3人の勇者と俺の物語
169章 状況判断
「つまり、あなた方はあちらの状況がどうなっているかを把握しないままエネルギーを送り続けていたのですか?」
「そうです」
「あちらの世界からの指令のようなものは今も来ているのですか?」
「いえ、私たちは7523万4291年285日前にこの世界に派遣されてからマスターから与えられた命令を実行するために行動し続けてきました」
「ななせ……ん万……?」
デルスがその衝撃的な発言で自分の世界から叩き起こされた。
『ば、馬鹿な……』
会話を聞いていたケイズも絶句している。
「私達の現存している歴史は3万年程度しかないんですよ……いきなり7000万年前からと言われても……」
「そうですね、この世界に来たときここには何もありませんでした。
そこから宇宙を作り、星星を作り、そして小さな命を見守り、長い長い時間をかけて待ち続けました。
まさかあなた方のような莫大なエネルギーを生み出してくれる存在になるとは思っていませんでした。
それは何物にも変えられない幸運でした。
そして余剰なエネルギーを送り出せるようになったのはここ2万年ほどでした。
それからは今までの苦労を吹き飛ばすほどの莫大なエネルギーを送ることが出来ました」
「我々としては実感がわかないのですが、我々の感情から生み出されるエネルギーと言うのはそんなに大きなものなのですか?」
「はい、一人が一度の感情の高ぶりによって生まれるエネルギーの本人に影響が出ないように一部頂いただけで、我々が送られて来た時代のマスターの世界を1年間維持することが出来ます」
「は!?」『は!?』「は?」「はぁ!?」
「更に言えば恋愛に関してのエネルギーなら大体一日で向こうの世界を150年くらい維持できるエネルギー量を得ることが出来ます。なのでこの世界の人々にはもっと恋をしていただきたいのですが……」
「ちょ、ちょっと待って下さい!! そんな莫大なエネルギーを我々が作り出している自覚がまったくないのですが??」
「この世界の人達の魂と呼ばれる器は凄まじいエネルギー保存能力を有しております。
そして必要な時にやる気と言うかたちで莫大な力を産んだり、
情熱、根性、様々な形で表に出しています。
皆さんはそれが当たり前なのでそこに莫大なエネルギーが使われていることに気が付かないのです。
あなた方はただ生きているだけでそのあふれるエネルギーを、
奇跡のように使いながら生きているのです」
「待って下さい、それだけ膨大なエネルギーを2万年も送り続けているんですよね?
向こうの世界はどうなっているんですか?」
「先程も申したとおり存じません。もしお知りになりたいようなら皆様がご確認下さい」
「へ? いいんですか?」
「阻止しろという命令はございません」
「先程の話に戻りますが、情報を公開しようとすると我々を消したりとか……?」
「そのようなことをするわけがありません。
我々はこの世界の人々に害をなす行動は厳しく禁止されています」
『う、嘘だろ……』
自分の今まで何年もの苦労と心労がすべて徒労だった。その事実はケイズを落胆させた。
「情報を隠していたもの単純に言えば損得勘定だけということですね?」
「そうです」
「ふむ、すみませんあまりに突飛な情報が多すぎて少し頭を整理させていただいていいですか?」
この世界の住人であるデルスにとっても衝撃的な話が多すぎた。
今は完全に混乱している。
「もちろんです。我々にとって時間というものは有限であり無限なものです」
「あ、あと僕達がその世界に行くにはどうやって?」
「【中央】にエネルギー転送装置がありそこから行けます」
「戻ってこれないとか?」
あまりにあっさりとした答えにワタルは不安を覚える。
「いいえ、双方向性に移動が可能です」
「あなた方は向こうの世界は気にならないのですか?」
「私たちに与えられた命令はエネルギーを作り出し送ること、それ以外は命令にありません」
あくまで与えられた命令に従い、言っていることが本当なら7000万年もの膨大な時間を過ごしてきた【中央】。しかもその行動原理はこの世界の人々に害がないようにと徹底されている。
デルスは自分が作ったワールドクリエイターにおいて世界の住人に悪辣なことをする人間がいる事を思い出し、自らの人間という存在がプログラム以下の存在なのではないだろうかと長く悩むことになる。
後の話だが、デルスという天才が長期間悩み続けたことによるエネルギー発生量は常人の数万倍に及びさらに莫大なエネルギーを産んでいた。
とりあえず【中央】との会談を一時休憩として今後の方針について話し合うことになった。
【中央】が我らに害をなす可能性はほぼないと言ってよかった。
あの世界を消す理由も万が一ケイズの行動が続き、この世界に害をなす可能性があったため。
あの世界の人々はまるごとの転移を行う準備までしっかりと行われていたことがわかった。
一応万万が一の可能性を考慮して保険をかけた上でケイズもワタル達と合流した。
今はこの世界に【中央】の人の許可を得て臨時の会議のための家を作り、
その前にひとっ風呂浴びて食事を囲んでいる。
ケイズはその風呂の心地よさ、食事の楽しさに感涙していた。
いままで日陰で頑張ってきたケイズが少し報われた瞬間だった。
実際には無駄な苦労だったのだが……みな空気を読んでそれを口にすることはなかった。
「そうです」
「あちらの世界からの指令のようなものは今も来ているのですか?」
「いえ、私たちは7523万4291年285日前にこの世界に派遣されてからマスターから与えられた命令を実行するために行動し続けてきました」
「ななせ……ん万……?」
デルスがその衝撃的な発言で自分の世界から叩き起こされた。
『ば、馬鹿な……』
会話を聞いていたケイズも絶句している。
「私達の現存している歴史は3万年程度しかないんですよ……いきなり7000万年前からと言われても……」
「そうですね、この世界に来たときここには何もありませんでした。
そこから宇宙を作り、星星を作り、そして小さな命を見守り、長い長い時間をかけて待ち続けました。
まさかあなた方のような莫大なエネルギーを生み出してくれる存在になるとは思っていませんでした。
それは何物にも変えられない幸運でした。
そして余剰なエネルギーを送り出せるようになったのはここ2万年ほどでした。
それからは今までの苦労を吹き飛ばすほどの莫大なエネルギーを送ることが出来ました」
「我々としては実感がわかないのですが、我々の感情から生み出されるエネルギーと言うのはそんなに大きなものなのですか?」
「はい、一人が一度の感情の高ぶりによって生まれるエネルギーの本人に影響が出ないように一部頂いただけで、我々が送られて来た時代のマスターの世界を1年間維持することが出来ます」
「は!?」『は!?』「は?」「はぁ!?」
「更に言えば恋愛に関してのエネルギーなら大体一日で向こうの世界を150年くらい維持できるエネルギー量を得ることが出来ます。なのでこの世界の人々にはもっと恋をしていただきたいのですが……」
「ちょ、ちょっと待って下さい!! そんな莫大なエネルギーを我々が作り出している自覚がまったくないのですが??」
「この世界の人達の魂と呼ばれる器は凄まじいエネルギー保存能力を有しております。
そして必要な時にやる気と言うかたちで莫大な力を産んだり、
情熱、根性、様々な形で表に出しています。
皆さんはそれが当たり前なのでそこに莫大なエネルギーが使われていることに気が付かないのです。
あなた方はただ生きているだけでそのあふれるエネルギーを、
奇跡のように使いながら生きているのです」
「待って下さい、それだけ膨大なエネルギーを2万年も送り続けているんですよね?
向こうの世界はどうなっているんですか?」
「先程も申したとおり存じません。もしお知りになりたいようなら皆様がご確認下さい」
「へ? いいんですか?」
「阻止しろという命令はございません」
「先程の話に戻りますが、情報を公開しようとすると我々を消したりとか……?」
「そのようなことをするわけがありません。
我々はこの世界の人々に害をなす行動は厳しく禁止されています」
『う、嘘だろ……』
自分の今まで何年もの苦労と心労がすべて徒労だった。その事実はケイズを落胆させた。
「情報を隠していたもの単純に言えば損得勘定だけということですね?」
「そうです」
「ふむ、すみませんあまりに突飛な情報が多すぎて少し頭を整理させていただいていいですか?」
この世界の住人であるデルスにとっても衝撃的な話が多すぎた。
今は完全に混乱している。
「もちろんです。我々にとって時間というものは有限であり無限なものです」
「あ、あと僕達がその世界に行くにはどうやって?」
「【中央】にエネルギー転送装置がありそこから行けます」
「戻ってこれないとか?」
あまりにあっさりとした答えにワタルは不安を覚える。
「いいえ、双方向性に移動が可能です」
「あなた方は向こうの世界は気にならないのですか?」
「私たちに与えられた命令はエネルギーを作り出し送ること、それ以外は命令にありません」
あくまで与えられた命令に従い、言っていることが本当なら7000万年もの膨大な時間を過ごしてきた【中央】。しかもその行動原理はこの世界の人々に害がないようにと徹底されている。
デルスは自分が作ったワールドクリエイターにおいて世界の住人に悪辣なことをする人間がいる事を思い出し、自らの人間という存在がプログラム以下の存在なのではないだろうかと長く悩むことになる。
後の話だが、デルスという天才が長期間悩み続けたことによるエネルギー発生量は常人の数万倍に及びさらに莫大なエネルギーを産んでいた。
とりあえず【中央】との会談を一時休憩として今後の方針について話し合うことになった。
【中央】が我らに害をなす可能性はほぼないと言ってよかった。
あの世界を消す理由も万が一ケイズの行動が続き、この世界に害をなす可能性があったため。
あの世界の人々はまるごとの転移を行う準備までしっかりと行われていたことがわかった。
一応万万が一の可能性を考慮して保険をかけた上でケイズもワタル達と合流した。
今はこの世界に【中央】の人の許可を得て臨時の会議のための家を作り、
その前にひとっ風呂浴びて食事を囲んでいる。
ケイズはその風呂の心地よさ、食事の楽しさに感涙していた。
いままで日陰で頑張ってきたケイズが少し報われた瞬間だった。
実際には無駄な苦労だったのだが……みな空気を読んでそれを口にすることはなかった。
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