龍と友達になった少年

榊空

大地VSソラ《練習試合》

「よろしくお願いします。大地さん」
「よろしく、ソラ」

普段と同じような自然な雰囲気で挨拶したあと、合図をせずに二人の剣がぶつかり合う。

「やっぱり、ソラはその年で考えると強いね」
「それでも大地さんには、一回も当てれたことないんですけどね」
「まぁ、その年で考えるとだから……ね!」

言葉尻に合わせて飛ばされたソラは、一旦距離をとって体制を整える。その体制を整える隙をついて大地が攻撃を仕掛けるが、あと一歩のところでかわされる。

「動きの無駄が少しずつ無くなってるね。この前は距離をとったあとに攻撃したら当たってたからね」
「負けたあとに反省会を海といつもしてますからね」
「まぁ、反省するのはいいことだね。それをしっかり活かさないと意味がないけどね」

そう言いながら大地が海の方を見る。

「う、ソ、ソラ……。また、反省会に付き合ってくれ」
「あはは、べつにいいよ」
「さてと、もうそろそろ続きをはじめよっか」
「そうですね」

ちょうどよく会話が終わったところを見計らい、最初と同じように、お互いに少し離れてからどちらからともなくしかける。

「やっぱり大地さんはスゴいですね。色々と頭のなかで考えてたことがすべてかわされる」
「一応は師匠だからね。もう少しの間ぐらいは師匠としていたいのさ」
「僕が大地さんに一撃当てれたとしても、師匠であることに変わりはないんですけどね」
「あはは、嬉しいことをいってくれるね。でも、これに関してはただのわがままだからね。もうしばらくは当てられたくないのさ。せめて、来年まではね」

来年、それはソラ達の年齢が十五歳になるまでということを指す。この国では十五歳になると、大人として扱われるからだ。

「成人するまでに一撃は当てれるように頑張ります」
「僕は当てさせないように頑張ろうかな。とはいえ二人とも学園に入学出来るぐらいにはなってるから大丈夫」
「え!? 本当に!?」
「本当に。とはいっても、及第点ってだけだからあと少し鍛えてみようか」
「まぁ、強くなれるならいいけど」
「あと少しってこの前も聞いた気がするんですけど」
「あはは、気にしない気にしない。まぁ、頑張ろう。ほら、続き続き」

大地の言葉に海は開き直った声を出し、ソラは諦めたような声を出しながらため息をついた。そんな二人を見て大地は笑いながら特訓の続きを促す。

「それじゃあ、今度はこっちからいくね」
「え、ちょっ!」

大地はソラが構え直したのを確認してから、ソラのもとまで走り剣を横に振る。ソラはいきなりのことに焦った声を出していたが、構えていたのが幸いしたのか、大地の剣を受け止めることが出来た。

「どんどんいくからね」
「なんか、どんどん、早くなって……ませんか!?」
「気のせい気のせい」

横から来る剣を受け止め、縦に振られる剣を避けつつ隙を今か今かと待つ。しばらく剣を避けつつ待っていると、また、横に振る体勢に入ったのが見えた。

「(ここで弾ければ……!)」 

ソラがその攻撃を受け止めるのではなく、弾き返そうと手に力を入れてタイミングを合わせて横に振ると、大地の剣はソラの剣の間合いの少し前で止まった。

「ソラ、もうちょっとひねくれた剣にしないと、視線だったり、重心の動きだったりで何をしようとしているのかばれちゃうよ?」

ソラは力を込めていたからか、空振りに終わって大きな隙を作った所で、大地に軽く一撃をいれられる。

「良いところまでいったと思ったんですけどね」
「まぁ、そうだね。あとは相手に悟られないようにすれば当てれるかもね。さっきは僕の剣を弾くんじゃなくて、攻撃をいなして次の一撃に繋げた方が良かったかもね。力を入れると分かっちゃうから」
「なるほど。その選択肢も候補に加えときます」
「さてと、もうそろそろお昼だし一旦帰ろうか?」
「そうだな。美樹のやつが待ちくたびれてここに来る前に帰ろうぜ」
「そうだね」
「怒ると長いからね……。怒らせないようにしなくちゃ」

三人は笑いながら剣を片付けると、急いで家に帰るのだった。

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