最弱の英雄
一章 11話 「アイリスの提案」
「………え? 記憶が…?」
沈黙の時間が続いていたが、正気に戻ったアイリスによってそれは打ち破られた。
「き、記憶が無いって…本当なの?」
「…あぁ、なんでか分からないけど、何も思い出せないんだ。 原因も分からない。」
一度嘘を吐いてしまうとどんどん他の嘘が口から出てくる、そんな自分が嫌になるが、もう”記憶喪失”という嘘をつき続けるしか無いのだ。
「そんな事も知らずに無神経だったわね…ごめんなさい」
「い、いや!謝る事はないよ!先に言わなかった俺が悪いんだ!」
自分の嘘を信じて謝ってくるアイリスに胸が痛くなるが、仕方がないと割り切った
「ところで…ライト」
「ん?なんだ?」
「ライトって、ここで…エルキドで住む所ってどうするの?」
「あっ…」
それは考えていなかった、この異世界に召喚された時、とりあえずお金を確保しようとはしたが、お金を手に入れてからどうするかは無計画だった。 しかも今自分は”記憶喪失でこの国に来たばかり”という設定の為、「俺は家あるから大丈夫」という嘘は使えないのだ。
「もし無いなら…私の所に来る?」
「……へ?」
衝撃的な一言を言われた、まさかそんな事を言われるとは思わなかったのだ。
「そ、それはまさか…アイリスの家って事?」
「え? あぁ違うわよ、私だけの家じゃなくて、他の人も一緒に住んでるの。」
「家族とか…ではなく?」
「うん、家族とは一緒に住んでないわ、いろいろあってね…今は知り合いと一緒よ」
「ルームシェアってやつか」
「るーむ…しぇあ?」
「あぁごめん!アイリスには分からなかったな!」
この世界の人たちはなぜか日本語は話せても流石に英語は知らないらしい。
「それで?どうするの?」
どうするの?とはライトがアイリスのいる家に住むか住まないか、という事だろう。
「…それはすごく助かるし、是非ともお世話になりたいんだが……その…許可とか取らなくてもいいの?」
それを訪ねるとアイリスは驚いた顔をして
「あっ…そうだわ…」
「流石にいきなり知らない奴を連れて行ったら怒られると思うぞ?」
「い…いや!きっと大丈夫よ!皆いい人だし!」
それは理由になるのだろうか?とライトは思った。
「とりあえず行きましょう!ライトも疲れてるでしょ?」
「あ、あぁ…まぁ疲れてるけども…」
「早めに行って皆を説得しなくちゃ!行きましょう!」
こうしてライトとアイリスはこの湖に来た時と同じように屋根を魔法で飛びながら移動して行った
「なぁアイリス、こっからアイリスの家まではどれくらいかかるんだ?」
「えっと、とりあえずは竜車をかりて2日くらいかかるわね」
「竜車…?」
「あ、そっか…ライトは知らないのね、竜車っていうのは、人や荷物を乗せたカゴみたいな物にタイヤが付いた物を竜が引っ張ってくれる乗り物の事よ」
ライトの世界でいう馬車と似たような物だろうか、竜がいるこの世界では馬車はひつようが無いのだろう、それよりも…
「竜車ってのがどういう物かは分かったけど…2日も掛かるのか⁉︎」
「えぇ、夜は竜を休ませなきゃいけないから」
「なるほどな…」
「あっ、着いたわよ、ここで竜車を借りるわ」
話しながらだったのであっという間に着いた、そこにはライトには読めないが看板に何か書いてあった、そしてアイリスはフードを被り中へと入った、中には筋肉ムキムキのおじさんがいた
「いらっしゃい!」
「竜車を1台借りたいんですが」
「あいよ!性能はどうします?今居るのは速い奴か体力のある奴しかいませんが」
「では速い竜で」
「へい!では日数はどうしましょう?」
「2日間でお願いします」
「へい!ではお値段が400コイになりやす!」
アイリスが自分の財布からお金を出そうとすると
「ま、まてアイリス!流石にアイリスだけに払わせる訳にはいかないよ!」
「え?でもこれくらい1人で…」
「いやダメだ!俺の居た国では女性と一緒に出掛けた時は、男性がお金を全て出すっていうのが常識みたいなもんなんだ!」
「男の人って大変なのね…私はお金なんて別にしないけど……あれ?ライトって記憶ないんじゃ…」
「あっ……あぁ!確かに記憶無いけど、必要最低限の事とかはボンヤリと覚えてるんだ!」
「そうなんだ、全ての記憶が無いわけじゃないのね」
「あぁ、それで…お金の事だけど、これで足りるかな?てかこれって何円…いや、何コイくらいなんだ?」
といってライトはおっちゃんからもらったコイの入った袋をアイリスに渡した
「えっと……ぴったり1000コイあるわよ、でもお金の数え方も忘れちゃってるのね…」
「あ、あぁ…そうみたいだな、っとこれで竜車の分は払えるな、その袋から400コイ出しちゃってくれ」
「いえ、200コイでいいわよ、半分ずつ払いましょう」
「えっ⁉︎でも…いいのか?」
「えぇ、本当はライトには少しでもお金を残しておきたかったけど…諦めてくれなそうなんだもの」
そうしてライトとアイリスは200コイずつ出し合い、竜車を借りた
「へいまいど!竜車は店の前に出すから少しだけ待っててくれ!」
そう言って店主が外に出たので、言われた通り少し待つと店主が戻ってきた
「さ、準備出来たぜお二人さん」
と言われたので外に出ると
「うわ…本物の…竜だ…」
ライトの目の前には本物の竜が居た、体の色は茶色で二本足で立っており、ティラノサウルスの小っちゃい版の様な姿をしていた
「これが竜車よ、さぁ乗りましょう」
「あ、あぁ!」
そう言って2人は荷台に乗り込んだ、すると店主が来て
「お二人さんはどこまで行くんだい?竜に行き先を教えなきゃいかんからな」
「では、西のマガラ村までお願いします、そこからは私が竜に教えますので」
「了解しました!」
そう言って店主は竜に何か話しかけている、道を教えているのだろう、そしてしばらくたつと
「はい、教え終わりました!」
「ありがとうございます」
「あっ、ありがとうございます!」
そして竜は動き出した、後ろでは店主が笑いながら手を振っていた。
そしてライトのマガラ村までの短い旅が始まった
沈黙の時間が続いていたが、正気に戻ったアイリスによってそれは打ち破られた。
「き、記憶が無いって…本当なの?」
「…あぁ、なんでか分からないけど、何も思い出せないんだ。 原因も分からない。」
一度嘘を吐いてしまうとどんどん他の嘘が口から出てくる、そんな自分が嫌になるが、もう”記憶喪失”という嘘をつき続けるしか無いのだ。
「そんな事も知らずに無神経だったわね…ごめんなさい」
「い、いや!謝る事はないよ!先に言わなかった俺が悪いんだ!」
自分の嘘を信じて謝ってくるアイリスに胸が痛くなるが、仕方がないと割り切った
「ところで…ライト」
「ん?なんだ?」
「ライトって、ここで…エルキドで住む所ってどうするの?」
「あっ…」
それは考えていなかった、この異世界に召喚された時、とりあえずお金を確保しようとはしたが、お金を手に入れてからどうするかは無計画だった。 しかも今自分は”記憶喪失でこの国に来たばかり”という設定の為、「俺は家あるから大丈夫」という嘘は使えないのだ。
「もし無いなら…私の所に来る?」
「……へ?」
衝撃的な一言を言われた、まさかそんな事を言われるとは思わなかったのだ。
「そ、それはまさか…アイリスの家って事?」
「え? あぁ違うわよ、私だけの家じゃなくて、他の人も一緒に住んでるの。」
「家族とか…ではなく?」
「うん、家族とは一緒に住んでないわ、いろいろあってね…今は知り合いと一緒よ」
「ルームシェアってやつか」
「るーむ…しぇあ?」
「あぁごめん!アイリスには分からなかったな!」
この世界の人たちはなぜか日本語は話せても流石に英語は知らないらしい。
「それで?どうするの?」
どうするの?とはライトがアイリスのいる家に住むか住まないか、という事だろう。
「…それはすごく助かるし、是非ともお世話になりたいんだが……その…許可とか取らなくてもいいの?」
それを訪ねるとアイリスは驚いた顔をして
「あっ…そうだわ…」
「流石にいきなり知らない奴を連れて行ったら怒られると思うぞ?」
「い…いや!きっと大丈夫よ!皆いい人だし!」
それは理由になるのだろうか?とライトは思った。
「とりあえず行きましょう!ライトも疲れてるでしょ?」
「あ、あぁ…まぁ疲れてるけども…」
「早めに行って皆を説得しなくちゃ!行きましょう!」
こうしてライトとアイリスはこの湖に来た時と同じように屋根を魔法で飛びながら移動して行った
「なぁアイリス、こっからアイリスの家まではどれくらいかかるんだ?」
「えっと、とりあえずは竜車をかりて2日くらいかかるわね」
「竜車…?」
「あ、そっか…ライトは知らないのね、竜車っていうのは、人や荷物を乗せたカゴみたいな物にタイヤが付いた物を竜が引っ張ってくれる乗り物の事よ」
ライトの世界でいう馬車と似たような物だろうか、竜がいるこの世界では馬車はひつようが無いのだろう、それよりも…
「竜車ってのがどういう物かは分かったけど…2日も掛かるのか⁉︎」
「えぇ、夜は竜を休ませなきゃいけないから」
「なるほどな…」
「あっ、着いたわよ、ここで竜車を借りるわ」
話しながらだったのであっという間に着いた、そこにはライトには読めないが看板に何か書いてあった、そしてアイリスはフードを被り中へと入った、中には筋肉ムキムキのおじさんがいた
「いらっしゃい!」
「竜車を1台借りたいんですが」
「あいよ!性能はどうします?今居るのは速い奴か体力のある奴しかいませんが」
「では速い竜で」
「へい!では日数はどうしましょう?」
「2日間でお願いします」
「へい!ではお値段が400コイになりやす!」
アイリスが自分の財布からお金を出そうとすると
「ま、まてアイリス!流石にアイリスだけに払わせる訳にはいかないよ!」
「え?でもこれくらい1人で…」
「いやダメだ!俺の居た国では女性と一緒に出掛けた時は、男性がお金を全て出すっていうのが常識みたいなもんなんだ!」
「男の人って大変なのね…私はお金なんて別にしないけど……あれ?ライトって記憶ないんじゃ…」
「あっ……あぁ!確かに記憶無いけど、必要最低限の事とかはボンヤリと覚えてるんだ!」
「そうなんだ、全ての記憶が無いわけじゃないのね」
「あぁ、それで…お金の事だけど、これで足りるかな?てかこれって何円…いや、何コイくらいなんだ?」
といってライトはおっちゃんからもらったコイの入った袋をアイリスに渡した
「えっと……ぴったり1000コイあるわよ、でもお金の数え方も忘れちゃってるのね…」
「あ、あぁ…そうみたいだな、っとこれで竜車の分は払えるな、その袋から400コイ出しちゃってくれ」
「いえ、200コイでいいわよ、半分ずつ払いましょう」
「えっ⁉︎でも…いいのか?」
「えぇ、本当はライトには少しでもお金を残しておきたかったけど…諦めてくれなそうなんだもの」
そうしてライトとアイリスは200コイずつ出し合い、竜車を借りた
「へいまいど!竜車は店の前に出すから少しだけ待っててくれ!」
そう言って店主が外に出たので、言われた通り少し待つと店主が戻ってきた
「さ、準備出来たぜお二人さん」
と言われたので外に出ると
「うわ…本物の…竜だ…」
ライトの目の前には本物の竜が居た、体の色は茶色で二本足で立っており、ティラノサウルスの小っちゃい版の様な姿をしていた
「これが竜車よ、さぁ乗りましょう」
「あ、あぁ!」
そう言って2人は荷台に乗り込んだ、すると店主が来て
「お二人さんはどこまで行くんだい?竜に行き先を教えなきゃいかんからな」
「では、西のマガラ村までお願いします、そこからは私が竜に教えますので」
「了解しました!」
そう言って店主は竜に何か話しかけている、道を教えているのだろう、そしてしばらくたつと
「はい、教え終わりました!」
「ありがとうございます」
「あっ、ありがとうございます!」
そして竜は動き出した、後ろでは店主が笑いながら手を振っていた。
そしてライトのマガラ村までの短い旅が始まった
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