3人の勇者と俺の物語

穴の空いた靴下

7章 3人娘反省する

 3部屋目はオークのお出まし。
 親しみやすい王道モンスターが続いてくれている。
 オークは顔が豚、身体はふくよかだけど腕とか太くて攻撃当たったらやばそう。2mくらいの大きさも迫力ある。

 『油断せず、基本に忠実にな』

 バイセツ師匠のありがたいアドバイス

 「だいじょーぶだよラクショーラクショー」

 「だめよリク油断せずさっさと倒しましょう」

 「無問題」

 あー、これ完全に調子乗ってますわ。
 まぁ、仕方ないよね。あれだけ成長するんだもん。

 それでもやっぱり3人は強い。あっという間にオークを倒していた。
 僕がみんなに応援されながら戦うのはパターン化しそうだね。

 「ワタルもっと踏み込んで!」

 「大きく避けすぎですよワタルさん」

 「すっとよけてズバーってやれば倒せる」

 3人の声援が痛い。僕なりにこれでも精一杯なんですよ!

 『ワタルはそれでいい、じっくりと戦い一つ一つから学ぶのじゃ』

 「ひとつひとつの戦いを大事にね、それが次の戦いに生きるわ」

 師匠たちはいいこと言うなぁ。
 オークの一撃は非常に重い。まともに受けると盾ごとふっとばされてしまう、
 盾の形状を利用して逸らす、大きな力を逸らすと大きく体勢が崩れる、
 そこを確実に攻撃する。銅の剣のおかげで無駄に盾の変形という隙を作らないですむ。
 今までの敵が使ってきた技を思い出しながら攻撃する。
 それでも強い力ってのは厄介だね。防御のためには盾の変形を躊躇しない。
 一回当たったら、多分じゃなくて絶対ヤバイ。
 コツコツと攻撃を繰り返し、集中して狙っていた右足のダメージがたまりついには膝をつく、首元に渾身の一撃を食らわせてオークは地に伏した。
 倒されるとモンスターは光の砂みたいになって床に吸収されていく。
 運がいいと宝箱が残されるらしい。
 今回の戦いでリクが鉄の斧を手に入れた。銅の斧を捨てようとしたので俺のアイテムボックスに収納しておく。後で売れば少しはお金の足しになる。
 俺は貧乏症なんだ。

 『いいぞ、ワタルこのまましっかりとやっていけ、お主は確実に強くなっている』

 「3人娘が心配ね……」

 それは俺も思う。能力だけで突っ切れてしまい雑な戦いかたになっている。

 『ま、そのうち分かるじゃろ』

 ここでは全員レベルが上った。

    ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■

  イチノセ ワタル
 Lv3→4 【ひよっこ冒険者】
 HP 148→154
 MP 36→40
 Str 9→11
 Agi 8→9
 Vit 9→10
 Int 10→11
 Luk 11

 【スキル】 女神の盾 勇者の卵 器用 観察New! 神の料理人 言語理解 
 大器晩成() 魔力操作Lv1New! 微小魔力操作Lv1New!

 おお、Strが2も増えたやったぜ! もう知ってるから凹まない。
 スキルが成長しているし新しいスキルもゲット! ホクホクだ!

 リク
 Lv2→3 【戦斧の使い手】
 HP 360→480
 MP 60→80
 Str 25→38
 Agi 20→32
 Vit 18→30
 Int 12→20
 Luk 20→25

 【スキル】 聖斧の力 頑丈Lv1New! 根性 魔力操作Lv1New! 
 斧技Lv1New! 見切りLv1New! 
 溜め攻撃Lv1New! 自己活性Lv1New! 鑑定 マジックボックス【極大】

 カイ
 Lv2→3 【魔法槍士】
 HP 280→320
 MP 240→380
 Str 12→18
 Agi 18→29
 Vit 11→18
 Int 28→42
 Luk 19→28

 スキル 聖槍の力 聡明 天賦の魔力 魔力操作Lv2New! 
 魔力増幅Lv1New! 回復魔法Lv1New!  水魔法Lv1New! 火魔法Lv1New!
 風魔法Lv1New! 土魔法Lv1New! 
 槍術Lv1New! 鑑定 マジックボックス【大】

 クウ
 Lv2→3 【天才剣士】
 HP 480→600
 MP 320→410
 Str 24→30
 Agi 28→43
 Vit 18→28
 Int 29→45
 Luk 65→80

 スキル 聖剣の力 天才 直感Lv1New! 洞察Lv1New! 魔力操作Lv1New!
 環境魔力利用Lv1New! 剣技Lv4New! 見切りLv3New! 光魔法Lv1New! 
 闇魔法Lv1New! 空間魔法Lv1New! 時空魔法Lv1New! センス○ 
 鑑定 マジックボックス【無限】

 ですよねー(棒)
 いいんだ、僕は僕のペースで。

    ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■

 次の部屋に入ると入口にあったみたいな注意書きがあった。

 【いい忘れてたけど、この塔で気絶とか重症の怪我をすると強制的に宿泊施設に飛ばすよー、死なない程度に回復魔法はかけるけど。あと退却は最初の扉をくぐれば入り口に戻るからご自由に。命を大事に】

 『ふうん』

 なんかバイセツさんがにやりとしてる。
 その理由はすぐに分かった。その部屋のモンスターはスライム。
 可愛い青いスライムタイプじゃなくて、ドロドロなスライム。色は緑。
 ここにきて雑魚モンスター筆頭さんが現れた。
 でも、僕は油断しない。
 天バブのスライムさんはメッチャクチャ強いからね。
 捕食スキルで相手の糧になるのはゴメンだ。
 まずは観察。相手の出方を見る。
 ズリズリと動きは遅いけど突然バッと被さってくる。
 きちんと避けつつ盾で殴る。スライム=斬撃無効はお約束、
 殴った盾が溶けないことも確認。スライム=溶解液これもお約束。
 ダーメージが入っているか入っていないかわかりにくい。
 剣の腹で叩いたり、盾で殴っているとベチャッとふっとばされたスライムが床に吸収されていった。
 お、今回いい感じだった。ふとあたりを見て驚いた。
 僕が一番最初に敵を倒していた。
 と、いうか苦戦してないみんな?

 「くそ! 何だよこいつ切っても切っても!」

 あーあーそんなに斧振り回して、あー足元にあー転んだ。あーあースライムに包まれちゃった……ゴクリ。スライムに必死に抵抗するもリクちゃんの健康的な身体に緑のヌラヌラとしたスライムがまとわりついていく、その姿が非常に……
 いやいやいや! 助けなきゃ!

 『放っておけ、いい薬じゃ死にはせんようだしな』

 「え……?」

 「そうね、こういうことは思い知らないとわからないのよね」

 そんな問答をしているとリクちゃんが光りに包まれて消えた。呼吸できなくて気絶したんだと思う。

 同じように他の二人も、なんとスライムにいいようにあしらわれてしまった。
 余談だけど、クウちゃんとスライムの戦いは魂に刻み込んだ。

 「あらあら男の子ね」

 メディアスさんにからかわれる事態になってしまった。
 土下座して黙っていてもらうように頼み込みました、全身全霊で。

 『ま、若い小僧には刺激が強かったな。さて、戻るかのお灸を据えてやらんと』

 俺はレベルが上がっていた。

    ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■

   イチノセ ワタル
 Lv3→4 【ひよっこ冒険者】
 HP 154→160
 MP 40→44
 Str 11→12
 Agi 9→10
 Vit 10→11
 Int 11→13
 Luk 11→12

 【スキル】 女神の盾 勇者の卵 器用Lv1New! 観察Lv1New! 神の料理人
 言語理解 大器晩成() 魔力操作Lv1 微小魔力操作Lv1 
 盾技タテワザNew!

    ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■

 休憩室のベットで目を覚ました3人はこってりとバイセツさんとメディアスさんに絞られた。

 『自らの力に溺れ、過信をする。それがなによりも危険じゃ。
 己の一番の敵は己と知れ! 
 ワタルを見ろ、無い力を知恵と慎重さで補っている。お主らも見習え!』 

 褒められた……無い力……シクシク

 「あなた達は大切な友達を助けるんでしょ? 
 ここで力に溺れて今回みたいな戦いをして負けたら死ぬのよ? 
 そしてあなた達の友達は助からない。
 もう一度よく考えてね。あなた達は強いんだから、
 謙虚に堅実にやっていけば必ずお友達を救えるわ。」

 3人娘はみんな泣いていた。怒られて怖いわけじゃなく、
 甘い考えでいた自分自身が悔しいんだろう。
 それから3人に謝られた、謝られるような事されてないよと年上の余裕を見せた。
 さっきの後ろめたさがあったからでは決して無い。

 ふたたびスライムへ挑むと、さっきの苦戦がウソのようにあっという間に倒した。
 3人娘は強いのだ! カイが鉄の槍をゲット、
 銅の槍はいつも通り僕がもっておくいろんな武器が使えたほうがいいからね、練習練習。
 俺も盾技の盾強打のおかげで楽にスライムを倒せた。

 また、おれだけレベルが上った。

    ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■

   イチノセ ワタル
 Lv4→5 【ひよっこ冒険者】
 HP 160→168
 MP 44→48
 Str 12→13
 Agi 10→11
 Vit 11→13
 Int 13→14
 Luk 12→13

 【スキル】 女神の盾 勇者の卵 器用Lv1 観察Lv2New! 神の料理人
 言語理解 大器晩成() 魔力操作Lv1 微小魔力操作Lv1 
 盾技タテワザ

    ■   ■   ■   ■   ■   ■   ■

 テンポいいね成長速度はあれだけど、成長頻度が多くて楽しい。

 バイセツさんとメディアスさんは偉そうなこと言っても巻き込んだのは儂らじゃからのー、
 と少し悲しい顔をしていた。


 

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