異世界の村で始める獣人とのハーレム生活
第40話答えなきこの気持ち
「やっぱりポチも昔から知っていたのか、俺の事を」
仮にルチリアと過去の交わりがあったとすれば、もしかしたらその可能性はあるかもしれないと思ってはいた。だけど当の本人達は何も気にしていない様子だったし、俺もそれを否定したから何も言わなかった。
「最初私もミルフィーナも気のせいだとは思っていたし、カエデも何も気にした様子はなかったから、こちからは何も言わないでいた。それにルチリアの前でその話はしたくなかったからな」
「じゃあいつそれが確信に変わったんだ?」
「少し前に海底神殿に行った時、カエデ様子が変だっただろ? あの時ふと疑問に思ったんだよ私が。昔私達が出会っていたカエデは、今目の前にいるカエデで、その事を、ううん、この島での事を全て忘れてしまっていたのではないかって。だからあの海底神殿で失った記憶が少し蘇って、あんな様子だったんじゃないかって」
まさか俺がノイズが頭によぎっている間に、ポチがそんな事を考えているなんて思っていなかった。普段はそんなに頭が冴えそうな奴には見えないのに、こういう所は鋭いなんて、ちょっと意外な気がする。
「何かすごく失礼な事を考えていないか? カエデ」
「気のせいだ。それよりポチは本当に昔俺と会った事があると思っているのか?」
「当たり前だ。私もミルフィーナも、皆お前はセリーヌ様の子だと思っている」
「セリーヌ? それご俺の母親なのか?」
「そうだ。その様子だと本当に何も分かってないのか?」
「分かってないも何も、俺はまだその話も、自分の本当の母親の事も、この島で暮らしていた事も何一つ信じてない」
「それは記憶喪失だからか?」
「記憶喪失なのかも分からない。そもそも俺の記憶は全て元の世界でのものしかない。だから信じたくないんだよ」
何が真実で、何が嘘なのか、それすらも分からなくなっていた。でも確実に言えるのは、俺の帰るべき場所は地球であってここではない。たとえ何を言われようとも、俺の答えは何一つ変わらなかった。
(ただの現実逃避なのかもしれないな)
でもほんの少しだけ、それを受け入れている自分がいる。ここまで沢山の話を聞いて、俺の心の中は少しずつ変化していっているのも事実だった。
「なあカエデ、明日ルチリアとミルフィーナとカエデと私の四人だけで、もう一度あの海底都市に行かないか?」
「四人だけで?」
「まだ否定したい気持ちも分かる。それはカエデだけじゃなくてルチリアにも言える事だ。でも向き合わなきゃいけない現実もある」
「それがあそこにあるとでも言うのか?」
「私とミルフィーナで二人が欠けている記憶を補完しようと思う。だから来てほしい」
■□■□■□
ポチとカエデ君が帰ってきたのは、二人が出かけてから三時間近く経った後だった。二人が帰ってきたのを確認した後、それぞれが自分達の家に戻っていく中で私はカエデ君を呼び止めた。
「カエデ君、ちょっと話がしたいんだけど」
「家に戻ってからじゃ駄目か?」
「家にはモカ様もいるから、二人きりで話がしたいの」
何で呼び止めたのかは分からない。でもさっきまで四人と話をしていたあの事を変に意識してしまったからとも言える。
(好きとか、そういう感情なのかは分からないけど)
ミルフィーナのせいでほとんど忘れかけていた約束を、果たせるなら私は……。
「ごめんね、もう夜遅いのに」
「いいけど、話したい事ってなんだ?」
「カエデ君は、その、今気になる人とかっているの?」
この不思議な感情に答えを出してみるのもいいのかもしれない。
■□■□■□
ポカルミ村に帰ってきて、ルチリアに話があるって呼び止められたから何の話かと思ったら、それは予想もしていないものだった。
「な、何だよいきなり」
さっきポチとそれに近い話をしてしまったからか、変に緊張してしまう。それだとまるで気があるみたいな言い方かもしれないけれど、俺にはその答えは分からない。
「カエデ君も私達の村に来て大分経つから、もしかしたらいたりするのかなって」
「それにしては随分直球な質問をするんだな」
「私こういうの慣れてないから」
「それが普通だと思っていいよ」
女子が男子に対してそういう質問するのって、かなり勇気が必要な事なくらい俺だって分かる。でもそれって、向こうが俺に気があるみたいな感じになるけど、それは流石に考え過ぎだと思う。
「気になる人……か。そんな事急に言われても、俺も答えに困るよ」
「そ、そうだよね。いくらなんでもそんな事いきなり聞かないよね。ご、ごめんね」
慌てた様子で家へ戻っていこうとするルチリア。ここは黙って見送った方が良かったのかもしれない。だけど何故か俺は、
「ちょっと待ったルチリア」
去ろうとするルチリアの腕を思わず掴んでしまった。
「え?」
「あ、えっと、その」
「カエデ君?」
大胆な行動をしておきながら、思考が停止してしまう俺。何で今俺彼女の腕を掴んでいるのだろうか。
「あ、あのさルチリア」
「はい」
「も、もう少しだけ話をしていかないか」
「はい」
俺の夜はまだ終わりを迎えそうにない。
仮にルチリアと過去の交わりがあったとすれば、もしかしたらその可能性はあるかもしれないと思ってはいた。だけど当の本人達は何も気にしていない様子だったし、俺もそれを否定したから何も言わなかった。
「最初私もミルフィーナも気のせいだとは思っていたし、カエデも何も気にした様子はなかったから、こちからは何も言わないでいた。それにルチリアの前でその話はしたくなかったからな」
「じゃあいつそれが確信に変わったんだ?」
「少し前に海底神殿に行った時、カエデ様子が変だっただろ? あの時ふと疑問に思ったんだよ私が。昔私達が出会っていたカエデは、今目の前にいるカエデで、その事を、ううん、この島での事を全て忘れてしまっていたのではないかって。だからあの海底神殿で失った記憶が少し蘇って、あんな様子だったんじゃないかって」
まさか俺がノイズが頭によぎっている間に、ポチがそんな事を考えているなんて思っていなかった。普段はそんなに頭が冴えそうな奴には見えないのに、こういう所は鋭いなんて、ちょっと意外な気がする。
「何かすごく失礼な事を考えていないか? カエデ」
「気のせいだ。それよりポチは本当に昔俺と会った事があると思っているのか?」
「当たり前だ。私もミルフィーナも、皆お前はセリーヌ様の子だと思っている」
「セリーヌ? それご俺の母親なのか?」
「そうだ。その様子だと本当に何も分かってないのか?」
「分かってないも何も、俺はまだその話も、自分の本当の母親の事も、この島で暮らしていた事も何一つ信じてない」
「それは記憶喪失だからか?」
「記憶喪失なのかも分からない。そもそも俺の記憶は全て元の世界でのものしかない。だから信じたくないんだよ」
何が真実で、何が嘘なのか、それすらも分からなくなっていた。でも確実に言えるのは、俺の帰るべき場所は地球であってここではない。たとえ何を言われようとも、俺の答えは何一つ変わらなかった。
(ただの現実逃避なのかもしれないな)
でもほんの少しだけ、それを受け入れている自分がいる。ここまで沢山の話を聞いて、俺の心の中は少しずつ変化していっているのも事実だった。
「なあカエデ、明日ルチリアとミルフィーナとカエデと私の四人だけで、もう一度あの海底都市に行かないか?」
「四人だけで?」
「まだ否定したい気持ちも分かる。それはカエデだけじゃなくてルチリアにも言える事だ。でも向き合わなきゃいけない現実もある」
「それがあそこにあるとでも言うのか?」
「私とミルフィーナで二人が欠けている記憶を補完しようと思う。だから来てほしい」
■□■□■□
ポチとカエデ君が帰ってきたのは、二人が出かけてから三時間近く経った後だった。二人が帰ってきたのを確認した後、それぞれが自分達の家に戻っていく中で私はカエデ君を呼び止めた。
「カエデ君、ちょっと話がしたいんだけど」
「家に戻ってからじゃ駄目か?」
「家にはモカ様もいるから、二人きりで話がしたいの」
何で呼び止めたのかは分からない。でもさっきまで四人と話をしていたあの事を変に意識してしまったからとも言える。
(好きとか、そういう感情なのかは分からないけど)
ミルフィーナのせいでほとんど忘れかけていた約束を、果たせるなら私は……。
「ごめんね、もう夜遅いのに」
「いいけど、話したい事ってなんだ?」
「カエデ君は、その、今気になる人とかっているの?」
この不思議な感情に答えを出してみるのもいいのかもしれない。
■□■□■□
ポカルミ村に帰ってきて、ルチリアに話があるって呼び止められたから何の話かと思ったら、それは予想もしていないものだった。
「な、何だよいきなり」
さっきポチとそれに近い話をしてしまったからか、変に緊張してしまう。それだとまるで気があるみたいな言い方かもしれないけれど、俺にはその答えは分からない。
「カエデ君も私達の村に来て大分経つから、もしかしたらいたりするのかなって」
「それにしては随分直球な質問をするんだな」
「私こういうの慣れてないから」
「それが普通だと思っていいよ」
女子が男子に対してそういう質問するのって、かなり勇気が必要な事なくらい俺だって分かる。でもそれって、向こうが俺に気があるみたいな感じになるけど、それは流石に考え過ぎだと思う。
「気になる人……か。そんな事急に言われても、俺も答えに困るよ」
「そ、そうだよね。いくらなんでもそんな事いきなり聞かないよね。ご、ごめんね」
慌てた様子で家へ戻っていこうとするルチリア。ここは黙って見送った方が良かったのかもしれない。だけど何故か俺は、
「ちょっと待ったルチリア」
去ろうとするルチリアの腕を思わず掴んでしまった。
「え?」
「あ、えっと、その」
「カエデ君?」
大胆な行動をしておきながら、思考が停止してしまう俺。何で今俺彼女の腕を掴んでいるのだろうか。
「あ、あのさルチリア」
「はい」
「も、もう少しだけ話をしていかないか」
「はい」
俺の夜はまだ終わりを迎えそうにない。
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