空ノ学園

稜さん@なろう)

1.5時限目 ニコラとケーキとセラ

「うぅ、疲れたぁ……」

  ニコラは呻きながら歩いていた。
それもそのはず、先日受けたテストの点数が圧倒的に低く、家では母親に叱られ学校では休み時間にはセラの付きっきりで勉強、そして放課後に補習を受けるという一日だったからだ。

「再テストどうだった?」
「うぉ?! せ、セラでしたか。驚かさないでくださいよ。もう」

――――彼女が休み時間に勉強を教えてくれた、セラ、セラ・ドラゲライだ

「悪かったわね。で、テストどうだったの?」
「はい! 結構出来ましたよ!」
「あんたの、結構出来ましたは信じれなわね、ふふ」
「できたんです!」
 「はいはい、時間があるならケーキを食べに行かない?」

 ――――ケーキと聞いてニコラはパァと明るい顔になったが直ぐに暗くなった。


「え、えーと誘ってくれるのは嬉しいんですが、あの、えーと」
「どうしたのよ?暇なら行きましょうよ」
「えーと、実は今お金がないんですよね」
「私の誘いなんだから私が奢るわよ」
「でも」
 ――――ニコラが喋り終える前にセラはニコラの手を掴みそのまま走ってしまった。

「ちょ、セラぁ?!」
「私が奢るっていってんだから従いなさい!」
「わかりました! わかりましたから、手を離してくださいよぅ」


◇ケーキ屋

「一杯あるわね。遠慮しないで好きなもの頼んでいいから」
「なら、あのイチゴのショートケーキでお願いします!」
「わかったわ。すいません!」

――――イチゴノショートケーキト

 「こんどちゃんとお返しをしないといけませんね」
「独り言? 持ってきたわよ」
「あ、いえなんでもありませんよ。ケーキ持ってきてくれてありがとうセラ」
「気にしないでいいわよ、さぁ、はやく食べましょ」
「はい! ではいただきまーす」

――――二人は話に花を咲かせ一時間ほどケーキ屋で喋っていた。

「そろそろ、帰りましょうか」
「あーそうですね。あ、セラ」
「どうしたのよ?」
「今日は色々ありがとうございます!」
「気にしないでいいって。じゃあ出るわよ」
「はい」


 ◇店の前

「セラ、私はこっちなので」
「ん? 買い物して帰えるの?」
「はい、お母さんから頼まれていたのを思い出して」
「着いていくわよ?」
「いえ、遅くなるので大丈夫ですよ。ではセラまた明日」
「えぇ、また明日ニコラ」


つづく


余談だかニコラは遅いと母親に叱られたとか叱られてないとか

つづく

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