3人の勇者と俺の物語

穴の空いた靴下

55章 世界の秘密

 大聖堂につくと真っ白な聖騎士の鎧に黄金のラインの入った鎧を来た人間に迎えられた。

 「近衛聖騎士長をしているニルスと申します。
 教皇様がお待ちですどうぞこちらへ」

 この人もかなりやるね、所作に隙がない。
 そのまま応接室には通されずに直接この間とは別の部屋に通される。
 壁に数個の照明と両側に本棚、テーブルも椅子もない。
 なんだか殺風景な部屋だ。

 「少し揺れますがご安心ください」

 ニルスさんが壁面に本棚の本を数冊取り出すと部屋全体がガクンと揺れた。
 下がってるのかな? 探知魔法を妨害されているっぽい気配がする。
 しばらくズズズズッっと動いてもう一度ガクンと揺れる。
 本を戻すと正面の白い壁がゴゴゴゴゴと持ち上がって扉が現れた。

 「すごーい」

 リクは素直で可愛いな。

 「どうぞこちらへ」

 ニルスさんの後について外に出ると奥の院の廊下よりも少しきらびやかな通路だ。
 しばらく歩くと正面に少し大きな扉が見える。
 ニルスさんがさっと通路の脇に移動して礼をすると扉が開く。

 「女神の寝屋ネヤにようこそ、女神の盾の皆様」

 中央に水がはられた不思議な円卓の向こうから教皇様はそう挨拶を告げた。
 部屋にはいると左右に水のカーテン、その向こう側に照明があるため、
 幻想的な空間になっている。
 水が落ちた先は人工の池になっており可愛らしい花がところどころに咲いている。
 円卓には4人が座っている。

 ウェステイア第一王子ジークフリード=フォン=ウェスティア、
 イステポネ教皇ヴェルス=ケイオン=イステポネ、
 サウソレスの王ゲバルト=カイゼル=サウソレス、
 最後がノーザンラクトの女王、シャイア=ヴェイン=ノーザンラクト。

 4大陸の支配者が待っていた。
 代表で教皇様が口を開く、

 「女神の選んだ勇者 ワタル イチノセ君、そして聖剣の力を得た仲間、
 リク君、カイ君、クウ君、それにS級冒険者聖弓のカレン=グリーンフィル君、
 元・魔剣の主バッツ=ドラギオン君どうぞ座ってくれたまえ」

 ゲバルト王が続ける。

 「君たちのことは女神の神託である程度は知っている。
 こちらの知ることも教えていきたい、少し長くなるから楽にして欲しい」

 俺たちは用意されたテーブルへ着く。

 「まずは紹介からかな、ワシが四国フィーア会議トレッツェンの長をやっておる、
 ヴェルスじゃ。教皇としてお目にかかったな。」

 「余は知っておるな、ってめんどくせぇ、俺がゲバルトだ」

 キャラ変わりすぎだ。

 「あたしはノーザンラクトで女王やってるシャイア=ヴェイン=ノーザンラクト。シャイアでいいわ」

 鼻の下伸ばしてたらリクに足を踏まれた。砕けるかと思った。

 「最後は俺様か、ウェステイア帝国皇帝代理人ジークフリード=フォン=ウェスティアだ、
 ジークでいいぞ」

 はーこの人イケメンだなぁ、白髪でヨーロッパっぽい彫りの深い顔が映える。
 なんかじーっと見てたら

 「な、なんだ……俺様の顔になにか付いてるか?」

 ってオドオドしだした。

 「あーら、ジークはかっこいいから見とれてるのよー」

 貴方の谷間に見とれていいで、いっってーー!! 反対の足もクウに踏み抜かれた。
 カイがゆっくりと回復する魔法かけてくれた、ズキズキがほんの少しづつ回復してく……グスン。

 「ば、馬鹿者! そ、そのような世辞はい、いらぬ!」

 顔真っ赤だ。戦闘中はすさまじい速さで方天戟振るって戦っていた戦士が、
 今はてれってれじゃないですか。
 バッツがジュルリって舌なめずりしている。
 ただバッツの話だとウェスティアの虎と恐れられる戦士らしい。
 まー、バッツはそのギャップに今大層萌えているんだろう。

 「シャイア、あまりジークをいじめるなピュアな坊主なんだから」

 「お、俺様はぴゅ、ピュアとかそういんじゃないぞ!」

 「話が進まん、水に流せ」

 「う、うむ……」

 ジークさん絶対いい人だね。バッツが鼻血流してる。

 「話が逸れたが、我ら4人はこの世界バスタールの4大陸を治めている立場の者の集まりじゃ。
 女神ヴェルダンディ様のお言葉を聴き4大陸の進む道を話し合う会議じゃ」

 「こんな会議が行われているなんて聞いたこともなかったです」

 「そうだな、いくらS級冒険者でもこのことを知るものいないだろう、
 それぞれの腹心ぐらいだな知ってても。うちだとギルド長のカシューぐらいだ」

 「それぞれの国に何千年と受け継がれてきている魔法陣でここに集合する、
 時には冒険者としてあたしたちが事にあたることもあるのよ」

 「灰燼の進撃……」

 「不本意な名前だが、俺様たちはどうにもやり過ぎてしまうらしく……」

 「みんな中途半端なことが嫌いだからな、俺も手加減なんてめんどくせぇ」

 「また話がそれてるぞ、まぁ、そういうわけで結構重要な会議なのじゃ」

 重要どころじゃないね、この世界を決める会議に今参加しているってことだ。

 「私たちのことは女神様から聴いたということですか?」

 「そうじゃ、異世界から来た魔神バルビタール。捕われし聖女セイ。
 そして異世界から呼ばれし勇者ワタル殿、聖剣に導かれし仲間たち。
 そしてバルビタールが龍脈を狙っていること、そして魔神の力は圧倒的であること。
 それらは神託で授かっておる」

 「ほんと、今日戦ってわかったわ、たぶん今の冒険者達じゃ犠牲が増えるだけね」

 「国としても手出しを禁じたほうがいい、ボ、俺様を含め皆通知を徹底しよう」

 「しかし、お前らつえーな。本気でやっても一人か二人が限界だな」

 「ワシは無理じゃな、お主ら魔導の真髄を覗いておる。魔法使いには倒せん」

 「みなさんなら黒い奴らでも倒せると思いますよ、俺、私たちは6人居ますから」

 「あいつの攻撃が危険なんだ、俺様たちでも掠れば治せない傷を負うなんて、
 とてもじゃないが相手はできない」

 「そうね、今回は敵を知るために出向いたけど、もうごめんだわ」

 困ったように腕を組む、なんということでしょうただそれだけの行動でこの破壊力グボァ
 リク、脇パンチは止めなさい、脇パンチは、たぶん肋骨数本行ったから……
 命にかかわるので自分で治す。

 「これから儂らは黒い奴らに手出しすることを禁ずる。
 しかしこのままではいずれ世界の流通が停まる。
 その前に何としても龍脈の力を守ってほしい」

 「俺の国は仕方ねぇが、あの塔でバンバン冒険者を強くするしかない、
 義務化を今検討している」

 「とにかくあなた達はこの国の大ダンジョン攻略をお願いするわ」

 頭を下げると、机の上にすごく柔らかそうな、でも、流石に目をそらすよ。
 次は死ぬ。

 「俺様も大事な国民を危険に晒すわけにはいかない、国に来た時は強力を約束する。
 僕に任せてくれ! ……オレサマ」

 小さな声で言い直した瞬間バッツが大量に鼻血を吹き出した。
 うん、確かに今のはキュンと来た。

 「あと、すまぬが聖騎士には気をつけてくれ、身内の恥じゃが。
 狂信的な一部に、女神に選ばれた勇者に嫉妬のような感情を持っている奴らがいる。
 手は出させないように手を回しておるが気をつけてくれ」

 不吉なアドバイスももらって解散となった。
 世界の秘密を知ってしまった。
 みんな別に~って感じだけど、俺は小市民なので一人でしばらくワタワタしてしまった。

 本格的なダンジョン攻略にむけて、ちゃくちゃくと準備をする俺達のもとに、
 奨励目的で聖騎士からパーティの誘いが届いたのは3日後だった。



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