3人の勇者と俺の物語
83章 in とらぶる
狐族の3人を商会へ連れて行くと拡張した土地の開発をお願いされたり、
車で飛ばせば1日の行程がいつの間にか1週間くらい雑務に追われてしまっていた。
そういう時にはいろいろと重なるもので、女神の盾の一行はさらなるトラブルに巻き込まれていく。
サウソレス大陸ダンジョンの街バルテントスで開発作業中に来客が訪れる。
いかにも急いできたというように息も絶え絶えな女性は冒険者ギルドの職員であった。
「よかった・・・・・・女神の盾のご一行が滞在されているということでどうしてもお願いがありまして、どうか冒険者の探索依頼を受けていただきたいのです!! お願いします!!」
客間に通すなりいきなり前回の土下座だ。美しい土下座だな。
相手の正面に座して両の手のひらを膝の前に揃え額が地面につくほど下げる。
それだけの行動だが、淀みなく所作の一つ一つに品さえ感じさせる。
「・・・・・・はっ!? や、やめてください。なんにせよ冒険者探索なら行きますから!
そこまでしていただかなくても!」
あまりに見事な土下座に見惚れてしまったワタルであった。この職員さんはやるな。
「それで、詳しいお話を」
カレンが助け舟を出してくれる、こういうところは先輩冒険者として頼れる。
バッツもすでに探索準備を始めている。頼れる兄貴!
「実はこの街からそう遠くないところに新規ダンジョンが生まれまして、
ちょうどその報告をギルドでしている時にルーキーがその話を聞いてしまっていて・・・・・・」
「まさか、失踪者はルーキーのパーティなんですか!?」
ルーキー、文字通り冒険者になりたてのパーティだ。
基本的にダンジョン探索はC以上のパーティか、B級以上の冒険者がいるパーティに限られる。
ルーキーはFランクだ本来ならダンジョンへは入る許可が降りない。
「完全に言い訳になってしまいますが、新発見のダンジョンでギルド職員が調査のために到着した時にはすでにそのパーティが侵入した後でして、しかも、そのパーティに貴族のバ、貴族のご子息がいらしまして、何としてでも救い出さないといけないのです!!」
今、バって言ったよね、バカ息子って言おうとしたよね?
「日にちはどれくらい経っているんですか?」
「今日で3日目です。ただ、そのパーティの準備は大変、その、適当でして、3日ダンジョン内で過ごすことは想定していないとのことで、さらに、ダンジョンも新規にしては珍しく中規模レベルの大きさなようでB~Aランクのパーティでないと探索任務に派遣できないのです、今ギルドで確認している高ランクパーティはみな大迷宮に篭っていて、その時に丁度皆様がお戻りになっていると聞いて大急ぎでお願いに上がったのです!」
顔真っ赤にしながら熱弁を振るう職員さん。
「そしたらすぐにでも向かいましょう、ダンジョンの場所を教えて下さい」
「あ、ありがとうございます!!」
それからダンジョンの場所を教えてもらい直ぐに出立する。
街から車でなら30分ってとこだ。
準備もほとんど追加もなく完了した。全速で車を走らせる。
砂漠は走りにくいので今後も使うだろうって道路まで作りながら走る。
目の前で砂漠に道が浮き上がってその上を爆走する。
魔法って改めて凄いものだ。
「前方に人の気配、たぶんダンジョンだと思う」
ダンジョンにはギルドの職員と思われる人が数名調査兼警備をしていた。
砂漠のど真ん中で周囲に遮蔽物もない、すでに少し辛そうだ。
ワタルは到着すると直ぐに魔法で休憩所のような物を作り上げて、
環境魔法を込めた魔道具を設置する。
ギルド職員はあまりの早業に顎がはずれるほど驚いていた、
内部に入るとさらに驚いている。
「ちょっと簡単に囲いを作っただけなので、この中の物使っていいんで待っていてください」
ワタルはキャンピングカーを提供する、そしてそのままダンジョンへ突入していく。
「カレンと俺で精霊を先行させて内部を探ろう」
「わかりました」
探知魔法が効かないダンジョンでは精霊魔法が一番有効な手段となる。
風と水の精霊を数体顕現させダンジョン内へ放つ。
「よし、俺達も進もう」
ダンジョン内は外よりもかなり涼しい、新しいダンジョンでも岩肌にはところどころ草花も見かける。
これらの説明にはいろいろと説があるが、ダンジョン自体も生きていてダンジョンクリエイター的な物が存在するのではないかってのが主流の説になっている。
「結構広いね、分岐も多いし、これは大変そうだね」
リクの言うとおりこのダンジョンは思ったより大きく複雑な作りになっている。
冒険者経験のない人間が入ったらどういう動きをするのかわからない、
サンドアントや砂トカゲ、魔物自体は大したレベルでもないが、いかんせんルーキーだからな……
「ワタル様、精霊が何か見つけたみたいです! こっちです!」
カレンは素早く道を進んでいく、魔物を蹴散らしながら出来る限り急いで進んでいく。
精霊が見つけたのは食事の後だった、すでに冷えてしまっていたがどうやら火を起こしてキャンプしているようだ。荒らされた跡もないので6人分の椅子代わりに並べられた石がここまでの無事の証拠となった。
「よし、こっちを重点的に進んでいこう」
一度精霊達を戻し、再びこの地点から探索をお願いする。
「少しめどが付いたからスピード上げていこう」
敵は問題にならないから探索速度を上げていく、なおマッピングはバッツがしっかりとやってくれている。かわいいイラスト満載な地図を作ってくれるが、精度は抜群だ。
「お、今度は俺の精霊がなにか見つけた」
ワタルの精霊が示す方へ向かう一行、そこは戦いの後だった。敵の姿はすでに無かったが
たぶんパーティの荷物の一部が散乱していた。少量ではあるが血痕もあった。
「血痕があるな、よし犬型精霊で追尾しよう」
正確にはシャドウウルフという狼だが匂いを追尾したりするのには大変優れている。
戦闘力もあるので一気に先行させ皆でダッシュでその方向へ進んでいく。
クウはほとんどウルフと同じ速度で進んでいく、壁を走ったりしてるぞ流石忍者!!
ワタルもそれに続く。
地面の血痕はダンジョンに吸収されてしまうが匂いの一部はのこる、シャドウウルフはそれを正確にトレースしてぐんぐん進んでいく。
遠くから水の音が聞こえてくる、ダンジョン内に水場があることは珍しくない。
どうやら水場に向かって進んでいるようだ、結構な距離を移動してくると今までに比べると広めの空間に出た、一部に池があり少し高い位置から水が小さな滝のような形で池に流れ込んでいる。
「ワタ兄あそこ人影!」
その池の畔に人影が見える、クウの叫び声に反応してムクリと起き上がる、生きている!
「大丈夫か!?」
人数は4人、女の子3人に男の子が1人だ。男の子が足に怪我をしている。
「ま、マークとパルが魔物を連れて奥へ! お願い助けてください!」
自分たちもボロボロでありながらも仲間の心配をする4人。
すぐに合流したカイに怪我の治療などの処置をお願いしてその先へ急行する。
ウルフが追っていた匂いはさっきの子の足の怪我ではないようで迷いなくどんどん進んでいく。
そして魔物と対峙している二人組を発見する。
そのままウルフが魔物に襲いかかる、魔物は犬の姿をした二足歩行の魔物、コボルトだ。
窪地のような場所で壁を背にして応戦していた2人組は、突然のウルフの乱入に驚いている、
酷い怪我だな、一人の男の子は腕がおかしな方を向いている。
その子に肩をかしている子も太ももから出血している。
頭からもすでに乾いているが出血があったようだ。二人共満身創痍だった。
「よく頑張ったな!!」
ワタルが駆けつけ声をかけると二人は一瞬安堵の表情を浮かべ、
緊張の糸が切れたのかその場に崩れ落ちてしまうのだった。
「リク・クウ! 俺がこの子たちの治療・・・・・・」
リクとクウに声をかけようとするとすでにコボルト達は全滅していた、ちょっと眼を話した間に終わっていた。
ワタルは二人の少年の怪我の治療を開始する。致命的な怪我はないので治療はすぐに終わる。
ワタルが二人を担ぎ上げて皆のいる場所まで戻ることにする。
これで探索依頼のあった6人は無事にワタルたちと合流を果たすのであった。
車で飛ばせば1日の行程がいつの間にか1週間くらい雑務に追われてしまっていた。
そういう時にはいろいろと重なるもので、女神の盾の一行はさらなるトラブルに巻き込まれていく。
サウソレス大陸ダンジョンの街バルテントスで開発作業中に来客が訪れる。
いかにも急いできたというように息も絶え絶えな女性は冒険者ギルドの職員であった。
「よかった・・・・・・女神の盾のご一行が滞在されているということでどうしてもお願いがありまして、どうか冒険者の探索依頼を受けていただきたいのです!! お願いします!!」
客間に通すなりいきなり前回の土下座だ。美しい土下座だな。
相手の正面に座して両の手のひらを膝の前に揃え額が地面につくほど下げる。
それだけの行動だが、淀みなく所作の一つ一つに品さえ感じさせる。
「・・・・・・はっ!? や、やめてください。なんにせよ冒険者探索なら行きますから!
そこまでしていただかなくても!」
あまりに見事な土下座に見惚れてしまったワタルであった。この職員さんはやるな。
「それで、詳しいお話を」
カレンが助け舟を出してくれる、こういうところは先輩冒険者として頼れる。
バッツもすでに探索準備を始めている。頼れる兄貴!
「実はこの街からそう遠くないところに新規ダンジョンが生まれまして、
ちょうどその報告をギルドでしている時にルーキーがその話を聞いてしまっていて・・・・・・」
「まさか、失踪者はルーキーのパーティなんですか!?」
ルーキー、文字通り冒険者になりたてのパーティだ。
基本的にダンジョン探索はC以上のパーティか、B級以上の冒険者がいるパーティに限られる。
ルーキーはFランクだ本来ならダンジョンへは入る許可が降りない。
「完全に言い訳になってしまいますが、新発見のダンジョンでギルド職員が調査のために到着した時にはすでにそのパーティが侵入した後でして、しかも、そのパーティに貴族のバ、貴族のご子息がいらしまして、何としてでも救い出さないといけないのです!!」
今、バって言ったよね、バカ息子って言おうとしたよね?
「日にちはどれくらい経っているんですか?」
「今日で3日目です。ただ、そのパーティの準備は大変、その、適当でして、3日ダンジョン内で過ごすことは想定していないとのことで、さらに、ダンジョンも新規にしては珍しく中規模レベルの大きさなようでB~Aランクのパーティでないと探索任務に派遣できないのです、今ギルドで確認している高ランクパーティはみな大迷宮に篭っていて、その時に丁度皆様がお戻りになっていると聞いて大急ぎでお願いに上がったのです!」
顔真っ赤にしながら熱弁を振るう職員さん。
「そしたらすぐにでも向かいましょう、ダンジョンの場所を教えて下さい」
「あ、ありがとうございます!!」
それからダンジョンの場所を教えてもらい直ぐに出立する。
街から車でなら30分ってとこだ。
準備もほとんど追加もなく完了した。全速で車を走らせる。
砂漠は走りにくいので今後も使うだろうって道路まで作りながら走る。
目の前で砂漠に道が浮き上がってその上を爆走する。
魔法って改めて凄いものだ。
「前方に人の気配、たぶんダンジョンだと思う」
ダンジョンにはギルドの職員と思われる人が数名調査兼警備をしていた。
砂漠のど真ん中で周囲に遮蔽物もない、すでに少し辛そうだ。
ワタルは到着すると直ぐに魔法で休憩所のような物を作り上げて、
環境魔法を込めた魔道具を設置する。
ギルド職員はあまりの早業に顎がはずれるほど驚いていた、
内部に入るとさらに驚いている。
「ちょっと簡単に囲いを作っただけなので、この中の物使っていいんで待っていてください」
ワタルはキャンピングカーを提供する、そしてそのままダンジョンへ突入していく。
「カレンと俺で精霊を先行させて内部を探ろう」
「わかりました」
探知魔法が効かないダンジョンでは精霊魔法が一番有効な手段となる。
風と水の精霊を数体顕現させダンジョン内へ放つ。
「よし、俺達も進もう」
ダンジョン内は外よりもかなり涼しい、新しいダンジョンでも岩肌にはところどころ草花も見かける。
これらの説明にはいろいろと説があるが、ダンジョン自体も生きていてダンジョンクリエイター的な物が存在するのではないかってのが主流の説になっている。
「結構広いね、分岐も多いし、これは大変そうだね」
リクの言うとおりこのダンジョンは思ったより大きく複雑な作りになっている。
冒険者経験のない人間が入ったらどういう動きをするのかわからない、
サンドアントや砂トカゲ、魔物自体は大したレベルでもないが、いかんせんルーキーだからな……
「ワタル様、精霊が何か見つけたみたいです! こっちです!」
カレンは素早く道を進んでいく、魔物を蹴散らしながら出来る限り急いで進んでいく。
精霊が見つけたのは食事の後だった、すでに冷えてしまっていたがどうやら火を起こしてキャンプしているようだ。荒らされた跡もないので6人分の椅子代わりに並べられた石がここまでの無事の証拠となった。
「よし、こっちを重点的に進んでいこう」
一度精霊達を戻し、再びこの地点から探索をお願いする。
「少しめどが付いたからスピード上げていこう」
敵は問題にならないから探索速度を上げていく、なおマッピングはバッツがしっかりとやってくれている。かわいいイラスト満載な地図を作ってくれるが、精度は抜群だ。
「お、今度は俺の精霊がなにか見つけた」
ワタルの精霊が示す方へ向かう一行、そこは戦いの後だった。敵の姿はすでに無かったが
たぶんパーティの荷物の一部が散乱していた。少量ではあるが血痕もあった。
「血痕があるな、よし犬型精霊で追尾しよう」
正確にはシャドウウルフという狼だが匂いを追尾したりするのには大変優れている。
戦闘力もあるので一気に先行させ皆でダッシュでその方向へ進んでいく。
クウはほとんどウルフと同じ速度で進んでいく、壁を走ったりしてるぞ流石忍者!!
ワタルもそれに続く。
地面の血痕はダンジョンに吸収されてしまうが匂いの一部はのこる、シャドウウルフはそれを正確にトレースしてぐんぐん進んでいく。
遠くから水の音が聞こえてくる、ダンジョン内に水場があることは珍しくない。
どうやら水場に向かって進んでいるようだ、結構な距離を移動してくると今までに比べると広めの空間に出た、一部に池があり少し高い位置から水が小さな滝のような形で池に流れ込んでいる。
「ワタ兄あそこ人影!」
その池の畔に人影が見える、クウの叫び声に反応してムクリと起き上がる、生きている!
「大丈夫か!?」
人数は4人、女の子3人に男の子が1人だ。男の子が足に怪我をしている。
「ま、マークとパルが魔物を連れて奥へ! お願い助けてください!」
自分たちもボロボロでありながらも仲間の心配をする4人。
すぐに合流したカイに怪我の治療などの処置をお願いしてその先へ急行する。
ウルフが追っていた匂いはさっきの子の足の怪我ではないようで迷いなくどんどん進んでいく。
そして魔物と対峙している二人組を発見する。
そのままウルフが魔物に襲いかかる、魔物は犬の姿をした二足歩行の魔物、コボルトだ。
窪地のような場所で壁を背にして応戦していた2人組は、突然のウルフの乱入に驚いている、
酷い怪我だな、一人の男の子は腕がおかしな方を向いている。
その子に肩をかしている子も太ももから出血している。
頭からもすでに乾いているが出血があったようだ。二人共満身創痍だった。
「よく頑張ったな!!」
ワタルが駆けつけ声をかけると二人は一瞬安堵の表情を浮かべ、
緊張の糸が切れたのかその場に崩れ落ちてしまうのだった。
「リク・クウ! 俺がこの子たちの治療・・・・・・」
リクとクウに声をかけようとするとすでにコボルト達は全滅していた、ちょっと眼を話した間に終わっていた。
ワタルは二人の少年の怪我の治療を開始する。致命的な怪我はないので治療はすぐに終わる。
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