3人の勇者と俺の物語

穴の空いた靴下

108章 お祭り大作戦

 帝都に訪れた一行は街の雰囲気に驚いた。
 以前でもお祭り騒ぎで陽気だなとおもったが、実際にオークションが開催される日は規模も人出も想像を超えていた。
 中央通りには隙間なく露店が立ち並び、道には人人人。
 すでに馬車などは交通規制が敷かれており帝都内での移動は徒歩によるものに制限されている。
 女神の盾商会の建物地下に移動した一行はその人混みにもみくちゃにされながらも王城へと向かう。
 もちろん女神の盾商会もここぞとばかりに扱う商品のアピールをしている。
 お祭りという浮ついた雰囲気の時、少し気分を、まぁそんな感じにさせる、
 貴族たちが買い求めるような濃厚なやつではなく、
 希釈しジュースっぽく作られた商品が飛ぶように売れると教えられた。
 その話を聞いて女神の盾の女性陣はこのお祭りは戦いの場であることを意識していた。

 ワタルと一緒にこのお祭りを楽しみたい。

 女性陣の戦いの火蓋は今切って落とされた!!

 と言っても別に取り合うわけじゃない。
 オークションは品数の多さから一週間にわたって開催されることになっている。
 各人が一人づつワタルと一日を過ごし、もっともワタルと幸せな時間を過ごすことができたものが正妻の位を手に入れる。ワタルには非公開の女性同士の格付けなのだ。

 皇子と事務的な手続きとお話を終えたワタルは自室でくつろいでいた。
 オークションは今日の夕方から開会式、そして一週間に及ぶ国家の威信をかけた一大イベントになっている。
 経済効果は計り知れず帝国の財務状態を大いに潤すと面会した大臣たちもホクホクしていた。
 その頃女性陣はすでにルールを決めていた。

 ルール1
 これから日替わりで1対1の日々を過ごしていく。

 ルール2
 最終日ワタルにお遊び的な雰囲気でデートの順位付けをしてもらう。

 ルール3
 No1に選ばれた者が正妻の座を手に入れる。

 ルール4
 正妻に選ばれたものは側室を差別したりしない、逆もまた然り。恨みっこなし。真剣勝負!

 くじ引きでデートの順番は決めてある。

 初日はみんなで見学。
 2日目 リク
 3日目 クウ
 4日目 カレン
 5日目 ユウキ
 6日目 カイ
 7日目 ジャッジメント

 そんなわけでみんなでワタルを誘いに来たわけです。
 バッツは昔の知り合いなんかと一週間のんびりさせてもらうわ~と出て行っていっている。
 初日のお祭り巡りもすでに勝負は始まっている。
 ワタルが喜ぶものを的確に観察して戦略をきっちり練ってから試合に挑まないといけない。
 バッツに作ってもらっている洋服から勝負服を選択して念入りに準備をしていく。

 みんなでにこやかに出店などを見て回っているのにワタルは妙な緊張感を覚えていた。
 ニコニコしているみんなの目が笑っていないような気がする。

 「ワタルは食事とかはどういうのが好きなの?」

 「ワタルはどんな服装が好きだったりするの?」

 「ワタルの理想のデートはどんな感じ?」

 「ワタルは明日から毎日一人づつとデートだからよろしくね」

 逆らうことを許されない質問の数々と、決定事項のデート。
 ワタルは背筋に冷たいものが伝わるのを感じながら首を縦に振ることしか出来なかった。

 一通り祭りを見て回ってみんなで食事でもと誘ったのに忙しいからと断られ一人しょんぼりと外食にすることにしたワタル。
 いい匂いを放っている居酒屋の一つにふらっと入ってみるとそこにはバッツがいた。

 「あら? どうしたのーワタルきゅん?」

 「いやー、なんかみんなの様子がおかしくて・・・・・・どうしたんだろ」

 「ああ・・・・・・ふふふ、気にしなくていいわよぉ~。明日からはデートでしょ?
 ちゃんと頑張ってあげてね、あの子たちも楽しみにしてると思うから!」

 「あ、はい。わかりました。ところで他の皆さんはお友達ですか?」

 「ごめんなさいね紹介しなきゃね、昔からの馴染みの冒険者仲間なの。みんなオークションに来てから久しぶりに親交を深めてるの」

 バッツと一緒に飲んでた人たちはなるほど実力者と思わせる冒険者達だった。
 ワタルも直ぐに打ち解けて楽しい夕食を過ごすことが出来た。
 ワタルたちは冒険者の間ではすっかり有名になっており、食卓は話題に事欠くことはなかった。

 「ワタルきゅんはねー、女の子5人も侍らしている極悪人なのよー」

 この一言がなければ本当に楽しい夕食になったことだろう。
 その場にいたのは熟練の冒険者、むっさいおっさん達であった。
 その後は根掘り葉掘り色々なことを聞かれた。
 ワタルは針のむしろであった。
 あまりに埒が明かずにくどくどと言われるので女神の盾商会ご自慢のバイアングの実をプレゼントするとほくほく顔で夜の街へ消えていった。

 「あー、面白かった。こんなに笑ったの久しぶりよぉ~」

 「酷いよバッツ・・・・・・」

 「ごめんねー、申し訳ないからもう一軒付き合いなさいな。おごるわよ。明日も昼過ぎからでしょ?」

 「じゃぁそうしようかな」

 二人で飲むバッツは結構まじめに冒険者の話や女性のことなんかを先輩っぽく教えてくれて、
 ワタルは想像以上にためになる飲み会になったのであった。

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