異世界の村で始める獣人とのハーレム生活
第21話人の血 獣の血
「つまりお前も、声に言われるがままに来てしまったんだな」
「そうよ。一週間も行方不明になって心配してたんだから」
雫が落ち着いたのを見計らって、ここまでの経緯を聞いたところ、どうやらカグヤの声に誘われて彼女も来たらしい。ただ、なんと言われたかまでは教えてくれなかった。
「ところでさ楓」
「何だ?」
「そこにいる猫と馬は何?」
話の途中で雫は俺の後ろにいる二人に視線を向けながら疑問を投げかけてくる。
「ああ、二人はな……」
俺はフォルナとルチリアについて説明をする。それと同時にこの一週間のことも説明に交えた。
「じゃあ今楓は、この獣人達と生活しているの?」
「フォルナはちょっと特殊だけどそういうこと」
「ふーん、男一人でねぇ」
何か怪しげな視線を向ける雫。何か俺は疑われているのだろうか?
「カエデ君から紹介があったけど、私がルチリア。よろしくねシズクさん」
「フォルナ。よろしく」
そんな俺を尻目に、ルチリアとフォルナは自己紹介をする。
「一応よろしく」
しかし雫は、何か気に入ってないらしく不満そうに二人に挨拶を返した。早速悪い空気が漂い始めているけど、何か起きてしまったりしないか不安だ。
「と、とりあえず村に戻ろう。そろそろ時間も遅いだろうし」
「戻るのはいいけど、私どうするの?」
「どうするも何も、住む場所もないから村に来てもらうしかないよな」
「うん。家はミルフィーナの家あたりに泊めさせてもらう事にして、しばらくはそうしよう」
こうして俺達は、雫を連れてポカリナ村へと戻って行った。その道中、雫が小声でこんなことを聞いてきた。
「ねえ楓、今日の夜時間ある?」
「あるけど、どうして?」
「私話したいことがあるの」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
村に戻り、留守番の二人にも雫の事を説明した。
「そういう事だから、二人ともよろしくな」
「分かりましたぁ。ようこそポカルミ村へ」
「ポチだ。これでも一応女だから、勘違いするなよ」
二人も歓迎してくれ、これなら雫がここにいても問題はなさそうだ。ただ、どうしてか彼女はさっきから機嫌が悪い。何か悪いことでもあるのだろうか?
「なあ雫、お前どうしてそんなに不機嫌なんだよ」
「自分の胸に聞いてみれば?」
しかもどうやらその原因は俺にあるらしい。俺はどうしたものかと困っていると、ルチリアが話しかけてきた。
「何か機嫌悪いみたいだけど、私悪いことしたのかな」
「いや、ルチリアは何も悪くないよ。多分俺が悪いと思うから」
冷静に考えたら、一週間以上彼女を心配させてしまったのだから怒っているのおかしくない話だ。だから夜にその事も謝っておかないと。
そしてそのまま迎えた夜。
指定された時間に外へ出ると、既に雫が家の近くで待っていた。
「ごめん待たせたか?」
「別に」
そう雫は答えると、近くにあったベンチに腰掛けた。
「それで話ってなんだよ」
「楓はどうしてこんな世界に来させられたの?」
「どうしてって、カグヤが俺を呼び出して何か調べたかったからとか、色々理由はあるけど、これと言った明確な理由はないと思う」
「カグヤって?」
「お前も聞いたっていう声の正体だよ」
「ふーん、その人が私を呼んだんだ。じゃあその人にすぐに会わせて」
「すぐには無理だよ」
「じゃあ楓、そのカグヤの代わりに私の質問に答えて」
「質問?」
いつになく真剣な目でこちらを見てくる雫。一体彼女は何をカグヤに聞こうとしているのだろうか?
「楓、私に何か隠し事してない?」
「隠し事?」
そんなことをしている覚えはないが、あるとしてもそれはまだ雫は知らないこと。そして俺自身もそれが本当なのか分かっていないことだ。
「そのカグヤって人が言っていたの。私に真実を知る覚悟はあるかって。だからもしかしたら楓の事じゃないのかなって」
「そんな事を言っていたのかカグヤは」
でもそれだとまるで、カグヤは俺の全てを知っているみたいな言い方だ。あの情報だけで、何故そこまで確信を持てるのだろうか? 益々疑問が残る。
「それでどうなの?」
「いや、正直な話しているっちゃしているけど、それは俺も真実なのか分かっていないんだよ」
「それはどういう意味?」
「実はな」
例の事を雫に話す。今まで話すのを躊躇ってきたけど、彼女になら話してもいい気がした。何せもう彼女とは長い付き合いだ。秘密の一つや二つ、話すことはできる。
「確かに楓のお母さんはもう亡くなっているけど、それって本当なのかしら」
「俺は信じてないけどな。でも親父は一度も母さんの話はした事がないんだよ。だからもしかしたら何かあったりするのかなって」
「なるほどねぇ」
あれから少しだけカグヤの話について考えてはみたが、嘘だという決定づける根拠は何一つなかった。だからもしも彼女が言っていることが少しでも真実なら、雫を呼び出したのにも何か理由があるのかもしれない。
「とりあえずこの話はしばらくは保留だ」
「うん、分かった」
結局雫が聞きたかったのはそれだけらしく、時間も遅くなってきたのでそれぞれの家に戻ることにした。
もしカグヤの話が真実だったら。
俺も獣の血を引いていることになる。それはつまり、人と獣の血を引く者として、どちらの立場にも立てるという事だ。
『人と獣を繋ぐ架け橋になってほしい』
いつかカグヤが言っていた言葉は、もしかしたらその意味も込めていたのかもしれない。そう考えると、俺は少しだけ勇気が湧いた。
「そうよ。一週間も行方不明になって心配してたんだから」
雫が落ち着いたのを見計らって、ここまでの経緯を聞いたところ、どうやらカグヤの声に誘われて彼女も来たらしい。ただ、なんと言われたかまでは教えてくれなかった。
「ところでさ楓」
「何だ?」
「そこにいる猫と馬は何?」
話の途中で雫は俺の後ろにいる二人に視線を向けながら疑問を投げかけてくる。
「ああ、二人はな……」
俺はフォルナとルチリアについて説明をする。それと同時にこの一週間のことも説明に交えた。
「じゃあ今楓は、この獣人達と生活しているの?」
「フォルナはちょっと特殊だけどそういうこと」
「ふーん、男一人でねぇ」
何か怪しげな視線を向ける雫。何か俺は疑われているのだろうか?
「カエデ君から紹介があったけど、私がルチリア。よろしくねシズクさん」
「フォルナ。よろしく」
そんな俺を尻目に、ルチリアとフォルナは自己紹介をする。
「一応よろしく」
しかし雫は、何か気に入ってないらしく不満そうに二人に挨拶を返した。早速悪い空気が漂い始めているけど、何か起きてしまったりしないか不安だ。
「と、とりあえず村に戻ろう。そろそろ時間も遅いだろうし」
「戻るのはいいけど、私どうするの?」
「どうするも何も、住む場所もないから村に来てもらうしかないよな」
「うん。家はミルフィーナの家あたりに泊めさせてもらう事にして、しばらくはそうしよう」
こうして俺達は、雫を連れてポカリナ村へと戻って行った。その道中、雫が小声でこんなことを聞いてきた。
「ねえ楓、今日の夜時間ある?」
「あるけど、どうして?」
「私話したいことがあるの」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
村に戻り、留守番の二人にも雫の事を説明した。
「そういう事だから、二人ともよろしくな」
「分かりましたぁ。ようこそポカルミ村へ」
「ポチだ。これでも一応女だから、勘違いするなよ」
二人も歓迎してくれ、これなら雫がここにいても問題はなさそうだ。ただ、どうしてか彼女はさっきから機嫌が悪い。何か悪いことでもあるのだろうか?
「なあ雫、お前どうしてそんなに不機嫌なんだよ」
「自分の胸に聞いてみれば?」
しかもどうやらその原因は俺にあるらしい。俺はどうしたものかと困っていると、ルチリアが話しかけてきた。
「何か機嫌悪いみたいだけど、私悪いことしたのかな」
「いや、ルチリアは何も悪くないよ。多分俺が悪いと思うから」
冷静に考えたら、一週間以上彼女を心配させてしまったのだから怒っているのおかしくない話だ。だから夜にその事も謝っておかないと。
そしてそのまま迎えた夜。
指定された時間に外へ出ると、既に雫が家の近くで待っていた。
「ごめん待たせたか?」
「別に」
そう雫は答えると、近くにあったベンチに腰掛けた。
「それで話ってなんだよ」
「楓はどうしてこんな世界に来させられたの?」
「どうしてって、カグヤが俺を呼び出して何か調べたかったからとか、色々理由はあるけど、これと言った明確な理由はないと思う」
「カグヤって?」
「お前も聞いたっていう声の正体だよ」
「ふーん、その人が私を呼んだんだ。じゃあその人にすぐに会わせて」
「すぐには無理だよ」
「じゃあ楓、そのカグヤの代わりに私の質問に答えて」
「質問?」
いつになく真剣な目でこちらを見てくる雫。一体彼女は何をカグヤに聞こうとしているのだろうか?
「楓、私に何か隠し事してない?」
「隠し事?」
そんなことをしている覚えはないが、あるとしてもそれはまだ雫は知らないこと。そして俺自身もそれが本当なのか分かっていないことだ。
「そのカグヤって人が言っていたの。私に真実を知る覚悟はあるかって。だからもしかしたら楓の事じゃないのかなって」
「そんな事を言っていたのかカグヤは」
でもそれだとまるで、カグヤは俺の全てを知っているみたいな言い方だ。あの情報だけで、何故そこまで確信を持てるのだろうか? 益々疑問が残る。
「それでどうなの?」
「いや、正直な話しているっちゃしているけど、それは俺も真実なのか分かっていないんだよ」
「それはどういう意味?」
「実はな」
例の事を雫に話す。今まで話すのを躊躇ってきたけど、彼女になら話してもいい気がした。何せもう彼女とは長い付き合いだ。秘密の一つや二つ、話すことはできる。
「確かに楓のお母さんはもう亡くなっているけど、それって本当なのかしら」
「俺は信じてないけどな。でも親父は一度も母さんの話はした事がないんだよ。だからもしかしたら何かあったりするのかなって」
「なるほどねぇ」
あれから少しだけカグヤの話について考えてはみたが、嘘だという決定づける根拠は何一つなかった。だからもしも彼女が言っていることが少しでも真実なら、雫を呼び出したのにも何か理由があるのかもしれない。
「とりあえずこの話はしばらくは保留だ」
「うん、分かった」
結局雫が聞きたかったのはそれだけらしく、時間も遅くなってきたのでそれぞれの家に戻ることにした。
もしカグヤの話が真実だったら。
俺も獣の血を引いていることになる。それはつまり、人と獣の血を引く者として、どちらの立場にも立てるという事だ。
『人と獣を繋ぐ架け橋になってほしい』
いつかカグヤが言っていた言葉は、もしかしたらその意味も込めていたのかもしれない。そう考えると、俺は少しだけ勇気が湧いた。
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