龍と友達になった少年

榊空

少年の過去12

「お兄ちゃん!」
「おー、美樹。よしよし、もう大丈夫だからな」
「兄ちゃん、今のってなんなの?」 
「今のは、僕が昔作った魔法だよ。正確に言えば元々あった魔法を僕なりにアレンジしたんだけど」
「そんなこと出来るんですね」
「そんな簡単にできるわけないでしょ!」

大地の戦闘が終わり、ソラ達のもとに歩いて向かう途中に美樹が大地のお腹に向かって突進していく。そんな美樹を優しく受け止めたあと頭を撫でていると、海がさっきの戦闘で気になってた魔法について聞いてくる。大地の説明にソラは納得したように頷いていると、マーサが横から首を横に振りながら現れた。そんなマーサに驚いたような顔で大地が見つめると、ハッとしたような顔でマーサは俯く。少しだけ耳が赤い。

「その、こんにちは。えと、マーサです」
「あ、はい。こんにちは? 大地といいます」
「その、今日は助けてくださりありがとうございました!」
「あー、いえいえ、あはは」

大地はマーサの存在に気がついていなかったのだが、そんなことを悟らせないように、笑顔でごまかしていると、遠くの方から声が聞こえる。

「あれ? ドラゴンが出たって話だったんだけどもう倒されてるじゃん」
「ホントですね……、あれ、この倒しかたは……」
「うん? どうかしたのかマヤ?」
「いえ、誰が倒したのか分かりやすいなーって思いまして」
「誰が倒したのか分かるのか? 俺には全然わかんねぇ!」
「まぁ、ルカさんも知ってる人ですけどね」
「え、マジかよ!?」

男のような喋り方で会話をしている女性と、丁寧な口調で話す優しそうな女性が近付いてくるのが見える。

「あ、ほら。あそこにいますよ。ドラゴンを倒してくれた方が」
「え! どれだどれだ……って、大地か……」

ルカはマヤの言葉につられ、指を指された方を見た後、がっかりしたような顔で項垂れた。

「なんでそこでがっかりする……」
「だってよー、ドラゴンを倒すほど強かったら俺たちの仲間にしようかなーって思ってたのに、大地はもともと俺たちの仲間だからさー」
「まったく、打算抜きで倒してやろう的な気概はないのか、お前には」
「あっははー、あるわけないじゃん。俺がそんなこと言い出したら皆心配するぜ?」
「それは、まぁ……、そうだな。すまん、俺が悪かった」
「そこで謝るなよ!? ホントに俺がそういうやつって思われるじゃん!」

冗談でいったはずなのに大地に真剣な顔で謝られ、動揺しながらツッコミを入れると、またもや、真剣な顔で大地がとぼける。

「え? だって、そういうやつだろ? なぁ、ユマ」
「そうですね。そこはさすがに否定は出来ないですね」
「くっ、お前ら……、あれ? ソラじゃないか! 久しぶりだな、元気にしてたか?」

ルカは二人の息の合ったボケに、つっこむのに疲れたのか、回りを見渡したときソラの姿を見つけた。ルカはソラの顔を見てさっきまでのことを忘れたのか、嬉しそうな顔で近付き頭をぽんっと叩く。

「え! はい、元気です」
「おいおい、ホントに元気なのか? お、海と美樹もいるじゃねえか」
「お久しぶりです、ルカさん!」
「ルカお姉ちゃん、お久しぶりです!」

海はルカのことが苦手なのか、話しかけられて緊張したようすだったが、美樹は苦手ではないらしく、嬉しそうに返事をしている。

「おー、お前らは元気だな、ソラも美樹達の元気のよさを見習った方がいいぜ?」
「は、はい」
「えへへ、見習ってもいいんだよ。ソラお兄ちゃん」
「あはは、じゃあ、今度から見習わせてもらおっかな?」
「うん! いいよ!」

美樹は褒められたのが嬉しかったのか、ソラの方に笑顔で振り向くと胸を張った。そんな、美樹の行動が面白かったからか、ソラは微笑みながら頭を撫でる。

「えへへー、もっと撫でて?」
「あはは、偉い偉い」
「むー、なんか雑になった!」

頭の撫で方が雑になったのが嫌だったのか、頬をぷくっと膨らませて不満を訴えてくる。

「まったく、さっきまでドラゴンがいたとは思えないくらい平和だな」
「平和が一番だよ」
「兄ちゃんが言ってることは正しいんだけど、俺が言いたかったのはそうじゃなくて……、うん。やっぱりいいや。平和が一番だよな」

さっきまで、震えていた美樹たちの現在の光景を見て、呆れたような声で呟く海に大地は不思議そうな顔をする。そんな大地の言葉に反論しようとした海だったが、大地の不思議そうな顔を見て諦めたようにため息をついた。

「龍と友達になった少年」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く