3人の勇者と俺の物語
27章 不幸で短慮
塔の攻略が終わって3日目。
4人は塔の攻略が終わり、寝込んだ。
丸一日死んだように眠って、起きて食事だけはしっかりと取ってまた寝る。
二日目もほとんど寝ていた、起きても頭の芯がボーーーッとして身体は鉛のように重かった。ただ食欲だけは大暴れだった。
二日目の夜にカレンさんが戻ってきた。
大急ぎで戻ってきたようだ、飛竜は使えないので魔法を最大限に使用して、
走って来たそうだ。
チャリできた。
みたいなノリでとんでもないことを言っている。
飛竜で1日ちょっとかかる、首都まではそれくらいの距離がある。
飛竜の飛行速度が80キロ位として1000キロ近い。
恋は盲目とはよく言ったものだ。
その夜からカレンさんは休むことなく回復魔法を4人にかけてくれた。
その過程で、事故、そう事故は起きた。
3人娘の盲点は、
自分たちが寝込んでしまうこと、
その隙にカレンとワタルが二人っきりになってしまう時間が出来たこと、
誰の邪魔も入らないようにカレンがワタルを癒やしてから、3人娘の治療までの間に全てを終わらせてしまったこと、
カレンの情熱を読み違えていたことだった。
カレンは焦っていた。長寿なエルフではあったがカレンは295歳。
処女だった。
短慮や不幸といったスキルのせいか、どうにも男性とそういうことにならないのだ。
エルフで異性を知らず300歳になると恐ろしいことが起こる。
そういう言い伝えがあった。
彼女はそういった話を根っから、そして病的に信じるタイプだった。
そんな彼女の前に、千載一遇の好機が訪れていた。
目の前で眠っている少年。実際に16歳は青年なのだが、
日本人の顔はとても幼く見える、この世界でもそうだった。
彼女は特殊な性癖をお持ちだったのだ。
295歳の人から見たら人間なんてみんな子供みたいなものだが、
見た目。しかも、ワタルは数々の戦いをへて鍛えられ、引き締まった肉体を手に入れていた。
それにもかかわらず、顔は幼い。
ストライク、どストライクだった。
薄着を着て身体のラインを見てしまった。
回復魔法をかけて身体に触れてしまった。
そして……
「ん……あ、れ? なんか身体が軽くなってる、ん? カレンさん?
ああ、カレンさんが治してくれたんですね! ありがとうございます!」
回復魔法が効いてワタルは目を覚ました。
素直なワタルの感謝の気持ちだった。
ニッコリと満面の笑みでそう当たり前の謝辞を述べただけだった。
ストン
その笑顔が全てを粉々にした。
自制心、羞恥心、道徳心、etc.
カレンは精霊魔法を使っていた。ドライアドの力を借りて誘惑、発情、
本来女神の盾をもつワタルは状態異常に強い抵抗力を持っている。
しかし、完全に味方だと思っていたこと、そしてカレンは一流、超一流の冒険者であり、精霊魔法にかけてはエルフの中でも指折りの使い手であった。
この誘惑や発情は長寿でどうしても倦怠期的な状態になるエルフたちの間ではそれなりに用いられる方法であった。
ただ、カレンは加減を間違えた。
そして自分自身もその魔法の範囲に含めていた。
結果、多少レジストしたワタルと、どっぷりと魔法にかかったカレン。
ワタルに襲いかかるカレン、ワタルも魔法の影響で強く拒むことが出来なかった……
異常な気配を察知して重い体を引きずって3人娘が部屋に飛び込んだ時、
すでに全ては終わっていた。
月夜に浮かぶ狂喜の表情でワタルに覆いかぶさる化物がそこにいた。
「殺そう」
「「うん」」
「ちょっと待ったーーーーーーーー!!」
いつか見た光景。
またも土下座したカレンさんとそれを見下ろす3人。
「ふふふふふふふふふふ・・・・・・300前にふふふうふふふっふふっふふ・・・・・・」
土下座した状態からも呪詛のようなカレンさんのつぶやきが聞こえる。
「反省の色なし、ワタルどいて、そいつ殺せない」
「だから、ダメだって!」
「ワタルさん、まさかそいつに情が湧いたとでも言うんじゃないんでしょうね?」
氷のような目線で睨みつけられてヒュンってなった。
「い、いやね。俺も悪いわけだし、そこは責任取らないと……」
「ワタ兄は悪く無い。この魔女が卑怯にも魔法でワタ兄を陥れた」
「指先から細かく切り刻んでいこう。回復魔法かけながら」
「任せといて」
「お、お願いします。許してください何でもしますから」
あまりの恐ろしさに俺も土下座スタイルになってしまう。
「「「ん?」」」
「ん?」
「「「今、なんでもするって言ったよね?」」」
「ひ、ひぃ……」
その後すったもんだ(死語)はあったものの、
一人づつ胃と舌と身体をたっぷりと喜んでいただいた上で、
再度事情聴取が行われた。
その間ずーっとカレンさんは土下座スタイルだった。
ほんとにこの人が伝説級の冒険者なのか改めて疑問に思った。
カレンさんの生い立ちから、数々の不幸エピソード、
そして、冒険の話。エルフにおける300歳の壁の話、
胸があるからエルフ男には全くモテなくて冒険者になったものの、
エルフであることから腫れ物に触るように扱われたこと、
いざって時の失敗エピソードなど、
まぁ、残念な話を、それこそ星の数ほど聞いた。
「うーん、なんか可哀想に思えてきた」
「300を前にこじらせちゃったのね……ワタルくん、わかってあげて?」
メディアスさんがやけに親身だ。
「ワタルさんが魅力的なのは仕方ないことですからね」
「そうだね、ワタルは最高だからね」
「回復魔法の能力は本物、今後PTの戦力になる、奴隷としてこき使おう」
「ど、奴隷!?」
ちょっとカレンさん、そのセリフはニヤついて顔真っ赤にして言うセリフじゃないからね、なんでそんなに嬉しそうなの!?
「奴隷、ワタル様の奴隷、フヒヒ、全てをワタル様に捧げるふふひひひうふいひひ……」
こ、怖いよーママー……
「それに、すでに手遅れですね。ワタルさん鑑定してみてください」
カイの言うとおりカレンさんを鑑定をしてみる。
「あ」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
カレン=グリーンフィル
Lv184 【狂信のエルフ】New!
HP 3450
MP 3894
Str 212
Agi 259
Vit 198
Dex 310
Int 226
Luk 10→150
【スキル】魔力操作Lv8 回復魔法Lv7 精霊魔法Lv8 召喚魔法Lv5
弓術 Lv9 千里眼Lv5 身体活性Lv8 生活魔法Lv7 細工Lv9
調合Lv7 鑑定 短慮Lv5 強行踏破Lv4New! 信仰Lv10New!
アイテムボックス【大】New!
【称号】 天弓 森の友 狂信者New! 勇者との絆New!
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「怖いよ!!!」
ワタルの叫びが街に木霊した。
こうしてワタル一行に新しい仲間(?)が増えたよ、やったね!
4人は塔の攻略が終わり、寝込んだ。
丸一日死んだように眠って、起きて食事だけはしっかりと取ってまた寝る。
二日目もほとんど寝ていた、起きても頭の芯がボーーーッとして身体は鉛のように重かった。ただ食欲だけは大暴れだった。
二日目の夜にカレンさんが戻ってきた。
大急ぎで戻ってきたようだ、飛竜は使えないので魔法を最大限に使用して、
走って来たそうだ。
チャリできた。
みたいなノリでとんでもないことを言っている。
飛竜で1日ちょっとかかる、首都まではそれくらいの距離がある。
飛竜の飛行速度が80キロ位として1000キロ近い。
恋は盲目とはよく言ったものだ。
その夜からカレンさんは休むことなく回復魔法を4人にかけてくれた。
その過程で、事故、そう事故は起きた。
3人娘の盲点は、
自分たちが寝込んでしまうこと、
その隙にカレンとワタルが二人っきりになってしまう時間が出来たこと、
誰の邪魔も入らないようにカレンがワタルを癒やしてから、3人娘の治療までの間に全てを終わらせてしまったこと、
カレンの情熱を読み違えていたことだった。
カレンは焦っていた。長寿なエルフではあったがカレンは295歳。
処女だった。
短慮や不幸といったスキルのせいか、どうにも男性とそういうことにならないのだ。
エルフで異性を知らず300歳になると恐ろしいことが起こる。
そういう言い伝えがあった。
彼女はそういった話を根っから、そして病的に信じるタイプだった。
そんな彼女の前に、千載一遇の好機が訪れていた。
目の前で眠っている少年。実際に16歳は青年なのだが、
日本人の顔はとても幼く見える、この世界でもそうだった。
彼女は特殊な性癖をお持ちだったのだ。
295歳の人から見たら人間なんてみんな子供みたいなものだが、
見た目。しかも、ワタルは数々の戦いをへて鍛えられ、引き締まった肉体を手に入れていた。
それにもかかわらず、顔は幼い。
ストライク、どストライクだった。
薄着を着て身体のラインを見てしまった。
回復魔法をかけて身体に触れてしまった。
そして……
「ん……あ、れ? なんか身体が軽くなってる、ん? カレンさん?
ああ、カレンさんが治してくれたんですね! ありがとうございます!」
回復魔法が効いてワタルは目を覚ました。
素直なワタルの感謝の気持ちだった。
ニッコリと満面の笑みでそう当たり前の謝辞を述べただけだった。
ストン
その笑顔が全てを粉々にした。
自制心、羞恥心、道徳心、etc.
カレンは精霊魔法を使っていた。ドライアドの力を借りて誘惑、発情、
本来女神の盾をもつワタルは状態異常に強い抵抗力を持っている。
しかし、完全に味方だと思っていたこと、そしてカレンは一流、超一流の冒険者であり、精霊魔法にかけてはエルフの中でも指折りの使い手であった。
この誘惑や発情は長寿でどうしても倦怠期的な状態になるエルフたちの間ではそれなりに用いられる方法であった。
ただ、カレンは加減を間違えた。
そして自分自身もその魔法の範囲に含めていた。
結果、多少レジストしたワタルと、どっぷりと魔法にかかったカレン。
ワタルに襲いかかるカレン、ワタルも魔法の影響で強く拒むことが出来なかった……
異常な気配を察知して重い体を引きずって3人娘が部屋に飛び込んだ時、
すでに全ては終わっていた。
月夜に浮かぶ狂喜の表情でワタルに覆いかぶさる化物がそこにいた。
「殺そう」
「「うん」」
「ちょっと待ったーーーーーーーー!!」
いつか見た光景。
またも土下座したカレンさんとそれを見下ろす3人。
「ふふふふふふふふふふ・・・・・・300前にふふふうふふふっふふっふふ・・・・・・」
土下座した状態からも呪詛のようなカレンさんのつぶやきが聞こえる。
「反省の色なし、ワタルどいて、そいつ殺せない」
「だから、ダメだって!」
「ワタルさん、まさかそいつに情が湧いたとでも言うんじゃないんでしょうね?」
氷のような目線で睨みつけられてヒュンってなった。
「い、いやね。俺も悪いわけだし、そこは責任取らないと……」
「ワタ兄は悪く無い。この魔女が卑怯にも魔法でワタ兄を陥れた」
「指先から細かく切り刻んでいこう。回復魔法かけながら」
「任せといて」
「お、お願いします。許してください何でもしますから」
あまりの恐ろしさに俺も土下座スタイルになってしまう。
「「「ん?」」」
「ん?」
「「「今、なんでもするって言ったよね?」」」
「ひ、ひぃ……」
その後すったもんだ(死語)はあったものの、
一人づつ胃と舌と身体をたっぷりと喜んでいただいた上で、
再度事情聴取が行われた。
その間ずーっとカレンさんは土下座スタイルだった。
ほんとにこの人が伝説級の冒険者なのか改めて疑問に思った。
カレンさんの生い立ちから、数々の不幸エピソード、
そして、冒険の話。エルフにおける300歳の壁の話、
胸があるからエルフ男には全くモテなくて冒険者になったものの、
エルフであることから腫れ物に触るように扱われたこと、
いざって時の失敗エピソードなど、
まぁ、残念な話を、それこそ星の数ほど聞いた。
「うーん、なんか可哀想に思えてきた」
「300を前にこじらせちゃったのね……ワタルくん、わかってあげて?」
メディアスさんがやけに親身だ。
「ワタルさんが魅力的なのは仕方ないことですからね」
「そうだね、ワタルは最高だからね」
「回復魔法の能力は本物、今後PTの戦力になる、奴隷としてこき使おう」
「ど、奴隷!?」
ちょっとカレンさん、そのセリフはニヤついて顔真っ赤にして言うセリフじゃないからね、なんでそんなに嬉しそうなの!?
「奴隷、ワタル様の奴隷、フヒヒ、全てをワタル様に捧げるふふひひひうふいひひ……」
こ、怖いよーママー……
「それに、すでに手遅れですね。ワタルさん鑑定してみてください」
カイの言うとおりカレンさんを鑑定をしてみる。
「あ」
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
カレン=グリーンフィル
Lv184 【狂信のエルフ】New!
HP 3450
MP 3894
Str 212
Agi 259
Vit 198
Dex 310
Int 226
Luk 10→150
【スキル】魔力操作Lv8 回復魔法Lv7 精霊魔法Lv8 召喚魔法Lv5
弓術 Lv9 千里眼Lv5 身体活性Lv8 生活魔法Lv7 細工Lv9
調合Lv7 鑑定 短慮Lv5 強行踏破Lv4New! 信仰Lv10New!
アイテムボックス【大】New!
【称号】 天弓 森の友 狂信者New! 勇者との絆New!
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「怖いよ!!!」
ワタルの叫びが街に木霊した。
こうしてワタル一行に新しい仲間(?)が増えたよ、やったね!
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
52
-
-
58
-
-
1
-
-
1359
-
-
238
-
-
4
-
-
34
-
-
93
-
-
26950
コメント