E.P.O〜エルフのパパになった俺~
第53話どんな言葉よりも『ありがとう』
第53話どんな言葉よりも『ありがとう』
1
間に合った
もうすぐこの世界を離れようとしている二人に追いつくことができた
「なんで…黙って帰ろうとした?」
「手紙に書いた通りです。別れるのが…辛く…なるから…ですよ」
俺達がやってきたことに相当驚いたのか、ルシアは既に泣き出してしまった。
「お姉ちゃんの馬鹿。ここならパパにバレちゃうって…散々…言ったのに」
そしてローナも…。
「ったく、いきなり姉妹揃って泣くなんて情けないな…」
「そういう雄一君も…涙流れてるよ?」
俺と千代まで…。
皆が涙をこらえられずにいた。
「なんで皆涙が止まらないんだろうな」
「多分皆が皆別れるのが悲しいからですよ」
「それもあるが…やっぱりお前達に最後にちゃんと『ありがとう』って伝えられることがたまらなく嬉しいんだと思う」
涙の一番の理由はもしかしたらこれかもしれないと俺は思った。
「え…?」
「お前らを探している途中千代と話したんだよ。最後にお前達にどんな言葉を言おうかって」
どんな別れの言葉よりも『ありがとう』…つまり感謝の言葉がぴったりだと思った。だって、別れの言葉なんか言ったら、もう二度と会えないみたいになるし、何より俺はこいつらに感謝している。
俺に家族という言葉の意味を教えてくれたこの姉妹に。
「その時に一番最初に浮かんだのが感謝の言葉だったの」
恐らく千代も一緒の思いだ。しかも彼女は家族の事で色々あった身だ。余計に家族って言葉が身に染みたのだろう。
「俺は昨日お前に言ったかもしれないけど、やっぱりあれだけじゃ足りないんだよ。それほど俺と千代はお前達に感謝している」
「そんな…私達感謝されるようなことをしていませんよ。むしろ私達が感謝したいくらいです」
「じゃあお互い様だな。どちらも世話になったのだから、これ以上の譲り合いは無しってことで」
「うん。それがいいかもね」
「パパ…ママ…」
更に涙を流すルシア。それをローナが慰めている。
(本当いい姉妹だよお前達は)
お互いを支え合っていきているのだから。
2
しばらくして全員の涙がようやく収まり、話したいことも沢山話した後(俺の家にどうやって入ったのかは教えてくれなかった)、ルシアが決断したかのように口を開いた。
「じゃあそろそろ…私達帰りますね」
「帰るって言っても、どうやって…おわぁ」
ルシアが何かを呟きだした途端、俺の家が白い光に包まれ、そしてすぐに消えていった。
「い、いきなり何だよ…ってなんだこれ」
一度閉じた目を再び開くとそこには、何もなかった空間にどでかい鉄製の扉が現れていた。
「な、なんじゃこれは…」
「すごく…大きい」
「これが私達の世界とこちらの世界をつなぐ扉です」
「いやそれは分かるけどさ…」
お前何者だよ…
続く
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間に合った
もうすぐこの世界を離れようとしている二人に追いつくことができた
「なんで…黙って帰ろうとした?」
「手紙に書いた通りです。別れるのが…辛く…なるから…ですよ」
俺達がやってきたことに相当驚いたのか、ルシアは既に泣き出してしまった。
「お姉ちゃんの馬鹿。ここならパパにバレちゃうって…散々…言ったのに」
そしてローナも…。
「ったく、いきなり姉妹揃って泣くなんて情けないな…」
「そういう雄一君も…涙流れてるよ?」
俺と千代まで…。
皆が涙をこらえられずにいた。
「なんで皆涙が止まらないんだろうな」
「多分皆が皆別れるのが悲しいからですよ」
「それもあるが…やっぱりお前達に最後にちゃんと『ありがとう』って伝えられることがたまらなく嬉しいんだと思う」
涙の一番の理由はもしかしたらこれかもしれないと俺は思った。
「え…?」
「お前らを探している途中千代と話したんだよ。最後にお前達にどんな言葉を言おうかって」
どんな別れの言葉よりも『ありがとう』…つまり感謝の言葉がぴったりだと思った。だって、別れの言葉なんか言ったら、もう二度と会えないみたいになるし、何より俺はこいつらに感謝している。
俺に家族という言葉の意味を教えてくれたこの姉妹に。
「その時に一番最初に浮かんだのが感謝の言葉だったの」
恐らく千代も一緒の思いだ。しかも彼女は家族の事で色々あった身だ。余計に家族って言葉が身に染みたのだろう。
「俺は昨日お前に言ったかもしれないけど、やっぱりあれだけじゃ足りないんだよ。それほど俺と千代はお前達に感謝している」
「そんな…私達感謝されるようなことをしていませんよ。むしろ私達が感謝したいくらいです」
「じゃあお互い様だな。どちらも世話になったのだから、これ以上の譲り合いは無しってことで」
「うん。それがいいかもね」
「パパ…ママ…」
更に涙を流すルシア。それをローナが慰めている。
(本当いい姉妹だよお前達は)
お互いを支え合っていきているのだから。
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しばらくして全員の涙がようやく収まり、話したいことも沢山話した後(俺の家にどうやって入ったのかは教えてくれなかった)、ルシアが決断したかのように口を開いた。
「じゃあそろそろ…私達帰りますね」
「帰るって言っても、どうやって…おわぁ」
ルシアが何かを呟きだした途端、俺の家が白い光に包まれ、そしてすぐに消えていった。
「い、いきなり何だよ…ってなんだこれ」
一度閉じた目を再び開くとそこには、何もなかった空間にどでかい鉄製の扉が現れていた。
「な、なんじゃこれは…」
「すごく…大きい」
「これが私達の世界とこちらの世界をつなぐ扉です」
「いやそれは分かるけどさ…」
お前何者だよ…
続く
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