3人の勇者と俺の物語

穴の空いた靴下

33章 商売

 「おはようございますトオル様」

 「おはよー、朝早くから精が出るね」

 「今のところはこの畑を立派にすることが一番の仕事ですからね」

 なんか突っ走ってこんなにたくさんの奴隷を買ってしまったけど、
 獣人さん達の癒やしは何物にも変えられないなぁ、朝からニヤニヤしてしまう。
 狼族のラルフさんは程よく鍛え上げられた肉体と、フサフサの毛並み。
 ピンとたった耳。シュッとしたマズル。かっこいいなぁ。
 でも僕を見つけてブンブンと振る尻尾が最高にかわいい。
 手は肉球もあるけど人の手と同じようになっていて細かな作業も何のその。
 気合を入れると人に近い姿にもなれる。耳はそのままなんだけどね。
 ニーサさんも女性らしい体型だけどモフモフ。
 狼族は身体能力に優れており戦士系の冒険者も多くいる。
 奴隷のみんなは口減らしとか、騙されてとかいろんな理由で奴隷になってしまったんだろう、
 あまりそういう話は向こうから話したくなったら聞くけど、こっちからは聞かないようにする。
 僕は、まぁ動物好きなんだよねー。
 わんこもにゃんこも大好物。
 みんな僕を見て尻尾ブンブンしてくれて、顔がにやけてしまう。
 犬族のリザさんは白い毛並みの所々に大きめな黒いブチが入っている。
 ポインターっぽい。一部は凄いけど鍛えられた肉体をしている。一部がすんごいけど。
 ロポムくんも健気に籠をもってお手伝いしている。
 ゴールデンレトリーバーみたいな茶色の長毛。
 さいっこうに可愛いぜ!! ちょうかわいい!! 持って帰りたい!!
 怪しい目で見てたらリクにジト目で見られた。

 猫族のシーラさんは黒猫さんだ。ケイナちゃんはキジトラ、ノーラちゃんは三毛。
 音もなく歩くので突然声をかけられてびっくりしたりする。
 猫族は機敏な行動には定評がある。
 獣人は気合を入れると毛とか押さえて人っぽくもなれるんだけど、
 疲れるからめったにやらないそうだ。
 奴隷の場合、まぁそのお相手をする時とかに使ったり使わなかったりするそうだ。

 まとめ役はエルフのお二人にお任せした。
 ケイナスさんとディードさんケイナスさんは身体を洗うとおどろくほど美しい金髪と白い肌。
 美しい青い目とスラっとした長身と、とんでもない美系だった。
 同じ金髪白肌青い目のディードさんと並ぶとため息が出る。ディードさんも170cmくらいある。
 カレンさんの話では二人共魔法適正が低くて、まぁ、奴隷に堕ちたらしい。

 ドワーフの二人には布から洋服とか作ってもらったり、畑用の道具を作ってもらったりしてます。
 ドワーフは手先が器用。これは鉄板。バレッタさんは背が低いけどムッチムチのボイン(死語)、
 ギムさんは筋肉ダルマ、ヒゲ。もうこれで分かるよね。

 人間の方々はいろいろとお願いしてます。
 ミーシャさんが文字の読み書き計算が出来るので子供達の先生になってもらってます。
 実はもともと商売を手伝っていたので、バイアングの実の取引を一手に担ってもらうことになるのは少し先の話。そばかすが可愛い感じの女性。ニカって笑うのが結構好みだったりね。
 ナッツさんはグラマラスな女性。綺麗なオネェさんッて感じだけど、僕と同じくロポム君にぞっこんです。あの魅力には勝てない。
 マリーンさんは青い髪。実際に見ると凄いね。カイはもっと深い色だけど。青。
 サラさんはスリムなモデル体型。顔も薄い系美人って感じで、和服が似合いそう。
 髪は黒に近いブラウン。後ろで束ねているだけなのに、なんか似合っている。
 コハルちゃんは薄っすらとピンクにも見えるシルバーっぽい髪色。この世界でも珍しいんだけど。
 カイに聞いたんだけど、髪の色のせいで奴隷に売られちゃったらしい。
 ステファンちゃんとローザちゃんは姉妹。二人共金髪。久しぶりのシャワーやまともな食事睡眠を取ってママーって泣いてた時とは打って変わって元気に走り回っている。

 この大所帯を支えるためにも早いとこ安定した収入を得ないといけない。
 僕はカレンさんとカイとミーシャさんと一緒に商人ギルドへ来ている。
 物を作りうるためには商人ギルドで商人の証を持っていないと税制上損をする。
 少ない取引なら冒険者でもいいんだけど、結構な量になると持っていて損はない。
 扱う商品としてバイアングの実を提示する。僕特性だ。
 サラスの街からこの街に来るまでは僕らの独占となる。
 取り敢えず数粒サンプルとしておいていく。
 これで効果がわかってもらえればその価値もわかるだろう。
 ギルド証は手続きだけなのですぐに発行された。カレンさんのネームバリューも大きい。
 信頼度が違うよねS級冒険者のパーティーメンバーというやつは。

 【女神の盾商会】

 ひねりはないけどこれが僕の屋号だ。
 ついでに建築系の商会を紹介してもらう。商会を紹介……
 カレンさんには商人ギルドの人から連絡が来たらすぐ連絡が取れるように家で待機してもらう。
 今はお金がないけど、この世界の建築は素材の準備なども含めるとかなり時間がかかる。
 魔法を使うと早いんだけど、家一軒を建てるほどの魔力持ちなんてまずいない。カイは特殊中の特殊だ。

 何件か見て回った結果、結構大きな建築になるのでそれなりの大構の商会にすることにした。
 しかし、これがダメだった。対応が横柄というか、うちで建てる金があるのー? 的な。
 カレンさんを返したことでここまで舐められるんだな、カレンさんの偉大さを再確認。
 もう一軒気になっていた商会があった。
 やっぱり建築系の商会なら門構えとか内装とかセンスが合いそうな雰囲気って大事だよね。

 カラーン

 扉を入ると木の優しい音が響く。扉を見ると可愛い子猫が木の棒を加えていて揺れると周りのリングと当たって音が出るようだ。可愛くていいね。室内を見ると温かい木をふんだんに使って、
 目立たないんだけど落ち着いた雰囲気で統一されている。ぬくもりがあるって言うのかな?
 所々に肉球の細工が会ったり細かい可愛さがいい。さりげないこだわり。
 改めてよく見ると、この商会期待できそう。名前もハッピーテイルと可愛らしい。
 さっきの商会とか成金趣味のゴテゴテの内装で胸焼けしそうになったからね。
 しばらくすると奥からお店の人が出てきた。
 絶句した。出てきたのは筋骨隆々の2mはあろうかという、口ひげの立派なおっさんだった。

 「おう、何だ坊主? 何か用か?」

 ドスの効いた低い声。正直怖いです。

 「あ、えーっと実はこの度家を建てたくてその御相談に来ました」

 「あん? とーちゃんかかーちゃんは居ねぇのか?」

 じろりと全身を見られる。怖い。

 「あ、えっと僕の住む家を建ててもらおうかと……」

 「坊主の? 金はあんのか? 土地は?」

 「あ、えーっと金のあてはあります。あと土地は南西地区の……」

 「な、なんで坊主がこの土地を持ってるんだ?」

 あれ? なんか反応が変わった?
 僕は軽くその土地を手に入れた経緯を話した。流れでたくさんの奴隷を買ってしまった話も。

 「にわかには信じられねぇな、だがもし本当なら……よし! 坊主。今からその場所を見に行くぞ!」

 「あ、ハイ。是非!」

 よかった、門前払いは避けられた。
 西地区にあるハッピーテールから南西地区の場所まではすぐだ。


 「な、なんだここは?」

 庭を走り回る子供達、異質にそびえるアパート、奥には農地にキャンプ場。
 少し離れてみると、何だここ? って僕でも思う。

 「ほんとにここなんだな……」

 「そういえばさっきも住所を聞いて驚いていたんですが、何かあるんですかここ?」

 「ん……ちょっと、な。まぁいい。よし! 受けてやるよこの話。詳しい話聞かせてくれ
 俺はダーグだ!」

 「ありがとうございます! 僕はワタル、イチノセ ワタルです!」

 「あ、ワタル様お帰りなさいませ!」

 僕に気がついたシーラさんが駆け寄ってきた。

 「ああ、ただいまシーラさん」

 「おお、べっぴんな猫族じゃねーか。坊主も隅に置けねーな」

 「そ、そんなんじゃないですよ!?」

 「わ、私なんかがワタ、ワタル様とそんな……」

 「シーラさん? 泥棒猫にはなりませんよね?」

 ブルッ

 生命の危機を感じる寒気を感じる。
 周囲の気温も心なしか下がったような気がする。

 「か、カイ? 落ち着こうね?」

 ダーグさんも青い顔している。

 「か、カイ様し、失礼いたし、ました……」

 ああ、あんなに耳ペターンってなって尻尾もへにゃーんってなって……

 事情を話すと坊主の嫁さんはこぇーなって言われてしまった。普段は可愛いんですよ。


 いろいろあったけど。家の構想をパーティメンバーで話し合う運びとなった。
 家を建てるときは嫁の意見に逆らってはいけない。
 これは大事なことだ。覚えておこう。
 絶対に逆らってはいけない。絶対にだ。

 と、言うわけで奥様方に全てを任せる。
 お風呂だけは譲らなかったけどね。全員大賛成だったけどね。
 地殻操作で温泉も作れるんだぜ、自分が恐ろしいよ。
 だいたい総工費で5000万zくらいだって……
 5000万くらいだって。(大事なことなので二回言いました)

 明日から頑張ろう。
 超がんばろう、ダンジョンにもぐれるようになるまでまだ数日かかる。
 ギルドの依頼とか超がんばろう。

 
 

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