異世界の村で始める獣人とのハーレム生活
第23話好きと嫌いとノイズ
その後重々しい足取りで俺達はポカルミ村へと帰還。その頃にはすっかり日も暮れていて、そのまま夕食を食べそれぞれの家へと戻ろうとした時、フォルナが俺を呼び止めた。
「カエデ、少し話がしたい。時間ある?」
「別に構わないけど、どこで話をする?」
「カエデの家」
「この前見事に燃え去って、お前の家になってるけどな俺の家」
「の跡地」
「跡地言うな!」
そんなやり取りをしていても埒があかないので、集会所に残って話をする事に。ルチリア達も与ぶかと聞いたが、二人きりで話したいとの事なので、他の皆には家に戻ってもらう事にした。
「それで何だ話って」
「遺跡での事、ちゃんと説明してない」
「ああ、あれの事か? 別に無理に話さなくてもいいんだけど」
「カエデには聞いてほしい」
「そのつもりならいいけどさ」
まさか向こうから話をしてくれるとは思っていなかったので、これはある意味好都合なのかもしれないが、一体フォルナは俺に何を話そうとしているのだろうか。
「まず、あの人は私の父親ではない」
「そうなのか? 同族だからてっきりそうだと思ったんだけど」
「あそこで暮らしている内に勝手に勘違いしていただけ。あの人達は私よりも前から住んでた」
「もっと前から?」
それなら同族でも、本当の両親ではない事は説明がつくけどあの遺跡は最近現れたものだとルチリアは何度も言っている。でもフォルナの言い方だと、現れるよりも前から住んでいたみたいな言い方だ。
それはフォルナに対しても言える事だけど。
「一緒に暮らしてて分かった。あの人達は人を凄く嫌ってる」
「それは俺も何となく分かっていたよ。あそこまで言われたら、決して好意的には取れないし」
「でも私は違う」
「違うって何がだ」
「私は人間が好き。でも皆は嫌う。どうしてか分からない」
「まあ、価値観は人それぞれだからな」
やはりフォルナは人間の事は嫌いではなかったらしい(その癖人の家を燃やしたりするけど)。その言葉を彼女から聞いて、俺は少しだけ安心してしまった。
(やっぱり皆が皆人を嫌っているわけじゃないんだな)
「だからカエデを守ろうとした」
「そういえばお礼言ってなかったな。あの時俺を助けようとしてくれてありがとうな」
「お礼を言われる事はしてない」
「いや、充分してるって。すごく助かった」
「そ、そう?」
いつものような冷たい口調か少し綻んで、照れながらフォルナは言う。その様子を見て、案外可愛いところがあるんだなと俺は思った。
「そ、それより、カエデにまた頼みたい事がある」
「俺にできる事なら何でも言ってくれ」
「じゃあ明日、家に来て」
翌日。
「なあフォルナ、これは何なのか説明してもらおうか」
「狙撃の練習」
「いや、それは見て分かる」
「じゃあ何」
「あのー、俺を的にして練習するのはやめてもらえませんかね」
「その方が実践的」
フォルナの頼みは、弓矢の狙撃の練習の的になってほしいとの事だった。実践的とか言うが、これヘタしたら的の方は死んでしまいますけど。
「実践的って、おまうぁぁ、危ねえ」
「避けないで」
「避けるわアホ!」
結局フォルナは本当に人間が好きなのか、いささか疑問が俺の中で残るのであった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
遺跡での出来事から丸二日後。ルチリアがこんな提案をしてきた。
「この島の調査?」
「うん。カエデ君もここに来てもうすぐ半月だし、そろそほここでの生活も慣れたと思うの。だから遺跡以外の調査も手伝ってもらおうかなって」
「この広い森の中を歩くのか、ひたすら」
「それもいいんだけど。そればかりだと飽きるかなって思って、別のを用意したの」
「別の?」
「この島にはねまだまだ秘密があるの。それがこの島の海底にあるの」
「海底?」
「そう、海底」
という訳で今回はフォルナを含む全員で魔物の調査へと向かう事に。雫も一緒にいるのだが、身の安全的な意味で大丈夫だろうか。
「それなら心配ないですよ〜。私がみっちり教えましたからぁ」
「待てミルフィーナ。お前の心配ないはフラグにしか聞こえない」
「だ、大丈夫だよ私は。ちょっと思い出したくない事ばかりあったけど」
「ミルフィーナぁぁ」
俺やルチリアが遺跡に探索に行っている間に、一体何が雫にあったのかすごく気になる。ましてやミルフィーナが相手なら、心配メーターはMAXだ。
「心配するなカエデ。私がちゃんと見張っていてやったぞ」
「ナイスだポチ。それでどうだったんだ?」
「それはもう、言葉に表せないような……」
「駄目だったのかよ!」
ああ、これで唯一一般人だった雫もミルフィーナの手に。これ元の世界に帰ったら、大変な事になったりしないよな。
「カエデ君、さっきからうるさい。もう着いたわよ」
「え? 着いたってここが?」
ルチリアが俺達を連れてやって来た海底とは、ポカルミ村からさほど離れていないある建物の、地下へと続く階段を進んだ先にあった。
「すごい、綺麗」
思わず雫が言葉にしてしまうほどのその場所は、全てが海中の中にあり、一言で言い表すなら海底神殿そのものだった。
「実はここは昔から存在している海底都市で、私達にしか知られていない場所なの」
「へえ。でも何でここが魔物と関係があるんだ?」
「ここで十五年以上前に、魔物が大量に現れる事件が起きたの。何の前触れもなく」
ザザッ
突然頭にノイズが聞こえる。
『おい、どうした、今戻ったら 危険だぞ』
『ごめんなさい、でも私の子供が……』
ノイズが消える。その間わずか数秒。でもその僅かな数秒は、俺に確かな情報を与えた。
(今の声、どこかで……)
「楓、どうしたの?」
「え、あ、いや、ちょっと考え事」
「顔色悪い」
「大丈夫だって。それより調査だろルチリア」
「あ、うん」
「カエデ、少し話がしたい。時間ある?」
「別に構わないけど、どこで話をする?」
「カエデの家」
「この前見事に燃え去って、お前の家になってるけどな俺の家」
「の跡地」
「跡地言うな!」
そんなやり取りをしていても埒があかないので、集会所に残って話をする事に。ルチリア達も与ぶかと聞いたが、二人きりで話したいとの事なので、他の皆には家に戻ってもらう事にした。
「それで何だ話って」
「遺跡での事、ちゃんと説明してない」
「ああ、あれの事か? 別に無理に話さなくてもいいんだけど」
「カエデには聞いてほしい」
「そのつもりならいいけどさ」
まさか向こうから話をしてくれるとは思っていなかったので、これはある意味好都合なのかもしれないが、一体フォルナは俺に何を話そうとしているのだろうか。
「まず、あの人は私の父親ではない」
「そうなのか? 同族だからてっきりそうだと思ったんだけど」
「あそこで暮らしている内に勝手に勘違いしていただけ。あの人達は私よりも前から住んでた」
「もっと前から?」
それなら同族でも、本当の両親ではない事は説明がつくけどあの遺跡は最近現れたものだとルチリアは何度も言っている。でもフォルナの言い方だと、現れるよりも前から住んでいたみたいな言い方だ。
それはフォルナに対しても言える事だけど。
「一緒に暮らしてて分かった。あの人達は人を凄く嫌ってる」
「それは俺も何となく分かっていたよ。あそこまで言われたら、決して好意的には取れないし」
「でも私は違う」
「違うって何がだ」
「私は人間が好き。でも皆は嫌う。どうしてか分からない」
「まあ、価値観は人それぞれだからな」
やはりフォルナは人間の事は嫌いではなかったらしい(その癖人の家を燃やしたりするけど)。その言葉を彼女から聞いて、俺は少しだけ安心してしまった。
(やっぱり皆が皆人を嫌っているわけじゃないんだな)
「だからカエデを守ろうとした」
「そういえばお礼言ってなかったな。あの時俺を助けようとしてくれてありがとうな」
「お礼を言われる事はしてない」
「いや、充分してるって。すごく助かった」
「そ、そう?」
いつものような冷たい口調か少し綻んで、照れながらフォルナは言う。その様子を見て、案外可愛いところがあるんだなと俺は思った。
「そ、それより、カエデにまた頼みたい事がある」
「俺にできる事なら何でも言ってくれ」
「じゃあ明日、家に来て」
翌日。
「なあフォルナ、これは何なのか説明してもらおうか」
「狙撃の練習」
「いや、それは見て分かる」
「じゃあ何」
「あのー、俺を的にして練習するのはやめてもらえませんかね」
「その方が実践的」
フォルナの頼みは、弓矢の狙撃の練習の的になってほしいとの事だった。実践的とか言うが、これヘタしたら的の方は死んでしまいますけど。
「実践的って、おまうぁぁ、危ねえ」
「避けないで」
「避けるわアホ!」
結局フォルナは本当に人間が好きなのか、いささか疑問が俺の中で残るのであった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
遺跡での出来事から丸二日後。ルチリアがこんな提案をしてきた。
「この島の調査?」
「うん。カエデ君もここに来てもうすぐ半月だし、そろそほここでの生活も慣れたと思うの。だから遺跡以外の調査も手伝ってもらおうかなって」
「この広い森の中を歩くのか、ひたすら」
「それもいいんだけど。そればかりだと飽きるかなって思って、別のを用意したの」
「別の?」
「この島にはねまだまだ秘密があるの。それがこの島の海底にあるの」
「海底?」
「そう、海底」
という訳で今回はフォルナを含む全員で魔物の調査へと向かう事に。雫も一緒にいるのだが、身の安全的な意味で大丈夫だろうか。
「それなら心配ないですよ〜。私がみっちり教えましたからぁ」
「待てミルフィーナ。お前の心配ないはフラグにしか聞こえない」
「だ、大丈夫だよ私は。ちょっと思い出したくない事ばかりあったけど」
「ミルフィーナぁぁ」
俺やルチリアが遺跡に探索に行っている間に、一体何が雫にあったのかすごく気になる。ましてやミルフィーナが相手なら、心配メーターはMAXだ。
「心配するなカエデ。私がちゃんと見張っていてやったぞ」
「ナイスだポチ。それでどうだったんだ?」
「それはもう、言葉に表せないような……」
「駄目だったのかよ!」
ああ、これで唯一一般人だった雫もミルフィーナの手に。これ元の世界に帰ったら、大変な事になったりしないよな。
「カエデ君、さっきからうるさい。もう着いたわよ」
「え? 着いたってここが?」
ルチリアが俺達を連れてやって来た海底とは、ポカルミ村からさほど離れていないある建物の、地下へと続く階段を進んだ先にあった。
「すごい、綺麗」
思わず雫が言葉にしてしまうほどのその場所は、全てが海中の中にあり、一言で言い表すなら海底神殿そのものだった。
「実はここは昔から存在している海底都市で、私達にしか知られていない場所なの」
「へえ。でも何でここが魔物と関係があるんだ?」
「ここで十五年以上前に、魔物が大量に現れる事件が起きたの。何の前触れもなく」
ザザッ
突然頭にノイズが聞こえる。
『おい、どうした、今戻ったら 危険だぞ』
『ごめんなさい、でも私の子供が……』
ノイズが消える。その間わずか数秒。でもその僅かな数秒は、俺に確かな情報を与えた。
(今の声、どこかで……)
「楓、どうしたの?」
「え、あ、いや、ちょっと考え事」
「顔色悪い」
「大丈夫だって。それより調査だろルチリア」
「あ、うん」
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