3人の勇者と俺の物語

穴の空いた靴下

64章 精○と時の部屋

 スザクが魔法陣を起動させると同時に6人は気を失った。

 目を覚ますとだだっ広い部屋にいた。

 「ここは……?」

 「ねぇ、ワタル。ここってあの部屋っぽくない?」

 「まさかそんなわけ無いですよねワタルさん……」

 「ウゴクヤツハスベテコロス」

 状況を把握しようと必死になっている一同の目の前の地面が盛り上がる、
 そして人型を形成していく、

 「させるかー!!」

 カイが発狂したようにその盛り上がりに魔法を放つ!

 「消え失せろ!! エクスプロージョンフレア!」

 「ちょ! カイ! 熱管理!! エアーロック!」

 カイが放つ魔法の危険性に気がついたワタルが直ぐに爆風、炎熱対策をする。

 「多層防壁マルチプルエンチャント、ムーブアクセレーション、パワーアクセレーション、
 アンチマジックシェル、リジェネレーション……」

 淡々とバフをかけていくカレン。前回の試練トラウマはよっぽど彼らの心に傷を残したようだ。

 【落ち着いてください、なんて恐ろしいことをしてくるんですかあなた達は】

 スザクの声だった。カイの放った魔法は吸い込まれるように消えていった。
 盛り上がりは人の形を取り、最終的には6体の人形になった。

 【この人形と向きあわせに立ってください、攻撃はしてきませんから!
 いきなり都市破壊魔法なんてぶっ放さないでください!】

 「説明をしないそっちがわるい!」

 リクが怒る。

 【ほ、ほんとにゲンブは何をしたの!?】

 「この世の地獄を見た」

 【……と、取り敢えず。この人形を利用して自分の中の器を広げていきます。
 並びましたね。それでは始めます】

 ワタルたちと人形の間に光のパイプのようなものが浮かび上がる。

 【少しづつ龍脈の力を流し込みます。力の流れを感じ、自分の中の龍脈の循環に取り込むように、
 受け入れていってください。ワタルさんの盾への流入は私がコントロールします】

 人形から大きな力の波動が流れ込む。
 前回取り込んだ龍脈の流れをイメージするとわたあめが巻き取られるように、
 絡みつき力を吸い込んでいく。

 【力を少しづつ全身を巡らせてください、体勢は自由でいいです、全身隅々まで行き渡るイメージで】

 全身にめぐらされた力がどんどんと加速しながら回っていく、
 丹田を中心に全身を龍脈が巡らされていく。

 【その力を女神の腕輪にも流しこむイメージをしてください】

 腕輪も体の一部のように力を巡らせる、ぐんぐんとエネルギーを吸い込んでいく。
 6人は瞑想中でわかっていないが、女神の腕輪は光り輝きながら拡大している。
 全身を包む衣となり、鎧となっていく。
 わかりやすく言うと聖闘士☆矢の聖衣だ。

 リクの聖衣見事な朱、クウは蒼、リクは翠、カイリは紫、バッツは黄、ワタルは銀。
 身体にめぐらした龍脈の力と絡み合いその聖衣は完成する。
 成長する鎧、とんでもないエネルギーを内包するために破損も自然に回復する、
 強力な対魔抵抗力を持ち装備者を護る。
 戦闘以外は腕輪の形で収納もできる。
 変身!! とか言って装着すれば君もヒーローだ!!

 【あ!】

 「あ?」

 【龍脈を流し込んでいるのがバレた模様です。まだ3分の1しか終わってないのに……】

 「もう魔神の使徒は来てるんですか?」

 【今大きな反応が山頂へ近づいています】

 「時間稼ぎは出来る!?」

 【火口からここまでに隔壁を展開すれば、ただそれでも半分までしか……】

 「他に選択肢はないなら、それで行こう、残りの半分はどうする?」

 【世界全体に逃します、龍脈溜まりは各大陸にありますが龍脈の流れは世界中に繋がっています】

 「それしか無いなら、それでいこう、少しでも力を手に入れて俺たちは敵を倒すぞ集中だ!!」

 「「「「「はい!」」」」」

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 火口に近づく影の正体はドラゴンに寄生した【黒】だった。
 いくら【黒】が寄生したとはいえ、龍脈の力を得たワタル達ならばまず問題のない敵のはずだった。

 火口を前にした【黒】ドラゴンは、ダンジョン内で寄生を果たし、
 血肉を得た【黒】達を喰らった。魔神の繋がりを通して全てのエネルギーを喰らったのだ。
 巨大なドラゴンの身体はエネルギーを受けて巨大化していく、
 しかし、腫れ上がったドラゴンの姿がどんどん小さくなっていく、
 エネルギーの濃縮であった。
 魔神のかけらは学習していた、大きいだけの力だけの身体ではヤツラに勝てない。
 力は濃縮し、その力を最も効率よく扱える姿、
 圧倒的力に対して抵抗するヤツラに似せた姿を形作る。
 強靭なドラゴンの体をベースに人型に近い姿。
 竜人ドラゴミュート。【黒】の戦士の誕生であった。

 『ぐ、グガァ。ぐふ、ふふ、フアッハッハ! 力漲るぞ!!
 この身体、クックック、とうとう奴ら、邪魔な虫けらをこの手で滅茶苦茶にしてやる日が来た』

 その戦士は火口に立つと穴を見下ろした。
 無限に続くような穴に躊躇せず飛び降りる。

 『フン、下らぬ。小細工をしよって』

 目の前に強力な結界を認識する。

 『ぬぐ!』

 力を込めると背中から翼が生える、サラマンダーのような翼膜式の羽だ。
 空中に停止すると両手を前方で組む。

 『消し飛べ、ドラゴ咆哮ノヴァ!!』

 大地が激しく揺れるほどの衝撃が結界とその手から放たれた光の光弾との間に起きる、
 そして結界は光を失い破壊される。
 光弾はそのまま次々と結界を食いちぎっていく。
 そして魔人は降りていく、龍脈を目指して。

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 【馬鹿な!? 殆どの隔壁が破られた。 早い! 
 このままここで戦われたら神山や周囲の都市まで影響が……
 仕方ないです、逃がすエネルギーを隔離空間の形成に使用します! そこで戦ってください!】

 「わかった、ギリギリまで粘って戦いに挑もう!!」

 全員覚悟は決まっている、過去最大の敵との戦いが目前に迫っていた。





 

 

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