をさせようと貯蓄ノートに使ったものを書き込んでいたリィアンは、ユエがだした3本の棒のようなものに唖然とする。

「ママ。ちゃんばら?ちゃんばらごっこ?」
「ん?違うよ?はい、ユエちゃんおしり向けて」
「はーい‼」

ユエが後ろを向くと、おしりの部分にそれをつけて、そして棒状だったものをくねくねと形を変える。

「はーい、出来た~‼ヒョウさんの尻尾。ハロウィンの仮装グッズにあったんだよね。あ、リィアンちゃん逃げるのストップ‼」

とっさに逃げ出そうとしたリィアンを捕まえると、別のを尻尾の位置に挟み……クリップがついている……中の針金を曲げていく。

「はい、出来上り。リィアンちゃんはとらさん~。月花ちゃん」
「はーい‼」

体は大きいが動きが可愛らしい月花の尻尾には、ピンク色のヒョウ柄の尻尾をつけた。

「よしよし。これでハロウィンの準備は終わり。本来は、ハロウィンは、カボチャじゃなくてかぶに顔の模様を書いたんだよ。それがアメリカに伝わって、日本でドテカボチャって呼ばれる、家畜用の大きなカボチャに、顔をくりぬいたりしてるんだよ」
「魔女の帽子は?」
「あれは、元々、イングランドの言い伝えで、10月31日に妖精達が、ランズエンドにある妖精のお城にみんなが戻ってしまうの。その代わり、魔物達が外を出歩くって。で、5月1日には、扉が開き妖精が姿を見せるって。で、その言い伝えが色々な地に広がるに連れて仮装して、『トリック オア トリート(何かくれなきゃいたずらするよ)?』って家々を回るようになったんだよね。地域のお祭りでもお練りって言って、家々を回っていたけど……風習は途絶えて、面白いこと、新しいものに飛び付くんだねぇ……」

首をすくめるママに、リィアンは、自分の尻尾を示す。

「ママ‼僕の体じゃなくてロンパースにつけてくれてるけど、これだって、その新しいものでしょ⁉それに、無駄遣いはダメでしょ‼」
「だって、ユエちゃんとリィアンちゃんと月花ちゃんに似合うと思って‼あ、そうだ‼ママ、今度、着ぐるみで、ネズミの女の子の格好するからね。尻尾あるよ‼一緒一緒」
「わーい、おそろい‼」

ユエが万歳をする。

「ママとおそろい、楽しみだね‼」
「324円……」
「リィアン。もしかして、一人だけとらさんが嫌なの?とりかえっこする?」
「……もう良い」

今までの経験上、ユエは正真正銘のボケで、ママはマイペース。
言ってもウフフキャハハと二人で遊ぶに違いない。

ママのおこづかいちょうをにらみつつ、どこからこの324円をひねり出そうか考え込むリィアンだった。

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