3人の勇者と俺の物語

穴の空いた靴下

18章 モテモテ

 時間は少し巻き戻って大宴会、
 ワタルが酒を飲んでしまいホワホワした状態になっている時のお話。

 「ふえへへ、なんか目の前がぐにゃぐにゃする~」

 『なんじゃワタルは酒に弱いのか?』

 「生活魔法をかければいいのにね」

 「回復魔法でも大丈夫なんですよね?」

 『好きなだけ酔って二日酔いもない。魔法さまさまじゃな』

 「それにしても、ワタルの料理は凄い」

 「ええ、お肉でこんなに美味しい物初めて食べました」

 「試しにあっちの食べたけど、肉の柔らかさ、臭み、旨味、何をとっても段違い、同じ料理という土俵にあげるのもおこがましい」

 「そうね、あっちの世界は食事に困ることも多いくらいだったから、
 この食事の魅力には逆らえないわ」

 「決めた! ボクワタルと結婚する!」

 「な、何言っているのリク!?」

 「ワタルと結婚してずっと一緒にいる」

 「だめ、ワタ兄のお嫁さんは私」

 「な、何言ってるの二人共だめよそんなの、私だって……ブツブツ」

 「な~~に、言ってんだよーまだ14じゃないか~~」

 「えー、もう14になったら成人だよ?」

 「男は12,女は14で成人する。ワタルは16何の問題もない」

 「えー、そうなのー? じゃあリク結婚する~?」

 「うん!」

 「「ダメ!」」

 「ダメだってー……じゃぁ、ダメ……だね……」

 「ワタ兄寝ちゃった」

 「ちぇー、ワタルに結婚約束させたかったのに……」

 「ほら、二人共それぐらいにして、ワタルさんを寝室に運んでくるから!」

 「「は~~い」」




 「遅い」

 「まさか!?」


 部屋に飛び込むとワタルの上でスヤスヤと寝ているカイ。

 「油断も隙もない」

 「カイ、興味ないふりして既成事実を……」

 「させない、リク一時休戦」

 「わかった」

~~~ ほわんほわんほわん……  ~~~

 「と、こういうわけ。わかったワタ兄?」

 14で成人……ブツブツ

 「聞こえてるワタル?」

 「う、うんOK聞こえてるさ!」

 「ワタルさんは結局誰と結婚するんですか!?」

 ぶっっ! お茶吹いた。

 「ま、待ってよ、結婚とかそういうのそんなにすぐに決められないよ!」

 「私はワタ兄が好き、結婚して」

 「ボクだって好きだから結婚して」

 「わ、私もワタルさんがいいなら結婚して下さい」

 「だ、だから、その付き合ってもいないのにいきなり結婚とか考えられないよ!?」

 「ワタルは私たちのことが嫌いなの?」

 「き、嫌いじゃないよ! むしろ可愛いなーっていろいろと我慢するの大変なくらいで、ってそういうことじゃなくて!」

 「相思相愛、結婚しようワタ兄?」

 だからその当ててんのよをやめなさい。冷静な考えができない!

 「3人共結婚すればいいじゃない?」

 いきなり巨大な爆弾を投下してくるメディアスさん、

 「ちょ、ちょっとまってください重婚は犯罪ですよ!」

 『ん? こっちの世界ではそうなのか? 前のとこじゃ別に普通じゃったぞ? 儂は奥さん一筋じゃったがな……今頃魔神もいなくなって幸せに暮らしてくれてるといいんじゃが……』

 さらりと重要な話をぶっこんでくるなバイセツさん。

 「それいいね、そうすれば喧嘩しなくてすむ」

 「私もそれでいい、リクとカイなら問題ない」

 「私も二人なら……大丈夫」

 「わーわーわー、待って待って。
 よ、よし! 取り敢えず塔の攻略が全部終わるまで保留!
 そうしよう! よし、それで決定。このお話は終わり!!」

 無理矢理に話を終わらせる。
 まだ不満そうだったけど、朝食を作るって言ったら一瞬でその話は終わった。


 朝ごはんは昨日ガッツリと肉を食べたので優しいおかゆを作ってみよう。
 魔法のおかげで二日酔いの心配は無いんだけどね、
 お酒は生活魔法で抜ける。覚えておこう。
 野菜を細かく刻んで、そこに昨日の砂渡の肉を細かいサイコロ状に炒めて、
 ご飯を投入、味付けを整えて焼色が着いたら端に寄せて、
 空いているところに卵を落とす。フワフワのスクランブルエッグにしたら全体をまとめていく。 日を止めて鍋の壁に醤油を垂らす。いい香りだ。
 ちょっと火をつけて全体をまとめて、香り油を少々。ざっと混ぜれば炒飯の完成だ!!


 おかしいな、最初はおかゆ作るつもりが昨日のお肉美味しかったなーって思ってたら炒飯ができていた。

 「もう、匂いだけで、よだれが……」

 「リクはしたないよ?」

 「カイも口開いてる。ワタ兄の料理は魔物」

 みんな一心不乱に食べ始める。
 僕も食べる。こりゃ美味しい。こんなに小さくなってもこのお肉を噛みしめるとたっぷりの肉汁が広がってご飯に旨味をふりかける。
 口の中でギュッと歯ごたえも最高だ。
 なんだこれ、旨すぎる。

 僕は油断していた。
 こんなに香りの出る料理を作ったこと。
 フライパンにお代わりようの炒飯が残っていたのに食事に集中してしまっていた。これは全員そうなんだけど。

 「な、なにこれ!!?」

 急にあがった声に振り返ると、とても美しい緑の長髪をした女性が、
 僕の炒飯をスプーンで食べていた。

 「あ、あああぁぁぁぁぁぁ……」

 膝をガクガクと震わせてへたり込んじゃった。

 「あーーーー! 何してるんだ! それはワタルの料理! 私達のご飯!」

 リクが抗議の声をあげる。
 その緑髪の女性は放心したように座り込んだまま天を仰いで……
 涙を流していた。
 ドキッとした。すっごい美人なんだもん。お姉さんっぽいし、
 耳が尖っている、これはいわゆるエルフなのかな? 胸あるけど……
 背は170はありそうスラっとしてかっこいい。
 軽装な鎧に弓を背中に背負っている。
 ハッと気を取り直してそのお姉さんはこっちに歩いてくる。

 「失礼した、王都より飛竜で不眠不休で飛んできたもので、
 あまりに魅力的な匂いに身体が勝手に動いてしまった。
 すまなかった。謝罪する。ところでこれを作ったワタル様と言うのは?」

 「あ、僕ですけど」

 答えている途中でいきなりキスされた。

 「私はカレン、ワタル結婚してくれ!」


 「「「ああああーーーーー!!!!!」」」
 

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