異世界の村で始める獣人とのハーレム生活

りょう

第26話その瞳に眠る秘密

 モカがやって来たその日の晩には、歓迎会が行われ久しぶりに騒がしい夜になった。

「美味しいです!」

「マジか」

 その歓迎会にはあの魔の料理も出されたのだが(何故出されたのかも不明)、それをモカは平然と食べ尽くしてしまった。しかもこれを美味しいというのだから、それを更に俺を驚かした。

「城で出る料理は、いつも代わり映えのないものばかりでしたので、こういうのも私にとっては新鮮です」

「多分この料理はここでしか食べれないだろうな。悪い意味で」

「カエデ君、それはどういう意味か後で詳しく教えてね」

「いい加減自覚しなよルチリア。 カエデだって別に悪気がなくて言っているわけでもないんだから」

「それはどういう意味よポチ」

「まあまあ二人とも」

 折角の歓迎会というのに、こんなとことろで喧嘩していても意味がない。というかルチリアはもう少し自覚してほしいんだけど。

「随分と楽しい村なんですね。ここは」

「まあそれがこの村のいいところでもあるんだけどさ」

「カエデは好きなんですかこの村の」

「来てまだ三週間くらいだけど、今までにない体験ができて結構楽しいといえば楽しいけど、時々危険な時もある」

「危険な時ですか?」

 それが具体的にどんなものなのか、モカに話す。具体的とは言っても、最初からいきなり変な動物に襲われたりしたとか、そんなレベルの話。
 一応遺跡の事も話しに入れてみたけど、モカは果たしてどう思うのだろうか。

「そういえばこの島には遺跡があるという話は聞いた事があります。それも結構昔のものだと」

「やっぱり古くから存在するのか? ルチリアの話だと最近のものだって聞くけど」

「うん。私達がそれを発見したのはそんなに古い話じゃないよ。でも色々な話を聞く限りではもっと昔からあったみたいだけど」

「現に私はもう少し前からあの遺跡に住んんでた」

 話にルチリアとフォルナが加わる。意見がそれぞれではあるが、フォルナのもっと前から住んでいるという言葉から察するに、やはりあの遺跡は前から存在していたのかもしれない。

「うーん、やっぱりあの遺跡には何かあるのかもしれないな」

「是非よろしければご案内していただけると嬉しいのですが。私も興味ありますので」

「案内したいのは山々なんだけど」

 この前の遺跡での出来事が蘇る。もしまた変に接触してしまったら、今度は本当に殺されてしま可能性だってあり得る。

「その事なら私に任せてカエデ」

「でもフォルナも危ないんじゃ」

「その辺りは心配ない」

「そこまで言うなら」

 フォルナの言葉にはどこか自信にあふれていた。モカ自身も行きたがっていたし、もう一度行ってみるのがいいのかもしれない。

(それに……)

 あの海底都市で聞いたノイズに関しても、もしかしたら遺跡でも情報が得られる可能性がある。

「よし、じゃあ折角だし明日の昼に行ってみるか」

「わーい、私気になっていたので嬉しいですえ

 子供のように喜ぶお姫様。姫を連れて行く以上明日はいつもより注意深く探索する必要があるかもしれない。

「それでは折角ですから、今度は私も行きたいですぅ」

「ミルフィーナはお留守番な」

「ど、どうしてですか〜」

 色々な意味で怖いからです。

 ◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
 夜も更けたところで歓迎会はお開きになり、俺とルチリアとモカは一緒に帰宅。しかし帰宅したところである問題が発生した。

「そういえばモカ様が寝る部屋がない」

「言われてみればそうだな。でも流石にリビングで寝かすわけにもいかないだろ」

「私はどこで寝ても構いませんよ」

「うーん、だったら」

 しばらく考えてルチリアが出した結論は、

「という事で今晩はよろしくお願いしますね、カエデ」

「どうしてこうなった」

 日替わりでそれぞれの部屋で寝泊まりする事に。おまけにベッドはモカが使用して、俺が床に布団を敷いて寝る事に。

「というかモカはそういうのに抵抗はないのか?」

「そういうのとはどういう事を言っているのですか?」

「え? それはマジで言っているのか?」

「はい」 

「それはそれでなんか怖いんだけど」

 どこまで彼女がピュアなのかは分からないが、ヘタな事をすれば後でどんな目に合わされるか分からないので、早めに寝る事に。

「それではおやすみなさい、カエデ」

「ああ、おやすみ」

 明かりを消して眠りにつく。だが色々な緊張感からか、なかなか寝付けない。

(やっぱり寝れないよな…… )

 分かっってはいたけど、一国の姫と寝るだなんて普通はあり得ない。

「眠れないのですか、カエデ」

 暗闇の中でモカに声をかけられる。どうやらそこまで読み取られてしまっていたらしい。

「変な緊張感があって寝れないんだよ。こんな事経験した事ないからさ」

「それでは少しお話をしましょうか」

「お話?」

「私少々カエデの事で気になる事がありまして」

 俺についいて気になる事、まあ色々あるのは分かる。何せこの島で人が暮らしている事自体がおかしいのだから。それは勿論雫も含めての話だけど。

「カエデ、あなたにはどうして二つの血が流れているのですか?」

「え?」

 しかし彼女の質問は俺の想定を超えるものだった。

「何をいきなり言い出すんだよ」

「もしかして自覚をしていらっしゃいませんね。あなたには間違いなく人と獣人の血が流れています」

「何を根拠にそんな事を」

「お気づきではないでしょうか。あなたのその瞳の色」

「瞳の色?」

 今まで気にする事ではないと思っていたので、一切触れていなかったが俺の目の色は少し変わっている。

「あなたのその瞳の色、普段は誰にも分からないようにしているようですが、寝る時は外しているのでハッキリしました」

「しまった……」

 普段は一人部屋だったのでいつもの癖でカラーコンタクトを外してしまっていた。どうやらそれをモカに見られてしまっていたらしい。

「あなたの瞳、綺麗な緑色をしていますよね。それは人と獣人の血が混ざっているからこそあり得る色なんです。違和感を感じた事はなかったのですか?」

「あったよ、昔から」

 でもそれを奇異な目で見られるのが嫌だったから、隠し続けていた。雫にも誰にも話していない。家族の間でしか知らない秘密。

 カグヤが言っていた事を肯定してしまうような事実は、俺にとっては不幸でしかなかった。

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