3人の勇者と俺の物語

穴の空いた靴下

180章 多勢に無勢

 ワタルの目の前に魔物の群れが押し寄せている、
 前方どこを見渡しても敵敵敵、空にも飛行型の魔物がうようよといる。

 「こりゃ、打てば当たるな……さぁて、それじゃぁ行きますか!
 【踊れ、武神の牙】!!」

 ワタルの痛い掛け声とともに背後に展開していた武器達が光の痕跡をのこして魔物たちに襲いかかる、
 首を刎ね、腕を削ぎ、足を穿つ。
 数百の様々な武器がまさに踊るように魔物に襲いかかっていく、
 ワタルは指揮者コンダクターの様にそれを操り死体の山を築いていく。
 この状態のワタルは攻撃魔法は使えない、全ての魔法操作をその武器の操作に向けている。
 カイやカレンの魔法技術を持ってしても不可能な技術だった。
 押し寄せる数千体を越す魔物も流石に距離を取り始める。

 「来ないならこちらから行くぞ、【無限インフィニティ武器庫アーモリー】!!」

 アーモリーのアーの最後は巻き舌でRの発音で気持ちよさそうに前方に武器を射出する。
 もちろんワタルは武器庫を英語でなんというか知らなかったので、ユウキに教えてもらったのだが、
 なんでそんなことを聞くのか? と、ユウキに聞かれて、ひ、必殺技……まで言ったところで、
 ああ~~、ワタルくんも男の子なのね。という生暖かい目で見られたりした裏話もある。

 命名センスや技名を叫ぶのは置いておいて、ワタルの放つ攻撃は強力無比、
 放たれた方向に存在する全ての魔物はミキサーでもかけられたかのように粉々になっている。
 隙きを突いて攻撃を飛ばしてくる魔物もいるがあっさりと魔法の盾で防がれる、
 盾一つとってもカイの大魔法でやっと壊せるくらいの防御力がある。
 生半可な魔物では髪の毛一つの傷もつけられない。

 他のメンバーもそれぞれ無双状態で魔物の波をかき分けて大暴れしている。

 リクは闘気で覆い巨大化した戦斧を両手に構え、まるでタイフーンの様に近づく魔物を切り裂いていく、自慢の爪や牙で戦斧を受け止めようとする魔物もいるがまるで紙の様に切り裂かれていく、
 少し距離を空けて油断しているとレーザービームのようなトマホークが襲ってくる。
 どちらかと言えば少数を相手にしたほうが実力を発揮できるリクだが、
 よほど実力が拮抗していなければ魔物粉砕機のような物だ……可哀想な魔物たち……

 カイは完全に遠方からの魔法だけで全てを終わらせている、彼女のそばまで届く攻撃も魔物も皆無だ。
 土がせり上がり土壁に囲まれると頭上から炎と風が襲いかかる、
 空中にいる魔物は凄まじい突風に巻き取られて一箇所に集められ、絶対零度の風にその身を凍らされ地面に落下して粉々になる。
 対峙する相手に同情を禁じ得ない……

 クウは敵陣に走る風。フワッと風を感じると自分の体が真っ二つになっている。
 クウの姿を捉えられる魔物はいない。縦横無尽に走り回り、触れる者皆傷つける。
 静かなあまりにも静かな戦場にドサリドサリと魔物が倒れる音だけが響く。
 魔物側からしたら恐怖でしか無い。未だに敵の姿さえも見ることのなかった死体が積み重なっていく。

 バルビタールは正統派魔剣士と言った感じで各種様々な魔法を武技に乗せて放つ、
 武術家としての戦いは見ているものにワクワク感を感じさせる。
 無手に近い爪術を得意技として伸ばしてきている。
 もともとの優れた身体能力もあるので1対1の戦闘では女神の盾でも上位にいる。
 ちょっと他のメンバーと比べると堅実だが地味な戦闘になっている。

 ユウキは多種多様な重火器を運用して戦う。
 クレイモアや榴弾など変わったものも使うし、開発マニアな一面も相まって少々危険な物も色々ある。
 さらにユウキはカレンと協力して精霊を宿らせた石像ならぬロボットをアイテムボックスから呼び出して指揮する。それぞれマシンガン、バズーカ、RPG、クレイモアなどの兵器の運用に精通している。
 一個師団。ユウキの近代兵器を扱う一個師団が完成している。
 近代兵器と魔法とのミックスによって現代戦闘よりも戦闘力は高い。
 戦っているときのユウキに迂闊に話しかけると口を開ける最初と最後にサーイエッサーをつけろ糞虫がぁ!! 言われることがあるので注意が必要だ。
 戦闘訓練の夜は乱れるのも追記しておこう、なにが? ってのは無粋な質問だ。
 今日の夜とかすごそうだ。

 カレンは弓による攻撃、精霊を使役した攻撃を織り交ぜ中・遠距離で華麗な戦闘を繰り広げている。
 幻術による同士討ちなどエゲツない攻撃も多く持っており、多数の敵を相手にして最も厄介なのはカレンかもしれない。味方ならこれほど頼もしい人材はいないだろう。

 バッツは巨大な両手剣を食事に使うナイフのように軽々と振り回し強力無比な斬撃を四方八方に放ち多数の死体の山を築いている。派手な大技で敵をちらしたかと思うと、
 バイセツ由来の剣技によって静かに、そして華やかに敵を散らす。
 静と剛が入り乱れる華のある戦い方を好んでいる。
 時々変なポージングを入れるので対峙する敵からすれば別の意味でも恐怖を覚えるだろう。

 地に伏した魔物たちのコアはカレンが弓によって全て撃ち抜いている。
 自らの戦闘を行いながら残飯処理までこなすカレンの驚くべき戦場認識能力だ。
 魔物の波も最初の津波のような勢いから漣に変わってきて、空中の敵も次から次へと落とされ、
 圧倒的な女神の盾のメンバーの実力をまざまざと見せつけ、このまま掃討戦になりそうだった時、
 コロッセオに今までにない振動が響き渡る。

 『緊急転送テストは別の機会にやることにするよ、君たちの実力ならもうコイツの処理もお願いするね。始祖のアイツの一つでトロイから転送できた厄介な奴の一人。
 一応アイツらの中ではトップクラスの実力を持っているはず。
 まぁ、君たちなら問題ないと思うけど、よろしくねー』

 『デルスさん、あとで美味しい料理届けますねー』

 『え、ほんと? 楽しみにしてるね!』

 ワタルは心に決めていた。
 この戦いが終わったらデルスに美味しい美味しい四川料理とインド料理とタイ料理とメキシコ料理を絶対に食べてもらうことを……

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