E.P.O〜エルフのパパになった俺~

りょう

第52話手紙残して君去りし

翌日
先日の千代の説教でなかなか眠れなかった俺は、かなり早い時間に目が覚めてしまった
(まだ誰も起きてないよな…)
リビングの明かりをつけて、一息をつこうと思った時、テーブルの上に便箋が置いてあるのを俺は気づいた。
(まさか!)
俺は慌てて便箋をを開く。そこには丁寧な字で…。
『パパとママへ』
と書いてあった
そしてその内容は…
「あの馬鹿!」
俺は慌ててルシア達が寝ている部屋に入った。だがそこには…
「クソッ!」
誰もいなかった…

『パパとママへ
今まですごくお世話になりました
ちゃんとお別れを言いたいのですが、当日に顔を合わせると多分ローナが泣き出してしまうので、二人で朝早くに出発することにしました
本当は話したい事が沢山ありましたが、またいつか絶対会えると私達は信じているので、一言だけ言わせてください
私の家族になってくれてありがとうございました

それではお二人共お元気で
ルシアとローナより』
第52話手紙残して君去りし
1
俺は千代を無理やり起こして、すぐにホテルを出た。

「ねえ雄一君、どうしたの、こんな朝早くから騒いで」

「二人が出て行ったんだよ、手紙だけ残して」

「え?」

「別れを言うのが辛いからって、俺達に黙って出て行ってしまったんだよ」

「そんな…嘘でしょ?」

「嘘だと思うならこの手紙を読め」

走りながら千代に先ほどの便箋を渡す。

「そんな…どうして…」

それを見た千代もさすがに驚きを隠せずにいる。けど、こんな所で立ち止まっているわけにもいかない。二人を早く見つけ出して、ちゃんと別れの挨拶をしなければ。

「といってもどこに居るか全く検討がつかないんだよな…」

「でも二人が遠くに行ったなんて考えにくいよね」

「そりゃあそうだけど、そもそもどうやって元の世界に戻るんだ?」

「うーん、何かあるのかな…」

当てもなく探し続けてもなにも解決しないので、一旦冷静になって考えてみる。

(異世界へと繋がる扉なんて聞いたことないしな…)

それともルシアが何か特別な能力を持っていて、どこからか異世界に繋げる扉を出せるとか…。そもそも彼女は自分の意思で家出してきたのだから、その可能性が一番高いのかもしれない。

「あ、もしかしたら…」

「何か心当たりあるの?」

「あるけど…ちょっと時間がかかる」

「え? どこ?」

「俺の家だ」

「ゆ、雄一君の家? でも二人だけでいけるような距離じゃないよ?」

「でも可能性はある。帰るぞ我が家へ」

「う、うん」

俺はチェックアウトした後わずかに希望を信じて、二人が向かったと思われる我が家へと急ぐのであった。


そして…

「はぁ…はぁ…、間に合って…よかった…」

「ぱ、パパ、ママ!? どうしてここに?」

「そんなの…決まってるでしょ。私達…」

「家族だろ?」

本当の別れの時がやってくる。
続く

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