天才少年、異世界へ

mizuki

閑話 〜女神side〜

「最近面白いことがないわねー。仕事は多いしほんと嫌になるわ」

一見やる気のない少女であるこの人物こそが異世界フィーリア(弘一郎達が行った世界のこと)を管理する女神リーシアである。

「やっと休みも取れたし、下界の様子でも覗こうかしら」

そうやってリーシアが下界のことを見ていると、

「あら、やだ。また仕事?しかも異世界召喚か〜。 あれって全員に加護を与えなきゃなんないから               嫌いなんだよねー」

そう言いつつ淡々と作業をして、いつも通り召喚対象を異世界に送る。だが、そこでいつもとは違うことが起こる。

「あれ?まだいたの?」

この時、1人送れていなかったことに気づき送り、加護を与えようとする。だが、

「あれ?与えらんない。って何コレ!私より強いじゃない⁉︎どうしてこんな人間が魔力がない世界に存在するのよ!」

 そこで女神はその者の名を確認する。そこには、どこにでもいるような「木村」の文字があった。

「まさか…」

 そう、女神は知っていた。「木村」を持つ者のことを。その者達は神と戦うために己を鍛え、死後もその強さを保ち、運命に抗う。その神にとって一種の呪いのような言葉を見て、女神は、

「面白そうじゃない」

興奮していた。そして誓う。この者の行く末を見届けようと。

 その感情は神が決して抱くことのないはずの恋慕の感情に似ていた。

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