龍と友達になった少年

榊空

大地VS海《練習試合》

「よし、いつでもいいよ」
「今日こそは一撃当てる!」

大地はいつものようにそこに自然に立つと、普段と変わらぬ口調で語りかける。その声を合図に海が弓を構える。

「ホント、僕以外にこの方法で練習試合しないようにね? 怪我人が出ちゃうから」
「大丈夫! 兄ちゃんにしかここまでの攻撃はしないから!」
「なら、いいのかな?」

弓を一矢射つ度に大地が矢を剣で払ったり、いなしたりしながらも穏やかな表情で言葉を放つ。

「というか、なんで兄ちゃん矢を避けれるんだよ!」
「大体見えるから、フェイントとか入れた方がいいよ? 攻撃をするように見せて、防御したときに攻撃をせずに魔法を使って自分の強化をしたりとか、相手の行動を読むようにした方がいいかも」
「なるほど! じゃあ、こんな感じかな!」

大地の言葉を聞いて思い付いたのか、矢を構えて一回射った後に二射目を構えながら魔法を使う。

「《スピードアップ》」 
「速度をあげる?」

速度をあげて、二射目の矢のスピードをあげる。そして、三射目を構えながら近接攻撃に切り替える。

「なるほど、そういうことか」
「え、ちょっ! そんな普通に受け止めないでくれよ!」 
「いや、だって動きが遅いから。考えるのに頭使って動きが鈍くなったら意味がないかな?」
「あ、ちょ!」
「ほい、一本」

海が三射目を放つ振りをしながら、矢を捨てて腰の剣を抜き放つ。横薙ぎに振り払う。だが、そんな攻撃も大地からすると遅すぎるからかフェイントを見てから自然に受け止める。そのあと手に持っていた木刀でポカリと叩く。

「なんで、こっちは普通の弓矢と鉄の剣なのに、木刀に勝てないんだ……?」
「動きを早く、そして、思考をもっと早くすれば当てれるかもね?」
「ちくしょう……、次は当てるからな!」
「楽しみにしとく」
「それじゃあ、次は僕の番ですね」
「よろしく。攻撃魔法は無しね?」
「分かりました。強化はありですよね?」
「強化はいいよ。弓も大丈夫」
「それじゃあ、よろしくお願いします」

剣を構えて立ち、合図をまつ。

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