3人の勇者と俺の物語

穴の空いた靴下

125章 イステポネ北部での戦いその2

 魔法陣が明らかにヤバイ感じでドガガガガガガガと振動している。
 街にも微震が伝わってきている。

 「ちょ、ちょっとヤバイかな?」

 「え、ユウキさん!?」

 「みんな、今から向こうのエネルギー循環させるから準備して、龍脈に流し込んで消費してあっちに送る速度上げる、負担大きいかもしれないけど頑張ろう」

 「やるしかないならやるしかない!」

 「いくよ!!」

 ユウキが何かを操作すると全員に膨大なエネルギーが流れ込む。
 魔力、覇気、龍気、そのすべての根源のような純粋なエネルギー。

 「ぐおおおおお!!」

 過剰に流し込まれるエネルギーは肉体と精神に負荷をかける。
 円環の理によって全員の力は巡っている。
 皆が力を合わせて龍脈にエネルギーを送り込み還元させていく、
 あまりに膨大なエネルギーを処理するのに並列した7人の装置を作っているようなイメージだ。

 「ユウキ! エネルギー消費してっていい!?」

 「もちろん!」

 「わかった!」

 リクは覇気を覚醒させる、リクを包み込むオーラが黄金色に輝いていく。
 それと同時に消費するエネルギー量が増えて少しリクは楽になる。

 「リク、それ教えてくれ、俺もきつい……」

 全員がリクの方を向く。皆きついんだ。

 「え、えっとー。ぐわっと力を身にまとうイメージで発して活力にするイメージ?」

 「わかった」

 クウが同じようにオーラをまとう。

 「な、なんで今の説明でわかるんだよ!?」

 「ブツブツ……闘気じゃなくて魔力にしてまとうイメージ……」

 カイが何かを試すように集中すると白銀のオーラに包まれる。

 「カレンさん魔力に還元して自身の周囲に循環させればいけます!」

 「分かりました!」

 カレンも目を閉じ集中するとすぐに同じように白銀のオーラに包まれる。

 「なるほどねぇ、こんな感じかしら?」

 バッツも黄金色のオーラをまとう。
 いつの間にかちゃっかりユウキも白銀のオーラを手に入れている。

 「み、皆ずるいぞ……」

 ワタルだけ要領がつかめずエネルギーの爆流に飲み込まれてつらそうだ。

 「闘気にしてばーーーっとやるんだよワタル!」

 「魔力にしてごーーーーっまとって下さいワタル様!」

 みなのなんとも抽象的な説明。だんだんめんどくさくなったワタルは魔力も闘気もとりあえず発散させればいいんだと開き直る。

 「ええーーーーい、どーーーにでもなれーーーー」

 魔力と闘気が絡みあい高次元な存在になる。
 ワタルはこれを見たことがあった。
 神気。
 ワタルは図らずも人が手に入れることが出来ない次元の力を手に入れた瞬間であった。
 本人はそのすさまじい偉業に気がつくこともなく、
 少し楽になったなぁ。と思う程度であった。
 他のメンバーもその異常事態に気がつくこともなかった。
 それ以上の異常事態だったせいで……

 「少し、楽にはなったけど。まだエネルギーあるの?」

 「ええっと……安全域で稼働するには今の10倍ぐらいで流したいんだけど……無理だよね?」

 全員が首を横にふる。

 魔法陣の方はやっばそうな振動は止まっていたが未だに微震は続いていた。

 「内部はまだ終らないのか!?」

 「計算上ではすでに発生したエネルギーが収束し始めてもいいはずなんだけどなぁ、
 理論と実践はぜんぜん違うね」

 テヘペロって感じで舌を出すユウキをワタルは可愛いと思ったが、殴りてぇというのが正直な感想だ。

 「お主達は何をやっているんだ!? とんでもないことをしてるのはわかるが、わしは女神の結界をつくってる部下たちのところへ行っていいのか?」

 女神の結界。その言葉でユウキは妙案を思いつく。

 「それです! 今から街の結界にこのエネルギーを注ぎ込みます。
 フィードバックが術者に行かないように気をつけてやるので教皇様は向かって下さい」

 それから女神の腕輪を通して結界へエネルギーを送っていく。
 ユウキの目論見通り結界は見る間に力を取り戻していく。

 「よしよし。これで一気に魔法陣内のエネルギーの処理方法も解決ですね。
 この腕輪は女神の力とリンクしてますから女神様に力を送れますね!」

 それから容赦なくエネルギーを女神に送りつけていくユウキ。

 今回のとんでもないエネルギーは気が付かないうちに女神の盾のメンバーの体の隅々まで、
 精神、魂の隅々までいきわたり、女神の腕輪を通して武具全てに行き渡っていた。
 これがとんでもない効力を発揮していたことに気がつくのは後の戦いにおいてだった。

 魔法陣の振動も収まっていくそれと同時に魔法陣もどんどん中心部へ向かって縮小していく、
 海の部分は綺麗に削られていて周囲から海水が滝のように流れこんでいく。
 そこに魔神の兵士たちの姿は残っていなかった。
 魔法陣が消えると辺りに静寂が訪れる。

 静寂を引き裂いたのは凄まじい電撃だった。

 「させません!」

 カレンとカイは防壁を展開して電撃を弾き飛ばす。

 『あらあら、やってくれるじゃない。流石にこれは遊んでいられないわね……』

 『まったく、まだ人間たちが必死になっているのを眺めていようと思ったのに』

 そこに現れたのは4魔将、艶めかしい女性の姿をした雷撃を放った魔人。
 全身をたくましい筋肉の鎧で包み込まれた格闘家風の魔人がそこに現れたのだ。

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