3人の勇者と俺の物語

穴の空いた靴下

161章 情報

 「【中央】へ送られた貴方はその後どうなるのですか?」

 誰一人動けない中、ユウキがまた口火を切る。

 「あいつらのことだ、そのまま封印して永久倉庫いきだろう、
 奴らはなにも考えない、問題があれば先送り、無限の時間のうちに忘れるのを待つだけだ。
 そのくせ支配者気取り。我々を狂わせる諸悪の根源だ。
 【中央】へと入れれば、私に仕組まれたプログラムがその全てを破壊してくれるだろう、
 ようやく【中央】への道を掴んだぞ、さぁ! 早く送ってくれ!
 君の名は何というのかね? 我が救世主よ!」

 真っ白な肌に朱が刺すように興奮している【絶対者】はワタルに向き直り名を聞いてくる。

 「ワタル、一ノ瀬 渉だ。くそ……何が正解なんだ……どうすればいいんだ俺は……」

 「具体的に【中央】を殺すプログラムなんてものがありえるのですか?」

 ユウキが方法にこだわっているようにも感じる。

 「ん? ああ、それは俺達の生き方がわからないとわからないと思うぞ、
 俺がやろうとしているのは神共を管理しているシステムへの破壊だ、
 管理なんて言っているが、実際は支配だ。
 あいつらが与える餌を吸って意味もなく生きている神共を、
 眠らせてやる、救いなんだよこれは」

 「【中央】の管理システムを破壊してそれが神の死へと繋がるのですか?」

 「ワールドクリエイター内の神はそのままその世界で死のある生活を過ごしてもらう。
 外の神は【中央】の永遠の支配から開放して、終わりある生を取り戻してもらう。
 自らがただ永遠に生きるだけならいざしらず、遊び道具として命を生み出し、
 他の生物をエネルギーとして巨大な農場のように管理する、そんな物を生かす意味などない」

 「それは……どういうことだ?」

 「簡単なことだよ、我々は【中央】が管理する生命維持に必要な素材と、
 至高の感覚をデータとして与えられている、体が壊れれば代わりの体を与えられ、
 死ぬこともなく、どのような快楽も快感も自由自在に得ることができる。
 当然疑問が起きる、その素材はどこから来たのか?
 答えは簡単だ、広大な宇宙を牧場として自分たちの素材を生み出し、そして搾取しているのだよ、
 【中央】とその支配下にある工場によって作られた製品に縛られた我々は、
 生きているんじゃない。生かされているんだ。
 しかも、滑稽なことにその【中央】は、我々とは異なった存在なんだよ、
 滑稽じゃないか、我々は万能の神ののように生きていた、
 しかしその実態は、【中央】の奴らに管理されている家畜なんだよ我々は!!」

 段々と興奮して息を切らせ一気にまくし立てた後にハァハァと苦しそうに呼吸している。

 「ちょっとまってください、後から後からとんでもないことを言っていますが、
 それが事実なら私達も考えないといけないと思います。
 貴方は何者で、なぜそんなことを知っているのですか?
 少なくとも我々が出会った神からそのような情報のかけらも聞いたことがありません」

 ユウキがあまりの話の展開に我慢できずに口を挟む。
 他のメンバーは完全に置いてけぼりになってしまっている。
 あまりにも突拍子もなさすぎる話に、マンガやアニメやラノベなどに触れる機会のない、
 この世界のメンバーでは想像することも難しいレベルの話だからだ。

 「それはそうだ、普通の奴らは【中央】の奴らに記憶操作、情報操作を受けているからな」

 「なぜ貴方はそのことを知ることが出来たのですか?」

 「……俺は自分たちの過去、生命のルーツを調べていた。
 情報の海に自分が作ったツールを走らせてそこら中の情報を手当たり次第集めて組み合わせてたんだ、
 基本的な情報操作はその時に色々と学んだ、
 俺にはどうやらその手の才能があったらしく、より深く、
  時にはセキュリティの向こう側の情報も手に入れることができたんだ。
 そして気がついたんだ、我々が手にしている情報に意図的な操作と誘導、捏造の可能性があることが。
 それからは俺はさらに情報を集めることに取り憑かれた、
 もちろん危ない橋もたくさん渡ったさ、
  それでも俺は幸運にも隠された情報のかけらを手に入れることができたんだ。
 【中央】が俺たちを飼って、俺達の持つ類まれなエネルギー変換システムとしての能力を利用しているってことをな……」

 「類まれなエネルギー変換システム?」

 その言葉に【絶対者】はにやりと口角をあげる。

 「そうさ! 俺達が生まれ持って持っていた能力、
 ”想いをエネルギーにできる力”
 それが奴らに目をつけられたんだ!」

 「想いをエネルギーに……?」

 言葉で聞いてもピンとくるものではない、根性系体育会系の文言みたいに感じる。

 「俺達は、生命活動に必要な栄養を打ち込まれて、【やる気】をだすと、
 入れた物以上のエネルギーを作り出すことができる。
 何かに夢中になったり、困難に立ち向かったり、こ、恋をしたり……」

 顔を赤らめるな気持ち悪い。

 「そ、そういう活動をすると強いエネルギーを発生させることができる。
 理由はわかっていない、魂だの生命の神秘だの、もしかしたら魔法みたいなものかもしれない、
 それを取り出してエネルギーとして利用すると莫大な力を生み出すことができる、
 ただ、そのエネルギーを抜き取られていると、俺達は無気力になる。
 感情も高ぶらず、平坦、ただ生きている。そんな状態になるんだ。
 それではあいつらも困ってしまう。俺達が心を揺さぶられることで力を抜き出しているんだから。
 そこにコレだ。ワールドクリエイター、コイツが生まれた。
 製造者は【中央】と関係なかったからただの偶然なんだろう、
 それでもコレのおかげで無気力だった人々に活気が戻った、
 他人と触れ合わず擬似的に与えられた快楽に溺れているような奴も夢中になって世界を作っていた。
 その結果、膨大なエネルギーを奴らは手に入れることができたんだ。
 こうして俺達はまた安定したエネルギー供給装置として生きていかなければいけなくなったんだ……」







 

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