3人の勇者と俺の物語

穴の空いた靴下

181章 タイタンG

 ズーン、ズーンと地響きは確実に近づいてくる。
 ワタル達は残っている魔物の掃討を加速させた。
 その音の正体が現れた時コロッセオには女神の盾とその巨大な魔物、
 少数の空中を飛ぶ魔物だけになっていた。
 その巨体によってコロッセオの門は無残に踏み壊される……かと思ったら頑丈に残っている。
 アイツらに食べられない不思議物質で出来ていた。

 現れたのは巨人、身の丈15mはありそうだ。
 足音の重量からも自重はかなりのものであることが予想される、
 デルスはトロイと言っていたが動きは油断ならないほど機敏で、
 空を舞う魔物を素早い動きで邪魔そうに叩き落としている。

 「これはでかい!」

 バッツが見上げながら男口調で驚く。

 「あらやだ、うふふ」

 すぐに取り繕うが誰も気にしていない。

 「ユウキ、Lv3までの武器の使用を許可する」

 「え!? ほんとに!? ほんとに使っていいの!?」

 「3までだからね、もう死にそうになるのは御免だから……」

 参考までに4は核爆弾と魔力暴走弾。5は相転移砲だ。

 「ユウキ隊へコード3発令、レベル3武器までの使用を許可する」

 「「「「イエス・マム!!」」」」

 兵士たちが装備を一瞬で換装する。
 40mm機関銃に対地ミサイル、対空ミサイル、対戦車ライフル、なんちゅうもの作ってるんだ、
 しかも前より凶悪なフォルムになっている。
 ワタルは許可を出したことを少し後悔していた。

 「目標、巨人、銃弾は惜しむな!! 全てをあの野郎のケツの穴にぶち込んでやんな!!」

 「イエス・マム!!」

 凄まじい音が木霊する。
 ユウキさんの快楽を邪魔しないように女神の盾のメンバーはけんに回って状況の変化を見守る。
 ユウキの部隊の激しい攻撃が巨人へと着弾すると激しい爆発が起こる、
 機関銃が銃弾を吐き出す音は途切れることなく的確に巨体の身体を削っていく、

 「サーイエッサー! 工兵設置終了いたしました。サーイエッサー!」

 「C4点火!」

 「イエス・マム!!」

 その返事と同時に巨大な爆発が巨人の足元で起きる。
 近代兵器と魔法の融合によりその爆風と熱量は指向性を持って巨人を襲う。
 魔法によって反作用を抑える攻撃はその威力を全て敵に叩き込む攻撃となっている。

 「撃ち方止め!!」

 ユウキの鋭い声が戦場に木霊する、土煙と硝煙が一陣の風に流されるとそこには見るも無残な巨人の姿が晒されることになった。

 「はぁ……気持ちぃぃ……」

 ぼそっと呟くユウキの顔は上気しており、
 吐息にも似た呼吸が少し早く艶っぽい唇の隙間から漏れ出る。
 濡れている。

 ユウキの発散のはけ口となった巨人は脚部はC4によって大きく欠損しており、
 体を覆う巨大な鎧には幾万もの穴が出来ている、腕もギリギリくっついてはいるがミサイルやライフルでボロボロだ、頭部だろうが容赦なく銃弾の洗礼を受けている。
 それでも破片をボロボロと落としながら動いている。

 「あのー、ユウキさん残りはこちらで対処してよろしいですか?」

 モードに入ってしまったユウキにワタルは恐る恐る尋ねる。
 ユウキはすでに満足したようにコクリと頷く。
 ワタルを見つめる瞳はすでに戦いの場が今夜のベッドの上に移っていることを告げていた。
 ゴクリと生唾を飲み込むが、まずはこの戦いを終わらせないといけない、

 「全員! 突撃!」

 すこしユウキに引っ張られた感のある号令を発する。

 ワタルは武器を召喚し一斉に投射する、リクはトマホークの代わりに巨大な戦斧を投げつける、
 カイとカレンは合体魔法で巨大な岩嵐をぶつける、クウは無数の斬撃を飛ばして攻撃している。
 バルビタールはまるでかめ○め派のような強力な一撃を放っている。

 「いっくわよー!」

 極限まで練り上げた闘気を大剣に乗せてバッツが振りかぶり、そして振り下ろす。
 巨大なレーザー兵器のような剣戟が巨人を飲み込む。
 舞い上がった砂煙が落ち着いた時、静かに地面に落ちたコアが砕け、なにも残らなかった……

 『さすがだねー、簡単にアイツを倒しちゃうんだね!
 ダンジョンの耐久試験としてもとてもいいデータが取れたよ。
 とりあえず今日のテストはこれぐらいにしようか、まだアイツらは掃いて捨てるほどいるから』

 脳天気なデルスの通信が入り、全員転移魔法陣でデルスの研究所のある島まで飛ばされる。

 「いやー、みんなすごいね。僕の世界の住人で計画していた駆除が200年分ぐらい処理できたよ!」

 「ゆ、ユウキどの……」

 ケイズにとってユウキの豹変は少しショックだったみたいだ。

 「いやーワタル君お疲れ様。これなら通常運用も問題なさそうだね。
 一般冒険者ならあの階層まで到達するのは少し先になりそうだね。
 とにかくおつかれおつかれ。ところでー、ダンジョンで言っていた美味しいものが楽しみだなー」

 にっこにこのデルスの肩に手をおいてワタルは告げる。

 「今から作りますよー楽しみにしてくださいね。完食するまで帰りませんから」

 ワタルの調理が始まってしばらくするとまず呼吸に異常が現れた、
 息を吸い込むと反射的に咳が出てカーッと喉が熱くなる。
 そして目に染みる。空気が目に染みるのだ。
 女神の盾のメンバーは全員風の精霊と水の精霊の加護を受けている。
 デルスやその他の二人はおかしいよ? なんか変だよ? と騒いでいたが無視して調理は続いた。
 デルス他2名が女神の盾メンバーによって椅子に拘束されテーブルには真っ赤な料理が広げられていた。

 「目が、空気が痛い……」

 「一面が赤い、赤いよワタル君!」

 「大丈夫ですよー美味しいですからー。ちょーっと辛いかもしれませんけど……。
 身体にもいいですよー発汗作用もバッチリですよー」

 にっこりと笑顔を3人に見せるワタル。

 「め、目が笑ってないなー……あ、イタタ急にお腹が……」

 「おっと大丈夫ですか? 整腸作用のあるこちらのカレーをどうぞ」

 クウが目にも止まらない速さでデルスの口にカレーのスプーンを入れる。

 その後、声にならない声を出しながら結局全てを平らげた3人であった。

 ワタルは優しいので懲らしめるために表面だけ激辛にしていたので、
 目を血走らせて謝る3人に魔法で回復して本当に美味しいピリ辛料理全員で楽しみましたとさ。

 めでたしめでたし。

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