ユエとリィアンの冒険

ノベルバユーザー173744

はるちゃんちの家族関係

「くすん……もう少しで、あともう少しで、仕上がるのに……」

何度も何度もぼやく、いやごねるママに、ピョコンと長い耳を動かしたユエが、

「ママ?お時間大丈夫?」

クルンクルンのクリームの毛のうさみみ帽子で首をかしげる。
身長は、ママお気に入りのうさみみ帽子の耳の先までで50センチ‼である。

「う~。ママ、人込みきらい。電車きらい……おうちがいい。ユエちゃん。ママと……」
「ユエ。ママを甘やかしちゃダメ。ママ‼リィアンはおそうじちゅうなのです‼」

脚立……『きゃたつ』っていうものに乗って、はたきでパタパタしているのは淡いグリーンの耳がピクピク動くリィアン。

ユエは一応お兄ちゃんで、リィアンはおとうと。
でも、おっとりとしたのんびりやのユエに、真面目でしっかりもののリィアンは逆に見える。
その上身長は1センチも‼ユエが負けている。

たかが1センチでも、ユエには大問題である。
なので、一所懸命背伸びをしたり、耳をひっぱったり頑張っているのだ。

「ママもきれいなおうちがいいでしょ?行ってきてよ。そうしたら、ここに、お洗濯もの集めておくからね?」

いくらしっかりもののリィアンでも、洗濯物を洗濯機に入れることはできない。
それに干すこともできないのだ。

「うん……が、頑張って、行ってきます‼」
「行ってらっしゃい‼ユエも」
「行ってらっしゃい‼ママ。おやつ独り占め駄目だよ?」

二人は揃って見送った。
外から鍵がかかり、ママが階段をおりていったのを耳をピクピクさせて聞いていたユエは、テテテっと部屋に戻り、

「はーいみんな‼起きて~頭ポンポンして、お洋服脱いでね~」
「はーい」
「うぅ~。はだかか、いやだなぁ」
「がまんして~。ママが帰ってきたらなんとかなるよ」

飾られていた、ミツバチの着ぐるみロンパースのテディベアが、よいしょっと立ちあがり、ピョーンと飛び降りると次々に飛び下り、床はテディベアだらけになる。

「リィアン‼脱がせて」
「ぼくも~」
「はーい、じゅんばんじゅんばん」



ママ……はるちゃん……は、自分の双子の息子がウサミミのテディベアであることを知っている。
というよりも、気にしないと言うよりも、それがどうした~虫より当然可愛いと思いますが、何か?
というタイプである。

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