最弱の英雄
一章 14話「”声”」
ライトが眼を覚ました時は、宿の部屋だった、自分は外に居たはずなのに…と身体を起こして辺りを見回すと、アイリスの姿が目に入った、アイリスはライトが起きたことに気づくと薄く微笑み
「あ、ライト起きた?」
「え…あぁ…えっと、なんで俺この部屋に居るんだ?」
「え? ライト覚えてないの? あの後ライト気絶しちゃったじゃない」
「あの後?」
そこでライトは自分が外でしていた事を思い出す。自分はボルトの練習をしていて、トラウマのせいで電気関係の事をイメージすると身体が震えだす事に気付き、なんとかそのトラウマを克服してボルトを習得する事が出来たはずだ。
「あれ…俺の記憶だと無事にボルトを習得出来て気絶する要素皆無なんだけど」
ライトがそういうとアイリスは信じられない…と口に手を当て驚いた顔をする。
「まさか…覚えてないの? 」
本気で心配してる様子のアイリスの態度にライトも不安になる。
なんだ、自分は何を忘れているというのだ。
「いいわ、だったらあの後何があったか話してあげる、話を聞けば思い出すかもしれないしね」
とアイリスはボルト習得後の話をする。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「な、なんだよこれ…」
ライトは尋常でない程震えている右腕を見て驚いた顔をする。
「なぁアイリス! ボルト使った後って皆こうなるのか⁉︎」
「え⁉︎ いや、初級魔法にそんな反動は無いはずなんだけど…」
質問をされたアイリスもすごく驚いたようすで返答する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
場面は宿の部屋へと戻る
「それでその後にライトが…」
「ちょ、ちょっと待って! なんか思い出しそう! 」
アイリスの話を強引に断ち切り、集中する。アイリスの話によって少しずつだが思い出して来たのだ。
「たしかあの時…」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「え⁉︎ いや、初級魔法にそんな反動は無いはずなんだけど…」
質問をされたアイリスも驚いた様子で返答する。
アイリスも知らないという事はライト自身の問題という事になる。
「…やっぱそう簡単には克服できねぇか…」
  本来トラウマは”死にかけた”事によってその”死にかけた”原因がトラウマになる事が多いらしいが、ライトはその原因のせいで”死んでいる”のだ、そのトラウマは簡単に克服出来ないのは当たり前だった。
「と、とりあえずその震えをなんとかしないと!」
「震えてる感覚は全然無いんだけどな…」
「で、でもその震え方は普通じゃないもの!」
アイリスもパニックになっているらしい、確かにライトの右腕の痺れ方は明らかにおかしいのだ、まるで”何かに怯えている”ようなそんな感覚だった。そしてライトはその感覚を”知っていた”。
それはライトを殺そうと灰色のパーカーを着た男がスタンガンを両手に持ち自分に近づいてくる時の感覚と同じだった。
そして自身の右腕に触れてみると、聞いた事のない”声”が聞こえた。
『ーーおーい…ダメだ聞こえてないのかな…』
「だ、誰だお前!」
思わず口に出してしまう、突然頭の中で声がしたら誰だって驚くだろう。それを見たアイリスは心配そうに「どうしたの?」と聞いてくるが、ライトは「ごめんなんでもない」と返す、そして再び声が聞こえてくる。
『あれ? 聞こえたのかな? もし聞こえてるんなら頷いてみてくれないかな 』
そう言われライトは言われた通りに頷く動作をする、すると頭の中の声が明るい声になり
『よかった! 聞こえてるみたいだね、でも急にどうしたんだろ、さっきまでは全然聞こえてなかったっぽいのに…もしかして、意図的に無視してた?』
「…そんな事より、お前は誰なんだよ」
『ん? 急に小声になってどうしたんだい? 何を言ってるか聞こえないんだが…』
ライトが小声になった理由はアイリスが近くに居るからである、ただでさえ今心配かけているというのに急に1人で喋りだしたらまた余計な心配をかけてしまうと思い、ライトは小声で喋っていたのだが、声の主には聞こえなかったらしい。
『あ、もしかして、そこに銀髪の娘が居るから話せないのかな?』
その言葉にライトは何度も頷く。
『いやーごめんごめん! 先に言っとくんだったね、ボクと会話をする時は声に出してもいいけど、頭の中で喋っても伝わるよ』
そう言われライトはアイリスに「ちょっと集中したいから少し待っててくれ」といい眼を閉じ頭の中で喋ってみる。
『あ、あー…聞こえるか?』
『うん、聞こえるよ、初めましてだね』
『あぁ、突然だが、お前は誰だ』
『本当に突然だね…えっと、それはボクの名前を聞いているのかな?』
『それもあるし、お前は何者なんだって事も含めてだ』
『なるほどね、じゃあお互い自己紹介しようか。 って言いたいけど、君凄い疲れてるっぽいから後からにしないかい?』
『はっ? 』
『だってその銀髪の娘だって心配してるよ? ほっといていいのかい?』
そう言われライトは眼を開け前を見る、するとアイリスが凄く不安そうな顔でこっちを見ているのが分かった、それを見たライトは再び眼を閉じ声の主との会話に戻る
『確かに、後からの方がいいかもな…』
『でしょ? なら君がぐっすり休めるようにボクが手助けしてあげるよ、眼が覚めたら君の方からボクに話しかけてほしい、どうやらボクからは君に話しかける事は出来ないらしいからね』
『あぁ、分かったけど手助けってなん……』
言葉を言い切る前に急激な眠気が襲ってくる、どうやら声の主のしわざらしい、そのままライトは意識を無くした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
場面は再び宿の部屋へと戻る
「あぁ…そういうことか…」
「え? 思いだしたの?」
「あぁ、なんとかね、いやーアイリスには心配かけたな…ごめんな、そんでありがとな」
ライトが外で気を失ったあとアイリスがライトを心配してくれていた事は、眼を覚ました時にライトの手を握ってくれていたので分かる。きっとずっと手を握ってくれていたのだろう。
「い、いえ! 無事ならいいのよ!」
ライトの言葉にアイリスは顔を赤くして返事をする。
そしてアイリスは眠そうにあくびをして
「そ、それじゃあ、ライトも無事みたいだから私は眠ろうかな…」
「あぁ、そうしてくれ、ずっと起きててくれてたんだろ?」
「うん…じゃあ寝るわね、ライトもちゃんと寝て身体を休めなきゃダメよ? じゃあおやすみ」
「あぁ、おやすみ」
アイリスは自分のベッドに入ると、すぐに「すー…すー…」と静かな寝息が聞こえてくる、よっぽど眠かったのだろう。
「さて…俺はやる事をやらなきゃな…」
ライトは再び眠るわけではなく、ベッドから立ち上がり部屋から出る、そしてボルトの練習をした場所に来た。外に出て分かったが、今はまだ夜中だった、そこで胡座をかいて先程と同じようにいつのまにか震えが止まった右腕に触れて眼を閉じ集中する。
『あー…おい、起きてるか?』
『起きてるよ、やっと話しかけてくれたね』
『あぁ、お前のおかげでよく休めたよ』
『それはよかったよ、じゃあまずは、お互い自己紹介しようか』
「あ、ライト起きた?」
「え…あぁ…えっと、なんで俺この部屋に居るんだ?」
「え? ライト覚えてないの? あの後ライト気絶しちゃったじゃない」
「あの後?」
そこでライトは自分が外でしていた事を思い出す。自分はボルトの練習をしていて、トラウマのせいで電気関係の事をイメージすると身体が震えだす事に気付き、なんとかそのトラウマを克服してボルトを習得する事が出来たはずだ。
「あれ…俺の記憶だと無事にボルトを習得出来て気絶する要素皆無なんだけど」
ライトがそういうとアイリスは信じられない…と口に手を当て驚いた顔をする。
「まさか…覚えてないの? 」
本気で心配してる様子のアイリスの態度にライトも不安になる。
なんだ、自分は何を忘れているというのだ。
「いいわ、だったらあの後何があったか話してあげる、話を聞けば思い出すかもしれないしね」
とアイリスはボルト習得後の話をする。
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「な、なんだよこれ…」
ライトは尋常でない程震えている右腕を見て驚いた顔をする。
「なぁアイリス! ボルト使った後って皆こうなるのか⁉︎」
「え⁉︎ いや、初級魔法にそんな反動は無いはずなんだけど…」
質問をされたアイリスもすごく驚いたようすで返答する。
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場面は宿の部屋へと戻る
「それでその後にライトが…」
「ちょ、ちょっと待って! なんか思い出しそう! 」
アイリスの話を強引に断ち切り、集中する。アイリスの話によって少しずつだが思い出して来たのだ。
「たしかあの時…」
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「え⁉︎ いや、初級魔法にそんな反動は無いはずなんだけど…」
質問をされたアイリスも驚いた様子で返答する。
アイリスも知らないという事はライト自身の問題という事になる。
「…やっぱそう簡単には克服できねぇか…」
  本来トラウマは”死にかけた”事によってその”死にかけた”原因がトラウマになる事が多いらしいが、ライトはその原因のせいで”死んでいる”のだ、そのトラウマは簡単に克服出来ないのは当たり前だった。
「と、とりあえずその震えをなんとかしないと!」
「震えてる感覚は全然無いんだけどな…」
「で、でもその震え方は普通じゃないもの!」
アイリスもパニックになっているらしい、確かにライトの右腕の痺れ方は明らかにおかしいのだ、まるで”何かに怯えている”ようなそんな感覚だった。そしてライトはその感覚を”知っていた”。
それはライトを殺そうと灰色のパーカーを着た男がスタンガンを両手に持ち自分に近づいてくる時の感覚と同じだった。
そして自身の右腕に触れてみると、聞いた事のない”声”が聞こえた。
『ーーおーい…ダメだ聞こえてないのかな…』
「だ、誰だお前!」
思わず口に出してしまう、突然頭の中で声がしたら誰だって驚くだろう。それを見たアイリスは心配そうに「どうしたの?」と聞いてくるが、ライトは「ごめんなんでもない」と返す、そして再び声が聞こえてくる。
『あれ? 聞こえたのかな? もし聞こえてるんなら頷いてみてくれないかな 』
そう言われライトは言われた通りに頷く動作をする、すると頭の中の声が明るい声になり
『よかった! 聞こえてるみたいだね、でも急にどうしたんだろ、さっきまでは全然聞こえてなかったっぽいのに…もしかして、意図的に無視してた?』
「…そんな事より、お前は誰なんだよ」
『ん? 急に小声になってどうしたんだい? 何を言ってるか聞こえないんだが…』
ライトが小声になった理由はアイリスが近くに居るからである、ただでさえ今心配かけているというのに急に1人で喋りだしたらまた余計な心配をかけてしまうと思い、ライトは小声で喋っていたのだが、声の主には聞こえなかったらしい。
『あ、もしかして、そこに銀髪の娘が居るから話せないのかな?』
その言葉にライトは何度も頷く。
『いやーごめんごめん! 先に言っとくんだったね、ボクと会話をする時は声に出してもいいけど、頭の中で喋っても伝わるよ』
そう言われライトはアイリスに「ちょっと集中したいから少し待っててくれ」といい眼を閉じ頭の中で喋ってみる。
『あ、あー…聞こえるか?』
『うん、聞こえるよ、初めましてだね』
『あぁ、突然だが、お前は誰だ』
『本当に突然だね…えっと、それはボクの名前を聞いているのかな?』
『それもあるし、お前は何者なんだって事も含めてだ』
『なるほどね、じゃあお互い自己紹介しようか。 って言いたいけど、君凄い疲れてるっぽいから後からにしないかい?』
『はっ? 』
『だってその銀髪の娘だって心配してるよ? ほっといていいのかい?』
そう言われライトは眼を開け前を見る、するとアイリスが凄く不安そうな顔でこっちを見ているのが分かった、それを見たライトは再び眼を閉じ声の主との会話に戻る
『確かに、後からの方がいいかもな…』
『でしょ? なら君がぐっすり休めるようにボクが手助けしてあげるよ、眼が覚めたら君の方からボクに話しかけてほしい、どうやらボクからは君に話しかける事は出来ないらしいからね』
『あぁ、分かったけど手助けってなん……』
言葉を言い切る前に急激な眠気が襲ってくる、どうやら声の主のしわざらしい、そのままライトは意識を無くした。
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場面は再び宿の部屋へと戻る
「あぁ…そういうことか…」
「え? 思いだしたの?」
「あぁ、なんとかね、いやーアイリスには心配かけたな…ごめんな、そんでありがとな」
ライトが外で気を失ったあとアイリスがライトを心配してくれていた事は、眼を覚ました時にライトの手を握ってくれていたので分かる。きっとずっと手を握ってくれていたのだろう。
「い、いえ! 無事ならいいのよ!」
ライトの言葉にアイリスは顔を赤くして返事をする。
そしてアイリスは眠そうにあくびをして
「そ、それじゃあ、ライトも無事みたいだから私は眠ろうかな…」
「あぁ、そうしてくれ、ずっと起きててくれてたんだろ?」
「うん…じゃあ寝るわね、ライトもちゃんと寝て身体を休めなきゃダメよ? じゃあおやすみ」
「あぁ、おやすみ」
アイリスは自分のベッドに入ると、すぐに「すー…すー…」と静かな寝息が聞こえてくる、よっぽど眠かったのだろう。
「さて…俺はやる事をやらなきゃな…」
ライトは再び眠るわけではなく、ベッドから立ち上がり部屋から出る、そしてボルトの練習をした場所に来た。外に出て分かったが、今はまだ夜中だった、そこで胡座をかいて先程と同じようにいつのまにか震えが止まった右腕に触れて眼を閉じ集中する。
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